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葛西ランナ-ズHP

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KENさんのニューヨークマラソン事情2

NYレポート(NYマラソン事情)第6号

 Hello, everyone! NY支部長のKENです。
 実に9か月ぶりのレポートになります。(ちょっとサボりすぎました…。ゴメンナサイ!)
 ご無沙汰した分、今回は少々長めのレポートになりますが、どうぞお付き合いください。

【NYシティマラソン2011】

 さてさて、まずは最新のビッグ・ニュースから。
 2011年11月6日(日)、「NYシティマラソン2011」で2時間47分04秒をマークしました!
 これまで4年間挑み続けてきた2時間50分切りをやっと達成するとともに、社会人になってからの自己最高記録(学生時代を入れると4番目の記録)を出すことができ、素直に嬉しいです。

 思えば、2007年3月に学生時代以来17年ぶりのサブスリー(2時間54分08秒)を記録し、「次は、2時間50分切り。」と目標を定めてから8回フルマラソンを走りましたが、そのうち2008年2月の東京マラソンの2時間50分41秒が最高で、ことごとく「2時間50分の壁」に跳ね返され続けてきました。
 2009年11月に葛西ランナーズに入会し、満を持して臨むつもりだった2010年3月の東京荒川市民マラソンが、強風で当日中止となる不運にも見舞われました。
 2010年8月にNYに来てからアメリカで走った3回のフルマラソン(NYシティマラソン2010(2010年11月)、2011ワシントンDCナショナルマラソン(2011年3月。これは調整レースでしたが…。)、2011ニュージャージーマラソン(2011年5月))も、いずれも2時間50分台前半と、なかなかパッとせず…。
 そうした中、「今度こそ!」という思いで臨んだ今回のNYシティマラソンで、遂に目標を達成することができたわけですから、感慨もひとしおです。ゴール後、「これまでの努力がようやく報われたんだ!」と思うと、目頭が熱くなりました。

 今回のレースを振り返ってみると、まず、気象条件が最高でした。暑すぎず、寒すぎず、風もほとんどないという、願ってもない(逆に言うと、記録が悪くても天候のせいにはできない)絶好のコンディションの中、終始快適に走ることができました。

 また、作戦もうまくハマりました。これまでアメリカでフルマラソンを走るときは、「基本は1マイル6分25秒(=1km4分)以内。あとは流れに任せて走る。」という作戦でしたが、今回は、「1マイル6分20~30秒の幅の中で走る。特に前半はそれより速く走らない。」と心に決めてスタートしました。これは、昨年のNYシティマラソンで、前半ついて行った集団のペースが1マイル6分08秒まで上がったとき、「想定より速いけど、行けそうだから行っちゃえ!」と調子に乗ってしまった結果、後半の方がタフなコースに全く歯が立たなかった、という苦~い経験を教訓にした作戦です。今回はこの作戦がうまく功を奏し、前半のスピードをコントロールできたため、ハーフを1時間23分21秒で通過したときも、「よし、まだまだ行けるぞ!」と、かなり精神的な余裕がありました。(ちなみに、昨年はハーフを1時間21分54秒で通過しましたが、逆に速すぎて全く精神的な余裕を持つことができませんでした。)その後、結局後半も1時間23分43秒とほぼイーブンペースで押すことができ、「会心のレース」となったわけです。

 そして、今回の「会心のレース」の背景にあるのが、今年6月から取り組んできたスピード練習の成果です。今年5月の2011ニュージャージーマラソンで2時間50分切りを実現することができなかった私は、正に“藁にも縋る思い”で(以前レポートでも触れた)NYロードランナーズ(NYRR)のランニングクラスに入り、6月から週1回、ロードインターバルトレーニングを始めました。葛西ランナーズで江戸陸での練習に一度も参加できなかった私にとっては、学生時代以来、実に22年ぶりのスピード練習で、普段のロードワークでは使わない筋肉が相当の刺激を受けています。同時に、スピードを上げるには「歩幅を伸ばす」ことが重要ですが、そのための感覚的なコツも掴むことができるようになりました。私の走り方はピッチ走法ですが、これまでは「足を地面に置く」イメージで走っていました。確かに「地面を蹴る」と歩幅は伸びますが、「蹴っていると足が最後まで持たない」という思いから、とにかく速いピッチで「足を地面に置く」ことにこだわってきたのです。でも、それだけでは歩幅も伸びないし、スピードも上がらない。他方、「蹴る」と脚がもたない。そんな中で思い付いたのが、「脚で地面を押す」ことです。足(foot)が地面を離れる瞬間に、脚(leg)全体で地面を「グッ」と押すことを意識するのです。そうすると、「置く」だけよりもかなり歩幅が伸び、かつ、「蹴る」よりも脚へのダメージが少なくて済みますし、しかも、効率良く「押す」ことを意識すると、自然に膝が上がります。その結果、今年7月の4マイル(約6.4km)レースで23分13秒、今年8月の5マイル(約8km)レースでは28分58秒をマークすることができ、スピード強化を実感しました(1マイル当たり5分48秒(=1km3分36秒)のペース)。NYシティマラソンで、前半、1マイル6分20~30秒ペースの集団の中で走っている最中に、「あ~、何だか車に乗っているみたいに楽だなぁ~。」と感じられたのも、基本となるスピードが付いたからだと思います。もちろん、個人差もありますし、「押し具合」はきわめて感覚的なものですから、一概に「押せばいい」とは言えませんが、皆さんのスピード強化のヒントになれば幸いです。

 もう一つ、忘れてならないのが、“秘密兵器”の「魔法のソックス」です。これは、和歌山県にあるニッティドというメーカが製造している「ランニング用5本指ソックス(MTS)」で、日本国内では同社の提携先の靴下屋(TABIO(タビオ))から「レーシングラン5本指ソックス」(http://www.tabio.com/jp/event/tabio_sports#run)という同機能の製品が販売されています。私は、今年の春、仕事つながりでニッティドの方からの依頼を受け、「MTS」の商品モニターをさせていただくことになったのですが、これを履いて臨んだ2つのレース(先述の4マイルレース(今年7月)と5マイルレース(今年8月))では、いずれも目標を上回るタイムで走ることができました。それに味をしめて、今回のNYシティマラソンもこのソックスを履いて走ったのですが、ここでもやはり「魔法」は健在で、見事に「会心のレース」を演出してくれました。このソックスは、単に5本指になっているだけではなく、土踏まずの部分が少し絞られていて、かつ、足裏に滑り止め加工が施されているため、足やシューズにピッタリとフィットするのです。中でも、土踏まずの部分の絞りが効果的で、長時間走っても足が疲れにくいのではないか、という気がします。とにかく、3レース連続で好結果が出ているわけですから、なかなかレースで他のソックスを履く気になりません。皆さんにも、是非是非お試しいただきたいと思います。

 このほかにも、「会心のレース」の要因としては、昨年に続いて2回目のNYシティマラソン出場でコースが分かっていたこと、震災復興への想いを込めて胸に日の丸を付けて走ったため沿道の日本人の方々から熱い声援を頂けたこと、日本から持ってきて初めてレースで使ったアシックス製シューズ「ソーティーTENKA」の履き心地が期待以上に良かったこと、などが挙げられます。

 これらの相乗効果により、前回の記録(2時間52分37秒)を5分半以上短縮しての歓喜のゴールとなりました。2時間47分04秒は、全完走者4万6795人中310位、日本人完走者458人中2位のタイムでした(ちなみに、日本人1位はモンテローザマラソン部の田玄壮(たげん たけし)選手(30歳))。
 私の当日のビデオと写真が次のサイトで公開されていますので、ご興味がおありになる方はどうぞご覧ください。
http://www2.brightroom.com/email/82760/951/119467136

【NYロードランナーズのランニングクラス】

 私が今年6月から入ったNYロードランナーズ(NYRR)のランニングクラスは、NYRRが有料(週1回×10週で105ドル)で実施しているトレーニングクラスで、ベテランコーチのボブ・グローバー氏(65歳)の指導の下、初級・中級・上級の3グループに別れ、1グループ30~40人の参加でトレーニングが行われます。火曜日コースと木曜日コースがあり、私は木曜日コースの上級クラスを取っています。
 木曜日コースの上級クラスは、毎週木曜日夕方6時45分に、セントラルパークからほど近い第6パブリックスクールに集合し、その講堂で15分ほどストレッチをした後、“ホームグラウンド”であるセントラルパークでロードインターバルトレーニングをします。
 練習メニューは週ごとに異なります。毎回、ストレッチの後にコーチから発表されるのですが、クォーターマイル(約400m)×6本だったり、300m坂道ダッシュ×6本だったり、1マイル(約1600m)×3本だったりと、バラエティに富んでいます。練習場所は、大抵はセントラルパーク内のランニングコース(アスファルト)のどこかですが、練習メニューによって異なります(セントラルパークは葛西臨海公園の4倍の広さですので、練習場所には事欠きません)。パーク内には1周300mほどの土のトラックもあり、そこで400m×6本をすることもあります。
 練習時間は1回1時間半ほどですが、結構内容が充実していますし、メンバーも実力伯仲ですので、いい刺激になります。日本にいるときは5kmレースで18分10~20秒かかるほどスピードが落ちていましたが、今年7月の4マイル(約6.4km)レースで23分13秒、今年8月の5マイル(約8km)レースでは28分58秒でした。いずれも1マイル当たり5分48秒(=1km3分36秒)のペースですから、5km通過が18分フラット前後という計算になります。これからもっとスピードを付けて、できれば1マイル当たり5分38秒(=1km3分30秒)ペースで4~5マイルを走れるようになりたいですね。

【Greater New York レーシング・チーム(GNY)】

 今年の私のNYシティマラソンの写真をご覧になった方はお気付きかと思いますが、私のランニングシャツに「Greater New York」と書いてあります。
 実は、私は今年6月から、この「Greater New York レーシング・チーム(GNY)」というランニングクラブに所属しています。GNYは、(NYRRランニングクラスのコーチでもある)ボブ・グローバー氏が監督を務めるランニングクラブで、同氏の勧誘を受けて入会したメンバーによって構成されています。私も同氏から勧誘され、入会しました。GNYには老若男女数十名が所属しています(総勢何名かは知りません)。
 NYエリアにはこのようなランニングクラブが全部で280前後あります。これらのクラブは、年間11本のクラブポイントレースで獲得ポイントを競い合います。ポイントの獲得方法は、1つのレースにおける各クラブ上位5名(又は3名)の合計タイムを計算・比較し、1位のチームが15点、2位が12点、3位が10点、4位が8点、5位が6点、6位が5点、7位が4点、8位が3点、9位が2点、10位以下が1点をそれぞれ獲得する、という方式です。男女別、年代別(オープン、40歳以上、50歳以上、60歳以上)に部門が分かれていて、それぞれの部門で年間獲得ポイントが競われる仕組みになっています。クラブ内外で競争意識が働く、いい仕組みだと思います。東京にも葛西ランナーズをはじめ沢山のクラブがありますが、このように全体が組織化されると面白いですね。
 また、GNYでは、NYシティマラソンの前に全部で4回(公式3回、非公式1回)の調整ランが行われました。本番8週間前の18マイル・トレイルラン、7週間前の22マイルLSD(非公式)、3週間前の18マイル・リバーサイドラン、そして8日前のレースコースラスト10マイルランです。どれもそれぞれ有意義でしたが、特に印象的だったのが、8日前(10月29日(土))のレースコースラスト10マイルランです。これは、実際のレースコースの16マイル地点からセントラルパークのゴールまでの10マイルをジョグする(最後の2マイルはレースペースに上げても良い)というものだったのですが、朝から降っていた雨が途中から雪に変わり、最後は降りしきる雪の中を寒さに震えながらゴールすることになりました。それでも、昨年苦しめられたラスト4マイルを直前に走ってみて、改めて「最後まで相当の余力を残しておかないと、このコースにはとても太刀打ちできないなぁ。」ということを強く実感することができたのは、大きな収穫でした。
 GNYをはじめNYエリアのランニングクラブに所属すると、NYシティマラソンの「ローカル・コンペティティブ(地区競争)」に参加することができます(ただし、あらかじめ参加制限タイムをクリアしておく必要があります)。これは、クラブ同士の競争なのですが、「ローカル・コンペティティブ」参加者は、スタート前に専用の待機エリアに入ることができ、かつ、スタートライン近くからスタートできるという特典が与えられます。まぁ、それだけと言えばそれだけなのですが、昨年と比較してみて、「慌てなくても前方からのスタートが保証される」という意味で、精神的な余裕を持つことができました。
 NYシティマラソンのレース前半では、かなり長い間、GNYのメンバー4人と同じ集団の中で走りました。メンバーの実力は大体分かっていますので、「この中にいる分には大丈夫だな。」と、安心して走ることができました。
 これからもGNYの他のメンバーと切磋琢磨しながら、実力アップを図っていきたいと思います。
 
【走力偏差値(?)】

 アメリカでレースを走ると、実際のタイムとは別に、「Age-Graded Time」(年齢調整したタイム)とそれに基づくパフォーマンス・スコア(%)が示されることがあります。例えば、私(44歳男性)が今年8月に5マイルを28分58秒で走ったときは、Age-Graded Timeが26分33秒で、パフォーマンス・スコアが80.33%でした。これは、「もし20~30歳代だったら26分33秒で走れていて、それは世界記録レベルと比べると80.33%のパフォーマンスになる」という意味なのだそうです。
 実は、このスコアが80%以上になると「全国クラス」のランナーとして位置付けられ、ランナーの間でも一目置かれるようになります。GNYの中でもパフォーマンス・スコアが80%以上のランナーは18人だけで、私が80.33%をマークしたときには、「KENが80%クラブの仲間入り!」というニュースがGNYメンバーにメールで知らされるほどでした。
 このパフォーマンス・スコアは、差し詰め(学力偏差値ならぬ)走力偏差値とでもいったところで(厳密にはちょっと違いますが・・・。)、↓のサイトで計算することができます。
http://www.runnersworld.com/cda/agegradingcalculator/0,7977,s6-238-277-415-0-0-0-0-0,00.html
 私自身、学力偏差値はあまり気にしたことはありませんが、走力偏差値の方は大いに気になります。今回のNYシティマラソンでの私のAge-Graded Timeは2時間37分42秒(猫ひろし並み)、「走力偏差値」は79.21%で、80%台には1分39秒足りませんでした。来年1月に45歳になると少し基準が下がり、フルマラソンを(今回よりも13秒速い)2時間46分51秒で走れば、Age-Graded Timeが2時間36分08秒、「走力偏差値」が80%になります。決して手の届かない目標ではないので、この辺りを視野に入れつつ、「次のレース」に臨みたいと思います。

【ボストンマラソン2012出場決定】

 その「次のレース」は、来年4月16日(月)の「2012ボストンマラソン」です。
 NYレポート第5号でお伝えしたとおり、「2011ボストンマラソン」申込みの“異変”を受けて申込方法が改善されたため、今回はお陰様で申込みに成功し、無事「2012ボストンマラソン」に出場できることになりました。
 それでも、今年9月12日(月)~13日(火)の「優先申込期間」中にネットで申込みをした後、「出場者リスト」に自分の名前が載るのを待つ間は少し緊張しましたし、実際にリスト上で自分の名前を確認したときはやはりホッとしました。
 結局、最終的には、参加標準記録よりも1分14秒以上速い記録を持つランナーが「2012ボストンマラソン」に出場できるようになったようです。
 新しい申込方法は、申込みから参加の可否が判明するまでの「間」が心臓に悪いという構造上の問題はありますが、「早い者勝ち」方式よりも結果がフェアなので、出場できなかったランナーにも納得感が得られやすいのではないでしょうか。また、同時に、前回の“異変”の後、比較的短期間で新しい申込方法を考案し、かつ、それを特段のトラブルなく実践した主催者(ボストン陸協)の取組みを、大いに称えたいと思います。
 いずれにしても、折角出場できるようになった「2012ボストンマラソン」です。アメリカで最も古い伝統あるこのレースを思う存分楽しむとともに、また嬉しい報告ができるよう、それまでトレーニングを積んでいきたいですね。

【2011ワシントンDCナショナルマラソン】

 ここから先は、今年の春に走った2つのレースの報告です。いずれも半年以上前の話で記憶も曖昧なのですが、思い出せる範囲で書かせていただきます

 まずは3月26日(土)に走った「2011ワシントンDCナショナルマラソン」から。このレースは、米国商務省国際貿易局の次官補代理であるクレイグ・アレンさんから誘われ、5週間後の「2011ニュージャージーマラソン」の調整レースとして出場したものです。
 レース前日(3月25日(金))に年休を取り、早朝軽く走ってから、電車でワシントンDCへ。正午前に到着したユニオン・ステーション内のカフェでランチを取り、駅近くの床屋で散髪をした後、ワシントンDCに事務所を構える旧友の日本人弁護士のところに顔を出して懇談。続いて、大学の陸上部の先輩である某日系通信事業会社のワシントン事務所長(同じく翌日のレースに出場予定。)を訪ね、翌日のレースで胸に付ける「日の丸」を受け取りました。実は、レースの数日前にその先輩と連絡を取った際、その先輩がランナー仲間とともに同じレースに出場されることと、皆さんが3月11日(金)に発生した東日本大震災からの日本の復興を祈って「日の丸」を胸に付けて走られることが判り、急遽、私も「日の丸」を付けて走ることにしたのです。
 その後、夕方に商務省のアレンさんのオフィスを訪ね、アレンさんに再会。アレンさんの車でゼッケン・ピックアップの会場に行ってゼッケンを受け取ってから、アレンさんのご自宅に向かいます。アレンさんのご自宅はワシントンDCの郊外マクリーンの閑静な森の中にある一軒家。ガレージからご自宅に入ると、入口で奥様とお嬢さんが「お帰りなさい!」のハグ。「おーっ、これがアメリカ人の『お帰りなさい!』かぁ。テレビで見たことあるなぁ。」と軽く感動しました。
 夕食は奥様お手製のパスタとサラダ。パスタはサーモンとバジリコの2種類で、どちらも美味!レース前日のカーボ・ローディングはこれでバッチリです。その日は、予定より少し遅く午後10時頃に就寝。翌朝は午前4時に起きて朝食を摂った後、アレンさんの車でスタート会場へ。スタート1時間前の午前6時に会場の駐車場に到着し、ウォーミングアップ、トイレ、着替えを済ませてからスタート地点へ移動しました。
 午前7時、割と肌寒い中、号砲とともに一斉にスタート。今回は調整レースなので、1マイル6分52秒(1km4分15秒)のペースで走り、余裕を持って3時間を切ることが目標です。ということで、手許の時計が6分30秒を過ぎた辺りで、「そろそろ1マイル地点かな。」と沿道を見渡したのですが、その付近にあるはずの距離表示が見当たらない。。。「あれっ、見落としたのかな?そんなはずは・・・。」ところが、2マイル地点、3マイル地点と思しき付近にも、距離表示がない。「ええっ!これじゃ、ペースが分かんないよ!」と心の中で叫びながらも、「予定より遅くなるのは避けたい。」と考え、流れに任せて走り続けることにしました。
 ようやく距離表示らしきものが見えてきたのが、手元の時計で1時間8分を過ぎ、予定では10マイルに差し掛かる辺り。「な~んだ、ここが10マイルなら予定どおりじゃないか。」と気を取り直したのも束の間、目に飛び込んできたのは距離表示の看板に書かれた「11mile」の文字。「うわっ、ナニッ?えっ、予定より1マイル速く走っちゃったのか!?」そのまま動揺と混乱のうちにハーフを1時間23分03秒で通過した後で、ようやく少し冷静さを取り戻し、ペースを徐々に落とすことにしました。
 その後は、やはり前半のペースが速すぎたせいで、特にレース終盤に脚が動かなくなり、最後は全く余裕を持てない状態で、2時間54分03秒でのゴールとなりました。結局、後半のハーフは1時間31分かかってしまい、「調整レース」としては失敗レースになりました(ちなみに、完走者2959人中48位、日本人では2位でした)。
 無調整で臨んだレースでサブスリーが達成できたということと、「日の丸」を付けて走ったことで沿道から「Go, Japan!」という温かい声援を頂くことができたことが、せめてもの救いです。

【2011ニュージャージーマラソン】

 「2011ワシントンDCナショナルマラソン」から5週間後、5月1日(日)に、本命の「2011ニュージャージーマラソン」を走ったのですが、実は、その直前に事件が起きました。
 「2011ワシントンDCナショナルマラソン」による身体的ダメージも2~3週間で癒え、レース直前2週間の調整に入った矢先の4月20日(水)。栄養バランスのいい昼食を摂ろうと、職場近くのデリで、ライス・肉・魚・野菜サラダをランチボックスに詰め、職場に持ち帰って食べたのですが、食べた直後から気分が悪くなり、とても職務を続行できない状態に陥りました。そのため急遽午後休を取り、帰宅したのですが、その後一晩中、嘔吐・下痢・発熱の「三重苦」に見舞われる羽目になりました。翌21日(木)午後に病院に行き診察を受けたのですが、やはり食あたりとのこと。その頃には「三重苦」も治まってきたものの、ここに来ての“身体的ダメージ”は全くの想定外です。一瞬、「10日後にちゃんとフルを走れるのか。」という不安が頭の中を過ぎりましたが、ここは予定どおり決行することにして、何とか残り10日間で体調を元に戻しました。
 スタート地点のニュージャージー州ロングブランチまではニューヨークから電車で1時間ほどですが、スタートが午前8時と早いため、前泊が必要になります。前日(4月30日(土))午前中に電車でロングブランチ入りし、昼食・散髪・夕食を済ませ、午後8時に就寝しました。当日は午前4時に起床し、午後5時半にスタート会場へ。スタート地点は大西洋が見渡せる、景観のとても美しいところです。天気は快晴ですが、5月ということで、「フルには少し暑くなりそうだな。」と思いながら、午前8時にスタートしました。
 全体がかなりフラットなコースなので、「前半多少突っ込み気味にいっても、後半我慢すれば2時間50分切りは可能。」という判断から、1マイル6分10~20秒前後の「流れ」に迷わず乗り、ハーフを1時間22分52秒で通過。この時点で、自分の中ではまだ若干余裕がある気がしたので、ついつい色気が出て、気持ちペースを上げてしまったのですが、その直後に「あ~っ、ちょっとキツくなってきたなぁ。」と感じるようになりました。それでも何とか我慢して走り続けたのですが、19マイル地点でコースが北向きに変わり、風を正面からまともに受けるようになると、万事休す。一気に脚が止まり、20マイルから22マイルまでの2マイルは、1マイル7分18秒(=1km4分32秒)まで落ちてしまいました。
 このままでは、2時間50分切りはおろか、5週間前の「2011ワシントンDCナショナルマラソン」の記録をも下回ってしまうかも・・・。最悪の結果も懸念されたそのとき、後方から一人のランナーが追い上げてきました。「もう、このランナーに付いていくしかない。」必死に付いていくうちに何とかリズムを取り戻すことができ、最後は藻掻きながらゴールに駆け込みました。
 タイムは2時間51分42秒。完走者1866人中9位、40~44歳の部211人中2位、日本人ではトップでした。目標の2時間50分切りがまたも達成できなかったことは残念ですし、反省材料も沢山ありますが、ラスト4マイルを粘りの走りで巻き返し、結果的に渡米後のベストタイムでゴールできた点は、素直に評価したいと思います。

 以上、長文にお付き合いいただき、ありがとうございました!

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NYレポート(NYマラソン事情)第5号

 Hello, everyone!NY支部長のKENです。
 またまたおよそ2か月のご無沙汰となってしまいました。ゴメンナサイ。

 さて、今回のお題は「2012ボストンマラソン」「2011ワシントンDCナショナルマラソン」「NYシティマラソン2011」の3本です。

【2012ボストンマラソン】
 今年4月18日(月)に行われる「2011ボストンマラソン」が申込初日(昨年10月18日(月))に8時間ほどで定員に達し、後れをとった多くの有資格ランナー(いわゆる「ボストン・クォリファイアー」)をはじめ、世界中のマラソン・ランナーに衝撃を与えたことについてはご存知の方も多いと思いますが、来年(2012年)4月16日(月)の「2012ボストンマラソン」については、主催者(ボストン陸協)も「このままではマズイ。」と対策を考えたようで、申込方法が、従来の「早い者勝ち方式」から「多段階方式」に変更されました(2月16日(水)発表)。
 具体的には、「2012ボストンマラソン」の申込方法は、申込期間を今年(2011年)9月12日(月)~23日(金)の12日間とした上で、
(1)1週目(12日(月)~18日(日))を3区分して、有資格ランナー(年代別・男女別に参加標準記録が設定されています。例えば、レース当日45歳の私の場合は3時間30分です。)のうち、参加標準記録より20分以上速いランナーは初日(12日(月))から、参加標準記録より10分以上速いランナーは3日目(14日(水))から、参加標準記録より5分以上速いランナーは5日目(16日(金))から、それぞれ申込みができるようにするとともに、
(2)それ以外の有資格ランナーについては、2週目(19日(月)~23日(金))に申込み、申込者の中から記録の良いランナーを優先的に選ぶ、
という、よりシステマティックで記録重視の方式になります。
 私の場合、昨年11月のNYシティマラソンの記録(2時間52分37秒)で「参加標準記録より20分以上速いランナー」になります(ちなみに、申込みのための記録は昨年9月25日以降のもの)ので、今年9月12日(月)~13日(火)に忘れずに申し込めば、まず間違いなく「2012ボストンマラソン」に出場できるはず、というわけです。1年以上先のレースになりますが、これで新たな目標ができました。(それにしても、洋の東西を問わず、マラソン人気の加熱ぶりは凄いですね。)
 なお、今回の申込方法変更については、↓のサイト(日本語)でも詳しく紹介されていますので、ご参考まで。
http://www.wa-japan.com/News/2011/Feb/0217.html

【2011ワシントンDCナショナルマラソン】
 日本では全くと言っていいほど馴染みのないこの「ワシントンDCナショナルマラソン」は、2006年以降、毎年3月にアメリカの首都ワシントンDCで開催されているレースです。私にその存在を教えてくれたのは、今年1月初めに仕事でワシントンDCに出張したときに面会した、米国商務省国際貿易局の次官補代理であるクレイグ・アレンさんでした。実は、このアレンさんの略歴を事前に頂いたところウルトラマラソンも走る市民ランナーであることが判ったため、私からも、NYシティマラソンを2時間台で走ったことをあらかじめ伝えていたのですが、それが功を奏して、アレンさんは面会当初からリスペクト・モード。1時間の面会時間のうち、初めと終わりの10分間ずつがランニング談義になり、その際アレンさんから、今年3月26日(土)に開催されるこの「2011ワシントンDCナショナルマラソン」を紹介された、というわけです。
 しかも、なんと、アレンさんから、「私がそのときワシントンDCにいたら、我が家のゲストルームに泊まりに来ないか。」という、思いがけないお誘いを頂きました。折角のお誘いをお断りするのは申し訳ない、という気持ちと、「その4週間後(5月1日(日))に、本命のニュージャージーマラソンがあるんだよなぁ。」という思いとが交錯し、ちょっと悩みましたが、そのとき、みやざわさんが実践された「本命レースの4週間前に目標タイム+10分で余力を残してフルを走る」という調整方法が頭に浮かびました。「そうだ、あれをやってみよう。」ニュージャージーマラソンの目標タイムが2時間50分切りですから、「2011ワシントンDCナショナルマラソン」で余力を残してサブスリーを達成できれば良いわけです。
 ということで、急遽「2011ワシントンDCナショナルマラソン」に出ることにしました。NYからワシントンDCまで鉄道で3時間かかることや、レーススタートが朝7時と早いことなどを考えると、前日(3月25日(金))は丸一日休みを取って日中にワシントンDC入りするとともに、アレンさんのお宅に泊まれる場合でも早めに就寝しなければならないなど、色々と遣り繰りする必要がありますが、とにかく楽しんで走りたいと思います。

【NYシティマラソン2011】
 お陰様で、今年11月6日(日)に開催される「NYシティマラソン2011」に出場できることになりました。
 以前にもご紹介したとおり、NYシティマラソンに出場する方法としては「抽選」や「寄付」など色々ありますが、その中で最も安価で確実なのが「出場保証記録を突破すること」です。この「出場保証記録」は年代別・男女別に設定されているのですが、レース当日44歳の私の場合は3時間10分。これは前回の記録でクリアできていますので、既に、昨年11月8日(月)から始まっているネット上の「NYシティマラソン2011」申込受付に早々と申請し、「あとは出場保証されるのを待つだけ。」という状態にしていたところ、申請数が多く事務局の処理に時間がかかるため長らく「塩漬け」にされていたのですが、ようやく先日(2月20日(日))ネット上で出場保証されていることが確認できた、というわけです。これで、安心して11月6日(日)に照準を当ててトレーニングすることができます。

 実は、昨年末に不覚にも体調を崩し、1か月ほど全く走れなかった(1月の走行距離は48km!)のですが、ここに来て徐々に調子を取り戻しつつあります。他方、NYの冬はかなり寒く(特にこの冬はマンハッタンでも50cmの積雪を2度記録しました。)、最高気温が氷点下という日もざらで、外で走れないことが結構あります(そういうときは、住んでいるアパートメントの中にある無料ジムのトレッドミルで走っています)。そんなこんなで、決して順風満帆というわけではありませんが、これからも自分自身でモチベーションを高めながら、トレーニングを積んでいきたいと思います。

 日本では、27日(日)に東京マラソンがありますね。昨年はムチャクチャ寒い中、ぶるぶる震えながら応援したことを覚えていますが、今年は暖かそうですね。ゲブレシラシエは結局欠場するようで残念ですが、出場される方のご健闘をお祈りします。
 では、また!

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NYレポート(NYマラソン事情)第4号

 Hello, everyone!NY支部長のKENです。
 今日は12月25日(土)、クリスマスです。この時期のNYは、街中が色とりどりのイルミネーションで彩られ、とっても楽しい気持ちにさせられます。
 さて、今回は、遅まきながら、11月7日(日)に行われたNYシティマラソンについてレポートします。

【結果概要】
 公式記録は、以前掲示板に「速報」としてお伝えしたものと同じく2時間52分37秒。日本人(として登録されている人たち)の中で3番目、40歳以上の日本人ではトップでした。なお、全体順位は、参加者約4万5,300人中(「速報」から6位下がって)464位でした。
 ちなみに、私の写真と映像が↓のURLに載っています。
http://www2.brightroom.com/browser.aspx?eid=62039&bib=2912
 なお、NYシティマラソンの公式記録は、2006年大会からいわゆるネットタイムになっています。ゴール映像を見ると、私は2時間52分50秒辺りでゴールしていますので、これがグロスタイムになるのですが、こちらは参考記録扱いです。
 タイムは、「Dタグ」という計測チップをシューズに装着して計測するのですが、紙製で軽い上に、↓のURLの写真のように、日本のチップと違って靴紐をほどかずに簡単に装着できるスグレモノです。いずれ、日本でも導入されるかもしれませんね。
http://www.ingnycmarathon.org/documents/INGNYCM10_Race.pdf

【ゼッケン・ピックアップ】
 ニューヨークシティマラソン直前の一週間は、関連イベントが目白押しです。大会2日前に行われる5マイル(約8km)ランや、大会前日に開催されるインターナショナル・フレンドシップラン(いわゆる仮装レース)、マラソン・イブ・イベント(パスタやパンなどが振舞われるパスタ・パーティ)などなど。中でもメインのイベントが、木曜日から土曜日までの3日間にわたって開催される「エキスポ」。ここでは、ゼッケン・ピックアップのほか、協賛会社による各種グッズ販売などが行われます。場所はマンハッタン・ミッドタウンの西にあるジャビッツ・センターというコンベンション・ホールです(東京で言えばビッグサイトのような施設が市街地から徒歩圏内にある、というイメージ)。ゼッケン(D-タグも)はここでしか渡されませんので、マラソン出場者は、必ずそこに行ってゼッケンをピックアップしなければなりません(東京マラソンの場合も同じですね)。
 私も木曜日(11月4日)の夕方に会場に行きました。職場から会場までは歩いても20分ぐらいなのですが、当日雨模様だったこともあり、イベント専用の巡回バス(15分間隔で運行)を利用して会場入りしました。会場では、まず、ゼッケンその他一式(大会Tシャツはもちろん、ミネラルウォーターやゲータレード(各1?)まで!)が入った大き目の透明ビニール袋を渡されます。このビニール袋は、スタート地点に持ち込むことができる唯一の袋で、出場者は、大会当日、必要なものを全てこの袋の中に入れて持っていかなければなりません。セキュリティ確保のためですね。
 このビニール袋を受け取ることが「エキスポ」のメインの目的なのですが、その他に、マラソン・イブ・イベントに一緒に参加する家内の分のチケット(マラソン出場者はマラソン・イブ・イベントに無料で参加できるのですが、同伴者は25ドルのチケットが必要なのです。)や、出場記念にとアシックス製の大会ロゴ入りウィンドブレーカーを購入したり、パワーバーを試食したりして、2時間ほど会場内で過ごしました。

【マラソン・イブ・イベント(=パスタ・パーティ)】
 NYシティマラソンでは、レース前日にランナーにパンやパスタなどが無料で振舞われる「パスタ・パーティ」が行われます。今年からは名前が「マラソン・イブ・イベント」となったようですが、内容は変わらないみたいです。
 ランナー以外は有料(1人25ドル)になりますが、折角なので、家内の分のチケットを4日(木)にエキスポ会場で購入し、2人でセントラル・パークのゴール付近の特設会場(巨大テント)に行ってきました。会場内には500人分ぐらい(?)のテーブルと椅子が置いてありましたが、比較的早め(午後3時半頃)に行ったので、まだ100人ほどしかいなかったのではないかと思います。
 提供されるのは、パン・ラザニア・チキンピラフなど。どれも、味はまぁ普通。無料なので文句は言えませんが・・・(ただし、ランナー以外の人については、ランナーほど炭水化物は摂らないし、ちょっと割高かな、という気がします)。いずれにしても、おかわり自由ですので、前日のカーボ・ローディングには十分です。
 その後、午後9時に就寝して、翌朝に備えました。

【レース当日】
 NY市は5つの地区(スタテン島、ブルックリン、クイーンズ、ブロンクス、マンハッタン)で構成されているのですが、NYシティマラソンは、その5つの地区を全て通るようにコース設定されています。スタートはスタテン島。そこからブルックリン、クイーンズ、一度マンハッタンを通過してブロンクスに入った後、再びマンハッタンに戻り、セントラル・パーク内でゴール、という片道ルートです。
http://www.ingnycmarathon.org/documents/INGNYCM10_Course_Map_For_Media-4.pdf
 スタートのあるスタテン島へは、ブルックリンから橋を通って車で行くこともできますが、大回りになるので、一般的にはマンハッタンからフェリーに乗ります。スタート時間(午前9時40分)から逆算して、午前5時半のフェリーに乗ることにしました。
 そのため、当日は午前4時に起床。実は、アメリカではサマータイムがレース当日の午前2時に終わり、そこからまた午前1時に戻るので、前日午後9時に就寝して午前4時に起きても8時間の睡眠が取れるのです。「エキスポ」で買ったウインドブレーカーを着込み、まだ暗くて寒い午前5時に家を出て、地下鉄でマンハッタンの南端にあるフェリー乗り場に向かいます(ちなみに、NYの地下鉄は24時間運転しています(運転間隔は長いですが・・・))。フェリー乗り場には既に人、人、人・・・。そこから、この日に限り無料のフェリーに乗ってスタテン島へ。スタテン島でフェリーを降りてからスタート会場までは、やはり無料のシャトルバスが出ています。スタート会場入り口に到着したのは午前6時半過ぎ。そこでゼッケンと携行品チェックを受けて、スタート会場に入ります。寒いですが、天気は良さそうです。
 「スタート会場」といっても、完全な屋外です。ランナーは、スタート地点によって3つのゾーン(青・オレンジ・緑)に分けられます。実は、NYシティマラソンは約4万5千人のランナーがスムーズにスタートできるよう、スタート地点が3つに分かれている(↑のコース・マップでスタート後8マイル地点までコースが3色になっているのもそのためです。)ほか、スタート時間も3段階(9時40分、10時10分、10時40分)に分けられているのです。
 私のスタート地点はオレンジ(9時40分スタート)ですので、スタート会場のゾーンもオレンジです。オレンジのゾーンは、他のゾーンと同様、ざっと100m×100mぐらいの広さ(普段は公園の駐車場?)で、その中には、ベーグルやパワーバー、コーヒーなどを無料で配る屋台コーナーや、仮設トイレ、(片道コースなので)荷物を預けるトラック十数台が配置されています。私は事前に食料(日本食料品店で売っている大福など)を買い込んでいたので、屋台ではパワーバーだけもらい、ゾーンの一角に座ってしばし朝食タイム。
 その後、軽く(荷物を抱えたまま!)アップをし、8時からレースウェア(ランシャツ・ランパン+アームウォーマー)に着替え。「9時40分スタートなのに8時からもう着替えるの?」と思われるかもしれませんが、実は、ランナーはスタート90分前までに荷物を預けることになっているのです。「すると、1時間半もレースウェアのまま待たされるの?」・・・いえいえ、そこはご心配なく。これもNYシティマラソンの面白いところで、ランナーはスタートまでの間、レースウェアの上に捨ててもいいウェアなどを着込み、スタート直前にそれを脱ぎ捨てるのです(正式には所定の回収場所に入れることになっているようですが、そんな几帳面な人は圧倒的に少数です)。そして、ランナーがスタート地点付近に脱ぎ捨てた大量の「ボロ着」は、後刻回収され、しかるべき施設などに寄付される、という(大会主催者公認の)仕組みになっています。私も、事前に超安値で買ったトレーナー(上2枚、下1枚)をレースウェアの上に着て、スタート地点へ。かなり不恰好ながら割と温かいコスチュームのまま、(比較的早めにスタート地点入りできたため、)好位置を確保しました。スタート3分前までに「寄付用コスチューム」を脱ぎ捨てて、あとはスタートを待つばかりです。

【スタート~レース前半】
 午前9時40分、号砲一発。いよいよスタート!号砲から13秒後、スタートラインを通過。ここでストップウォッチ作動。ネットタイムが公式記録ですから、これでOK。やはりスタート直後は少しもたつきましたが、100~200mほどで徐々にスムーズに。なるべく道路の端に寄って、効率的にスペースを確保しながら走ります。
 スタート直後の2マイルほどは、スタテン島とブルックリンを結ぶヴェラザノ・ナローズ橋。1マイル上って、1マイル下ります。最初の1マイル通過が6分40秒(1km4分10秒)。上り坂ですので、「出足としてはまずまずだな。」と一安心。ところが、その次の下り1マイルのラップを見て「ええっ?」。それほどスピードを上げたつもりではないのに、なんと5分台(1km3分45秒)。「おかしい。距離表示が間違っているのでは?」と真面目に思ってしまいました。
 その後、コースが平坦になって通過した5km地点のタイムが19分16秒。予定より40秒以上早い通過タイムに、「これ、距離表示、合ってるのかな?もしかしてコース間違えた?」と、不安は募るばかり・・・。かと言ってどうすることもできず、しかもちょうどうまい具合に長身のスイス人ランナーの後ろに付くことができたので、「この風除け兼ペースメーカーを逃す手はない。」ということで、そのままレース続行。1マイル6分8秒(1km3分50秒)ペースのまま、あれよあれよという間に10km地点を38分26秒で通過(5~10km19分10秒)。ここで初めて「距離表示は間違っていない。ペースが速いんだ。」ということに気付きます(冷静に考えれば、当たり前のことですが・・・)。
 「でも、今のところキツくはない。ひょっとすると、このままいけたりして・・・。」学習効果がないと言うか何と言うか、要するにいつもながらの勘違いをしたまま、その後も1マイル6分10~15秒(1km3分52~54秒)ペースで走り続け、15kmを57分49秒、20kmを1時間17分29秒(10~15km19分23秒、15~20km19分30秒)でそれぞれ通過しました。

【レース後半】
 ハーフの通過は1時間21分54秒。予定より2分半も早いタイムです。
 ただし、この頃からそろそろ「異変」が・・・。折しも、ハーフ地点はブルックリンとクイーンズを結ぶプラスキ橋の割とキツい上り。あまり長い坂ではないのですが、前半のハイペースで「うわっ、結構やっちゃったなぁ・・・。」「こんなペースに耐えられるだけの練習はできてないしなぁ・・・。」と凹みつつあったハートに追い討ちをかけるには十分でした。「あ、ちょっと脚が重いかも・・・。」「これからキツくなりそう・・・。」「後半どこまでもつか・・・。」というネガティブな思いが脳裏をよぎりはじめました。
 こうなってくると、走りも硬くなります。そこに待ち構えていたのが、24km地点付近から1kmほど続くクイーンズ・ボロ橋(クイーンズとマンハッタンを結ぶ橋)の長い上り。ここで明らかにペースダウンし、これまでずっと併走してきたスイス人ランナーとも徐々に距離が開いてきました・・・。
 が、ここでレースを投げるわけにはいきません。なぜなら、クイーンズ・ボロ橋を渡り切った地点に、家内が応援に来ているはずだからです。「何とか粘らないと・・・。」前方から落ちてくるランナー一人一人を「栄養」にしながら、徐々にペースを立て直します。すると、25km地点手前で、東洋人らしきランナーの後姿を発見。姿かたちやランニングフォームから、「多分日本人だ。」25kmを1時間38分15秒(20~25km20分46秒)で通過した直後に抜いて、さあ、ここから下り坂。何とか勢いを取り戻して橋を渡り終え、家内がいるはずの地点へ。ところが、沿道の応援が多過ぎるのと、コースと沿道との間に距離があるのとで、家内を見付けることができません。仕方なく、家内がいると思われる方に向かって大きく腕を振って応えました。
 この「見栄っぱり走」の効果でスイス人ランナーにも何とか追い付き、その後しばらく併走。しかし、18マイル(28.8km)地点を過ぎた頃からまたまたペースダウン。25km過ぎに一度抜いた日本人ランナーにも抜き返され、30km通過は1時間58分43秒(25~30km20分28秒)。その後は、その日本人ランナーと「無言のデッドヒート」。お互い抜きつ抜かれつしながら、マンハッタンからブルックリンへ、そして再度マンハッタンへと戻ります。
 この頃、右足裏にマメができて潰れているような感触が・・・。でも、我慢するしかありません。何とか気力を振り絞って、とにかく脚を前に出し続けます。そうしているうちに、相手の日本人ランナーが私以上にペースダウンして、徐々に後方へ。さらに、前方から落ちてきたあのスイス人ランナーをかわし、その直後に35km地点を2時間20分29秒で通過(30~35km21分46秒)。残りのコースと自分のペースを考えると、2時間50分切りはキビシイものの、このまま走り続ければ2時間55分以内はいける、と確信し、そこからはただひたすら機械的に脚を動かし続けることにしました。
その後、39km付近で別の日本人(と思しき)ランナーにあっさり抜かれはしましたが、構わず着実に歩を進め、40km地点を2時間42分25秒(35~40km21分56秒)で通過。最後のセントラルパーク南側の緩い上り坂も何とか上り切り、セントラルパーク内のフィニッシュ地点へ。ラストスパートをかける余力もなく、そのまま2時間52分37秒でゴールしました。

【ゴール後】
 一応、社会人になってから2番目の記録で、「何とか形にはなったかな。」というのが正直な感想。その後、保温シートと完走賞のメダルを受け取り、写真撮影コーナーで「チーズ」。続いて、水、ゲータレード、りんごなどが入った袋を渡されてから、スタート前に預けた荷物の受取場所へ。
 ところが、これがちょっと遠い。荷物を積んだトラックが公園の舗道に沿って並んでいるのですが、これがゼッケン順になっていて、若い番号のランナーの荷物を積んだトラックほどフィニッシュ地点から遠いところにあるのです。しかも、そこに途中にある(番号の大きいランナーの荷物を運んだ)トラックからは既に荷物が降ろされ並べられていたのですが、優に5分以上歩いて辿り着いた自分の荷物を積んだトラックは、まだ荷降ろし前。ようやく荷降ろしが始まったかと思ったら、一つ一つの荷物を取り出す度にナンバーを連呼し、そのナンバーのランナーがいるとそれを手渡す、という何とも効率の悪い方法。ランナー側も自分のナンバーを叫ぶのですが、とても埒が明きません。そこで各自がゼッケンを外し、それを高々と掲げて係員に示し、黙って自分の荷物が出てくるのを待つ、という始末。私はかれこれ20分ほど経ってようやく荷物を受け取ることができましたが、私以上に待ち続けたランナーもいました。次回以降はもっと効率よく捌いてもらいたいものですね。

【レースを振り返って】
 4月から7月いっぱいの4か月間十分な練習ができず、8月にNYに赴任してから3か月で何とか間に合わせた割には、前半予想以上に走ることができました。もちろん、結果的にはオーバーペースだったわけですが、今後、この前半のペースに耐えられるだけの練習ができれば、2時間50分切りは不可能ではない、という思いを強くしました。
 NYの冬はかなり寒いですが、アパートの中にある無料のジムも利用しながら、計画的にトレーニングを積んでいきたいと思います。
 次のレースは来年5月1日(日)のニュージャージーマラソンですが、今回のNYシティマラソンで次回の参加資格(40歳代男性は3時間10分以内)を得ることができたので、来年11月16日(日)のNYシティマラソンに是非また挑戦したいですね。

 色々ありましたが、やはりNYシティマラソンはNY最大級の「お祭り」でした。応援の数もものすごくて、走っていてとても楽しかったです。来年は、この応援をバックに、もっと好記録を目指したいですね。


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