三蔵法師の旅 その1。ニューズウィークの日本語版に「世界が尊敬する日本人100」という特集記事。(最近は、日本人も外国人に誉められないと自信を取り戻せないらしいが、プライドぐらいどうにかならんのか)。おなじみの、新渡戸稲造、川端康成、三島由紀夫、吉田茂、緒方貞子、イチロー、松井、野茂、クロサワ、北野武、坂本龍一、オノ・ヨーコ、孫正義等々の面々のほかにもオッ!という顔ぶれも。 今上天皇、 川上貞奴(かわかみさだやっこ。明治27年生。生家の没落に伴い、やむなく芸者になるも、類稀な才能と美貌で人気を博す。初のパトロンは伊藤博文。「オッペケペー節」で有名な川上音二郎と結婚後、渡米。ゴッホやモネの絵画に代表されるように「ジャポニズム」が流行していたヨーロッパでは、パリ万博の目玉の一つとなるほどの評判。プッチーニ「蝶々婦人」のモデルの一人としても有名。)、 小林尊(フードファイター)、 押谷仁(WHO西太平洋地域事務局の感染症アドバイザー、SARS感染拡大防止の功労者)、 日銀の福井総裁、 Yoji Yamamoto、 Sonny千葉、 そして、Monkey・・・。 Monkey・・・? イギリスのBBCで1979年から放送された金曜夕方6時の人気番組「Monkey!」の主人公である「Monkey」が世界が尊敬する日本人100の一人に挙げられている。 「Monkey!」とは日テレの「西遊記」(1978~1980)。その主人公のMonkeyとは当然、堺正章のこと。 まぁ、ニューズウィークの紙面ではMonkeyと書いてあるだけだけどね。この、イギリスの「Monkey!」熱はかなりのもので、凝りに凝りまくったファンサイトがあるだけでなく、ビデオ化・DVD化もされているし、再放送もされている。オーストラリア、ニュージーランドでも「Monkey」のビデオが販売されているらしい。 当時のイギリスにはない、小気味良いアクションと、ベタな笑いのセンス、円谷プロの特撮技術、それに東洋的ファンタジーの設定がウケたみたいである。 ちなみに英語翻訳版の役名は 孫悟空=堺正章→Monkey 三蔵法師=夏目雅子→Tripitaka(サンスクリット語で「三蔵」) 猪八戒=西田敏行・左とん平→Pigsy 沙悟浄=岸部シロー→Sandy となる。 そして「西遊記」の話題になると日本人は「トリピタカ(三蔵)は男か?女か?あんな綺麗な男が日本にいるのか?」「サンディー(沙悟浄)って何の生き物なんだ?」とイギリス人に聞かれるらしい。 ちなみに、「スターウォーズ・エピソード1」(アナキンが小さい頃のやつね。)で登場した悪役、両刃のライトセイバーでクワイ=ガン・ジン と、オビ=ワン・ケノービの二人と渡り合った赤鬼さんみたいな「ダース・モール」。あのダース・モールの俳優、レイ・パークは、「Monkey!」を子供の頃に観て感化され、少林拳法の道場に通い始めたらしい。事実、記者会見で本人が証言している。(参照)堺正章に憧れて「スターウォーズ」のアクションスターになってしまっているというのは、日本人には理解しにくいよな。でも、言われてみると確かにダース・モールはマチャアキの孫悟空に似ているよな。 そもそもAnakin Skywalker のSkywalker は「空飛ぶ孫悟空」のイメージから付けられたと言われている。黒澤だけじゃなく日本やアジアのいろんな要素を織り交ぜて、「スターウォーズシリーズ」は紡ぎだされているわけだけど、その「スターウォーズ」と「西遊記」のエッセンスで日本の「ドラゴンボール」もできていると考えると、巨大なリサイクル市場ですな。 インドに向かう中国人の小説を日本で映像化して、それがイギリスに、そして、それが世界へと渡っていっておるのですわ。 三蔵法師の旅は続く。 ジャンル別一覧
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