|
テーマ:洋楽(3286)
カテゴリ:90年代以降の洋楽
'90年に全米No.1を記録したのを始めとして、世界17ヶ国でNo.1を記録したという、後世に残る名曲だ。 '90年の2ndアルバム「I Do Not Want What I Haven't Got(蒼い囁き)」に収録。 「あなたが去ってから15日と7時間がたった…」という歌い出しで始まるこの曲は、別れた恋人への想いを歌った美しいバラードで、これを書いたのは、あのプリンスである。 元々はプリンスが自分の身内のバンドであるThe Familyに提供した曲で、オリジナルは'85年にリリースされている。 オリジナルはゴスペル色の強い「まあまあな出来」だったが、シンニード・オコナーと出会う事で、この曲は新たな生命力を吹き込まれた。 神秘的な雰囲気、甘美なストリングス・アレンジ、そして彼女の歌の見事な表現力。 どれをとっても「美しい」としか言いようのない最高の出来で、当時は「90年代最高の曲」とまで言われた。 当時は「プリンスの曲を歌ってヒットを出しただけ」などと陰口も言われたが、彼女の選曲眼と、元曲を全く別の次元のレベルにまで高めてしまう消化力から生まれた名作と言える。 だが、この曲のインパクトがあまりに強かったためか、以降これといったヒット曲は出る事はなく、彼女はチャート的にはほぼ一発屋的な扱いを受けたまま消えていき、その分プリンスの株がやたらと上がるという結果に終わった。 その他にはピーター・ガブリエルやマッド・ジョンソンThe The)とのデュエットでも知られる。 この曲はプリンスも自らライヴで歌っており、プリンスの3枚組ベストアルバム「The Hits」でも、そのバージョンは聴けるが、はっきり言ってあまり出来が良くない。 やはりこの曲はシンニードのために生まれた曲というべきだろう。 ジャンヌ・ダルクのような彼女の姿が美しい「Nothing Compares 2 U」のPVはここをクリック! 奔放な言動とアナーキーな姿勢が売りでもあった彼女は、当時様々な方面からバッシングを受けており、「ちょっと売れたからっていい気になってんじゃねえよ。飛行機代やるから田舎へ帰れ」と、当時ちょっと売れたからっていい気になっていたMC・ハマーに言われていたりした。 最も有名なのは、'92年のボブ・ディラン30周年記念コンサートにおける、シンニード・オコナーのボイコット事件だ。 彼女の出身地であるアイルランド共和国では、カトリックの教義に従って、離婚と妊娠中絶が憲法で禁止されており(離婚は1995年に合法化された)、シンニードはこれに対してかねてから異議を唱えていた。 '92年の10月3日、NBCの人気番組「サタデイ・ナイト・ライヴ」に生出演した彼女は、その場でローマ法王の写真をズタズタに破り、「Fight Real Enemy!」と叫んだ。 この行為は全世界で大きな話題となり、特にアメリカではシンニードに対するバッシングが激しく起こった。 カトリックの教義によって生み出された「悪しき伝統」を象徴するものとして、シンニードはローマ法王を選んだのだが、キリスト教が中心であり、カトリックの教義に何の疑問も抱かずに過ごしている多くのアメリカ人にとって、シンニードの行為は「悪しき伝統に対する告発」ではなく「聖人に対する冒涜」としか映らなかった。 その2週間後、シンニード・バッシングの空気が強い中、彼女は前述のボブ・ディラン30周年コンサートに出演。当初はディランの「I Believe In You」を歌う予定だったが、彼女がステージに上がった途端激しいブーイングが起こり場内は騒然。歌うに歌えなくなった彼女は、たったひとりでボブ・マーリーの「War」をアカペラで歌い、泣きながらステージを降りた。 その時の模様は僕もNHKの放送で見ていたが、アメリカの大衆の心の狭さと、それに対する彼女の毅然とした態度が印象的だった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[90年代以降の洋楽] カテゴリの最新記事
|