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ラスタ・パスタのレレ日記

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2006年04月07日
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ロック史上、不朽の名作「いとしのレイラ」をミックスした男をご存知ですか?

その名を、トム・ダウドといいます。
このドキュメンタリー映画を見てきました。

映画館は、ちょっと判りにくい場所にあります。
渋谷の109から、東急本店へ行く道をまっすぐ行き、
東急本店を通り過ぎた先の右手、ビルの2F。

映画館の住所は、渋谷区宇多川町ですが、
道路をへだてた左側は、高級住宅街の松涛です。

映画館に入ってみてまたびっくり。

小さな部屋に、大きさや色、形、デザイン、素材の違う
椅子というかシングル・ソファというかが、
単に並べてあるだけ

スクリーンに天井に設置されたプロジェクターで映画を写すだけ。
スクリーンの下には、むき出しのスピーカーが数個
大きなウーハーではありますが。

そんな会場に、整理券番号3番で入場。
整理券番号5番のひとがあとから入ってきて。

お客さんは、この2人だけ。
えっ?整理券番号1、2、4番のひとは?

なぜか最後まで、お客さんは2名だけでした。


時間帯がたまたま、そうだったのか?
それともこの映画があんまり知られていないのか?

音楽ファン、ロック・ファンだったら絶対にオススメのドキュメンタリーです



デレク・アンド・ドミノス/いとしのレイラ
デレク・アンド・ドミノス/いとしのレイラ

エリック・クラプトンは証言しています。

トム・ダウドに出会うまで、レコーディング・スタッフやミキサーなんかには一切興味がなかったと。
彼が興味があったのは、ミュージシャンだけだったと。

しかし、クラプトンのこの考えが全くの間違えであったことを、彼はあとから知るのです。


トム・ダウドは1925年、NYはマンハッタンに生まれる。
父親は、舞台監督、母親はオペラのソプラノ歌手といった、音楽的にはめぐまれた環境で生まれます。しかし、NYのコロンビア大学で彼が勉強していたのは、物理学。しかし、そのバックグラウンドが彼の将来のキャリアに大変役に立ちました。

1947年にはじめて、レコードのミキシングの仕事にたずさわります。

最初は、
チャーリー・パーカー、
ジョン・コルトレーン、
セロニアス・モンク
といった、

ジャズ・ミュージシャンのレコーディングを経験します。
当時は、直接、レコード盤に音の刻みを彫っていって時代なので、
曲の長さによって、音量を変える(長い曲は音量を小さくする)技術が必要でした。

その後、アトランティック・レコードの社長にその力を認められ、アトランティック・レコードで仕事をするようになります。

クリーム(クラプトンと出会う)、
ELP,
レッド・ツェッペリン、
ローリング・ストーンズ、
ロッド・スチュアート
レイ・チャールズ
などなど。

そうそうたるミュージシャン・アーティストたちのレコーディングです。
この頃、トム・ダウドは、5人目のビートルズと言われたマネージャー、ブライアン・エプスタインに出会います。

ビートルズは当時、3チャンネンルで録音。ジョージ・ハリスンが4チャンネルのミキサーを持っていたそうですが、トム・ダウドはすでに8トラックで録音していたそうです。

最初の頃、多くのミュージシャンは8トラックの意味や、ミキシングの重要性を理解していなかったようです。

ソウル・ブルース系の音楽が弱かったアトランティック・レコードは、トム・ダウドをスタックス・レコードに送り込みます。

メンフィスです。

そこで、トム・ダウドは、
ブッカーT& the MG’s、
オーティス・レディング、
アレサ・フランクリン
など。

ジャズ、ロック、ブルース、ソウルなどあらゆる音楽のレコーディングを経験した結果、トム・ダウトは誰よりも音楽に詳しくなり、単なるレコード・エンジニアとしてだけではなく、アーティストにアイディアを出したり、アドバイスしたり、プロデューサーの役割なども担うようになります

アレサ・フランクリンの「リスペクト」は、彼のパートナーシップがあって始めて完成しました。

ここで、トム・ダウドは素晴しい出会いにめぐり合います。

オールマン・ブラザーズ・バンドです。

トムは、彼らの音楽を聴き、

ロックの型にはまらない、ジャズのようなフリーなバンドだと直感します。

そして、オールマンズの代表曲、「In Memory of Elizabeth Reed」が生まれます。

グレッグ・オールマンディッキー・ベッツは証言します。
最初、レコーディング・スタジオにあらわれたトム・ダウドを見て、誰だ、あいつは。関係ない奴は追い出せ、と思ったそうです。

しかし、トムは誰よりも音楽を理解し、アーティストの能力を引き出し、みんなをひとつにする力があったのです。

まるで、父親のような存在、信頼のおける存在だったと、二人は述べます。

レナード・スキナードもオールマンズと同じ様に、トム・ダウドの存在があって、サザン・ロックの名曲「フリー・バード」を生み出します。

しかし、ぼくは全く知りませんでした。これだけ多くの偉大なミュージシャンの偉大な名曲が生まれる背後には、トム・ダウドというレコーディング・エンジニアがいたことを。

同時代のエンジニア、フィル・ラモーンの証言や、アレサ・フランクリンのレコーディング映像や、オールマン・ブラザーズ・バンド、レナード・スキナードのライブ映像などをおりまぜ、アトランティック・レコードの社長、本人の証言も含め、トム・ダウトという偉大なレコーディング・アーティストのキャリアが紹介されていきます。

そして、ついにドキュメンタリーのハイライトがやってきます。

「いとしのレイラ」の制作秘話です。

クラプトンが、デレク&ドミノスとアルバム「レイラ」をレコーディング中に、オールマン・ブラザーズ・バンドがライブ・ツアーにやってきます。

クラプトンとトム・ダウドは、さっそくライブに出かけます。
一方、トム・ダウドはクラプトンと一緒にレコーディングしないか、とデュアン・オールマンに声をかけます。デュアン・オールマンは喜んでこれを引き受けます。


はじめて、クラプトンとデュアン・オールマンが出会ったのは、ステージ上のデュアンと、最前列の席上のクラプトン。

演奏中、二人の目が合い、一瞬、デュアンの演奏がとまった、とトム・ダウドは証言します。

こうして、ロック史上、不朽の名作、「Layla(いとしのレイラ)」が生まれたのです

トム・ダウドは、ミキシング・マシーンをつかって、この曲をどうミックスしたかを再現してくれます。

ここで、デュアンのギターの(バランス)を大きくし、
ここで、クラプトンのギターを大きくし、

ピアノ・パートは後日録音したんだ。

ドラムスが入ってくるだろう。

ここで、ベース音がはっきりと浮き上がる。

デュアンのギターに刺激されて、クラプトンが発奮し、

二人のギターの奇跡的なミックスが完成します。


このシーンは圧巻です!

クラプトンは証言します。

トム・ダウドは、誰よりも音楽を知っていた。彼自信がミュージシャンなのだ。
彼が自分に与えてくれた最大のもの。

それは自信だ。

ブルースをどう表現したらよいか、迷い不安だったクラプトンを
あらゆる面でアドバイスしアイディアを出し、サポートし、音楽的にこれでいい、という安心感を与えてくれた。

偉大なプロデューサーだ、と。

家に帰って、デレク&ドミノスのCDを見てみました。
CDの裏ジャケットにはこう記されていました。

エグゼクティブ・プロデューサー:トム・ダウド

そうだったのか。知らなかった。トム・ダウドなくして「レイラ」は生まれなかったのだ。

ミキサー、レコーディング・エンジニアとしてキャリアをスタートしたトム・ダウドは、いつのまにか偉大なロックの歴史に軌跡を残す名プロデューサーになっていたんですね。

ドキュメンタリーの最後に、トム・ダウドは証言します。

みんなは、ぼくがすごい大金を稼いだと思っているかもしれないけれども、
ぼくがもらったおは、仕事に対するごくまともな金額だけだ(大金持ちにはなっていない)

僕がもらった最大の報酬は、

素晴しいアーティストたちと、素晴しい音楽を生み出すその感動、実に数多くの感動をもらったことだよ

そういって、彼は、あまりうまくないピアノを弾きながら、自分のキャリアに思いをはせているようでした。


ロック・ファン、音楽ファン必見のドキュメンタリーです。
ぜひ観にいってください♪



クラプトン関連日記
クラプトンのたどり着いた場所は
エリック・クラプトン:悪魔に魂を売ってしまったのか





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最終更新日  2006年04月24日 15時39分22秒
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