テーマ:好きなクラシック(2288)
カテゴリ:クラシック・本・写真・アート
ひとりで、街の市場にいき、野菜などを買ってすっかり溶け込んで生活している。 そんなテレビ番組を見て興味をもった小菅優。その後発売された 『リストの超絶技巧練習曲集』のCDを聴いてみて、 リスト:超絶技巧練習曲集 / 小菅優 【CD】リスト:超絶技巧練習曲集 / 小菅優 リスト:超絶技巧練習曲集 小菅優/リスト:超絶技巧練習曲集 テクニカルな印象はなく、情感豊かな感じがしたので、いつか彼女のピアノ・リサイタルを聴いてみたいと、思っていたら、 紀尾井ホールでリサイタルがあったので、いってみた。 前半のプログラムは、最新のCD『ファンタジー』に収められている曲で構成。 ファンタジー / 小菅優 【送料無料選択可!】ファンタジー / 小菅優 《送料無料》小菅優(p)/ファンタジー(CD) ファンタジー 小菅優/ファンタジー 小菅優/ファンタジー ファンタジー / 小菅優 01.J.S.バッハ:幻想曲イ短調 BWV922 02. ハイドン:幻想曲ハ長調 Hob.XVII:4 (1789) 03. シューベルト:幻想曲ハ長調 (グラーツの幻想曲) D.605A 04. ショパン:幻想曲ヘ短調 作品op.49 05. ファリャ:アンダルシア幻想曲 普段は、ジャズ、ロック、ハワイ音楽のライブによく行くが、クラシックの場合は、シンフォニーかコンチェルトを聴きに行くことが多かったので、はずかしながら、 紀尾井ホールは初めていった。 JR四ッ谷駅から上智大学の横を通り過ぎていくと、紀尾井ホールがある。新日鉄が作ったホールだが、これが綺麗でなかなかいいホールだった。 ぼくの席はバルコニー席で、斜め前の人の頭に隠れて、ステージ上のピアノの鍵盤より先の部分しか見えない。ピアニストや鍵盤を見ようと思ったら、からだをねじって前傾姿勢になるしかない。 ちょっと、最初はめんどくさかったが、逆に、その姿勢をとりさえすれば、鍵盤の上の手の動きがばっちり見える。かえって幸運だったかもしれない。 ホールの立派なシャンデリアがいっせいに暗くなり、小菅優(こすげ ゆう)がステージに出てきた。 ちょっと緑がかったブルーの鮮やかなドレス。 ちょっとぽっちゃり目のからだ。 しっかりした二の腕と厚めの手のひら。 スタインウェイのピアノ。 さっそく1曲目の 『J.S.バッハ:幻想曲イ短調』がはじまった。 バッハの曲は、わりと淡々としたものが多い気がするが、彼女は、フォルテとピアニッシモを差をはっきりと弾き分け、休止符での間合いの取り方も、少し長めにしている。 バルコニー席からは、彼女が鍵盤を弾くと、ピアノの弦をハンマーが下から叩きつける様子がよく見える。 CDでも、なかなかいいと思っていたが、やっぱり生のピアノの音は凄くいい。 しっかりとしたダイナミックな演奏。 彼女が鍵盤を弾いている様子をみて、バッハの曲って案外音域の幅が狭いところで創られているんだなァ、と思った。が、そのバッハの曲を、 強弱、多彩な音色、輪郭はっきりした音で演奏する小菅優。 すごく豊かな音楽。小菅優の不断の練習の賜物だなぁ、と思いながら聴いている。 弾き終わって、大きな拍手をもらい一回、ステージから退出する。 ふたたびステージにあらわれた小菅優。礼をして席に着く。 2曲目は 『ハイドン:幻想曲ハ長調 Hob.XVII:4』 バッハの曲とはうってかわって、テンポよく軽やかにピアノを弾く彼女。 軽やかなのに力強い演奏。 右手がよく動く。 3曲目は、 『シューベルト:幻想曲ハ長調 (グラーツの幻想曲)』 ゆっくりと曲に入っていく。 こうしてバッハ、ハイドン、シューベルトと聴いていると、小菅優は、1曲、1曲の違いを引き分けているというよりも、それぞれの作曲家の違いを見事に弾き分けていると感じる。 ジャズ・ピアノと違って、鍵盤を弾いたあとに、ポン、と手を上にはずむ動作が、「そういえば、クラシック・ピアノってこうやって弾くんだよなあ」と、いまさら、子供みたいなことに感心している自分。 作曲家の違いが演奏に現れているけれども、どこか芯の太い音、これは小菅優の特徴が出ているんだと思う。 小菅ワールドとして一本、筋が通っている。 最後の和音、最後の1音の残響が消え入るまで、じっとそのままの姿勢でじっとしえいる小菅。 それをじ~っと最後まで聴き入る観客。 そして小菅が立ち上がろうと動き始めた時に、われんばかりの拍手。 今まで、いろんな国でクラシックのコンサートを聴いてきたが、 最後までしっかり聴いているのは、日本の観客だけではないだろうか。 そこまで、熱心に丹念に演奏を味わっている。 4曲目は、 ショパンの『幻想曲ヘ短調 作品op.49』 くぐもった低音から曲がはじまる。 この曲、何度聴いても、エピローグのメロディは、 「雪の降る町を。。」という曲に聴こえてしょうがない。 その後、強く、弱くと大きく展開する。 ジャズのように自由奔放に、とはいかないまでも、クラシックで、演奏家が作曲家の書いた曲を解釈する、という範囲内ではあるが、レンジがひろい 強弱、緩急の違い、静と動、多彩な色彩感。 息を呑む演奏だ。 曲を聞かせるツボを心得ている、というか、 曲にこめられた意図、作曲家の意図を深く解釈しているのだろう。 期待していた以上の演奏だ。 ドイツをはじめ、ヨーロッパで彼女の評判がいいのもうなずける。 5曲目、前半の最後の曲は スペインの作曲家 ファリャの『アンダルシア幻想曲』 毎回、曲に入るのに少し集中する時間をとっていた小菅だが、 この曲は、いきなり演奏に入る。 速い展開で進む。スペインを十分に感じる演奏。 先日、ブログで紹介した、渡辺香津美のスペインをテーマにした 「ギター・ルネッサンスIV [響]」を連想する。 パッションあふれる演奏。 ギターをかき鳴らすような音。 男勝り(という表現はあまりよくないが)、やっぱり男勝りの演奏。 すばらしい演奏だ。 曲が終わると、「ブラボー!」の掛け声が。 ぼくも、この曲、この演奏が一番すごいと思った。 拍手に応えて、ふたたびステージに戻ってきて礼をする彼女。 休憩時間に入った。 その2に続く お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007年09月19日 11時16分07秒
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