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その名を、トム・ダウドといいます。 映画館は、ちょっと判りにくい場所にあります。 映画館の住所は、渋谷区宇多川町ですが、 映画館に入ってみてまたびっくり。 小さな部屋に、大きさや色、形、デザイン、素材の違う スクリーンに天井に設置されたプロジェクターで映画を写すだけ。 そんな会場に、整理券番号3番で入場。 お客さんは、この2人だけ。 なぜか最後まで、お客さんは2名だけでした。
音楽ファン、ロック・ファンだったら絶対にオススメのドキュメンタリーです。
トム・ダウドに出会うまで、レコーディング・スタッフやミキサーなんかには一切興味がなかったと。 しかし、クラプトンのこの考えが全くの間違えであったことを、彼はあとから知るのです。
1947年にはじめて、レコードのミキシングの仕事にたずさわります。 最初は、 その後、アトランティック・レコードの社長にその力を認められ、アトランティック・レコードで仕事をするようになります。 クリーム(クラプトンと出会う)、 そうそうたるミュージシャン・アーティストたちのレコーディングです。 ビートルズは当時、3チャンネンルで録音。ジョージ・ハリスンが4チャンネルのミキサーを持っていたそうですが、トム・ダウドはすでに8トラックで録音していたそうです。 最初の頃、多くのミュージシャンは8トラックの意味や、ミキシングの重要性を理解していなかったようです。 ソウル・ブルース系の音楽が弱かったアトランティック・レコードは、トム・ダウドをスタックス・レコードに送り込みます。 メンフィスです。 そこで、トム・ダウドは、 ジャズ、ロック、ブルース、ソウルなどあらゆる音楽のレコーディングを経験した結果、トム・ダウトは誰よりも音楽に詳しくなり、単なるレコード・エンジニアとしてだけではなく、アーティストにアイディアを出したり、アドバイスしたり、プロデューサーの役割なども担うようになります。 アレサ・フランクリンの「リスペクト」は、彼のパートナーシップがあって始めて完成しました。 ここで、トム・ダウドは素晴しい出会いにめぐり合います。 オールマン・ブラザーズ・バンドです。 トムは、彼らの音楽を聴き、 ロックの型にはまらない、ジャズのようなフリーなバンドだと直感します。 そして、オールマンズの代表曲、「In Memory of Elizabeth Reed」が生まれます。 グレッグ・オールマンやディッキー・ベッツは証言します。 しかし、トムは誰よりも音楽を理解し、アーティストの能力を引き出し、みんなをひとつにする力があったのです。 まるで、父親のような存在、信頼のおける存在だったと、二人は述べます。 レナード・スキナードもオールマンズと同じ様に、トム・ダウドの存在があって、サザン・ロックの名曲「フリー・バード」を生み出します。 しかし、ぼくは全く知りませんでした。これだけ多くの偉大なミュージシャンの偉大な名曲が生まれる背後には、トム・ダウドというレコーディング・エンジニアがいたことを。 同時代のエンジニア、フィル・ラモーンの証言や、アレサ・フランクリンのレコーディング映像や、オールマン・ブラザーズ・バンド、レナード・スキナードのライブ映像などをおりまぜ、アトランティック・レコードの社長、本人の証言も含め、トム・ダウトという偉大なレコーディング・アーティストのキャリアが紹介されていきます。 そして、ついにドキュメンタリーのハイライトがやってきます。 「いとしのレイラ」の制作秘話です。 クラプトンが、デレク&ドミノスとアルバム「レイラ」をレコーディング中に、オールマン・ブラザーズ・バンドがライブ・ツアーにやってきます。 クラプトンとトム・ダウドは、さっそくライブに出かけます。
演奏中、二人の目が合い、一瞬、デュアンの演奏がとまった、とトム・ダウドは証言します。 こうして、ロック史上、不朽の名作、「Layla(いとしのレイラ)」が生まれたのです。 トム・ダウドは、ミキシング・マシーンをつかって、この曲をどうミックスしたかを再現してくれます。 ここで、デュアンのギターの(バランス)を大きくし、 ピアノ・パートは後日録音したんだ。 ドラムスが入ってくるだろう。 ここで、ベース音がはっきりと浮き上がる。 デュアンのギターに刺激されて、クラプトンが発奮し、 二人のギターの奇跡的なミックスが完成します。
クラプトンは証言します。 トム・ダウドは、誰よりも音楽を知っていた。彼自信がミュージシャンなのだ。 それは自信だ。 ブルースをどう表現したらよいか、迷い不安だったクラプトンを 偉大なプロデューサーだ、と。 家に帰って、デレク&ドミノスのCDを見てみました。 エグゼクティブ・プロデューサー:トム・ダウド そうだったのか。知らなかった。トム・ダウドなくして「レイラ」は生まれなかったのだ。 ミキサー、レコーディング・エンジニアとしてキャリアをスタートしたトム・ダウドは、いつのまにか偉大なロックの歴史に軌跡を残す名プロデューサーになっていたんですね。 ドキュメンタリーの最後に、トム・ダウドは証言します。 みんなは、ぼくがすごい大金を稼いだと思っているかもしれないけれども、 僕がもらった最大の報酬は、 素晴しいアーティストたちと、素晴しい音楽を生み出すその感動、実に数多くの感動をもらったことだよ。 そういって、彼は、あまりうまくないピアノを弾きながら、自分のキャリアに思いをはせているようでした。
クラプトン関連日記 クラプトンのたどり着いた場所は エリック・クラプトン:悪魔に魂を売ってしまったのか お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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