カテゴリ:楽しき日々(mumbling)
仲良しの友人4人で2週間、ユタ州とアリゾナ州へ
トレッキングに行ったときの話である。 その日は桃色サンゴの砂丘へ出かけることにした。 荒野の中に突然ぽっかりと広がるピンク色の砂丘。 風の向きで刻々と形を変え、 それはまるで不思議な生き物のようだった。 連日のトレッキングで少し疲れていた私たちは 砂丘で、ほんの少しだけ遊んで宿泊地に戻るつもりだったのだ。 車にすべての荷物を置き 私たちは、うきうきしながら砂丘の中に入っていった。 砂についている動物の足跡 砂の間に咲き乱れる花々。 すべてが、本当に愛おしく 抱きしめたくなるような風景だった。 15分後、Rがのどが渇いたので車に戻ると言い出した。 MとLと私は、もうちょっと遊んでいたかったので 後で車に合流することにした。 午前11時すぎの炎天下、 私たちはまるで子供のように砂丘を走り回り 大声をあげて、はしゃぎまくった。 そろそろのどが渇いてきたので、 車に戻ることにした3人は それでもまだウキウキしながらジグザグに歩いていた。 ふと見ると、砂の中に鍵が落ちている。 半分埋まった鍵を拾い上げると、 Lが後ろから走って追いついてきた。 「ねぇ、鍵よ。こんなところで鍵をなくしたら それこそ二度と見つからないわよねぇ。 なくした人、本当にかわいそうに…」 私は振り向いて、Lにそう言いつつ 突然血の気が引いていくのを感じた。 それは、Rが持っていったはずの 私たちのレンタカーの鍵だったのだ。 あと5分遅かったら、鍵は完全に埋まっていたかもしれない。 国道を降りてから、人には全く出会っていない。 この砂丘から最寄の村までは40キロ以上 ベースとして使っていた宿舎までは120キロある。 もちろん携帯など通じるはずはない。 その上ちょっとだけ遊ぶつもりだったので 水も車の中においてきたのだ。 これから午後になれば気温は40度を軽く越えるだろう。 LもMもかんかんである。 私たちは「死に損なった」のだ。 「Rが戻ってきたら、鍵なんて知らないフリをするわ!」 しかし、真っ青な顔をして汗を流して 必死で鍵を探しているRを見たとたん 私たちのイジワルな気持ちは一瞬にして消え去った。 「鍵見つけたよ、大丈夫だよ、心配しなくていいからね!」 私たち4人は抱き合って 「生きていることの喜び」をかみしめた。 ↑あまりのショックに倒れた私(さそりに注意) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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