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カテゴリ:クラシック音楽
「今日のクラシック音楽」 ファリャ作曲 バレエ音楽「三角帽子」
世界の民族音楽の中でもスペインのそれはとても情熱的で、色彩で言えば「赤」と端的に比喩出来るほどに熱のこもった音楽が展開されています。 スペインの作曲家マニュエル・デ・ファリャ(1876-1946)は、母国の先輩アルベニスやグラナドスの書いた音楽がスペイン音楽を素材のままに使っているのに対して、スペインの民謡や舞曲を分析してその精髄を生かした、いわば濾過装置かフィルターを通してスペインの魅力を音楽に表した人でした。 そのファリャの名前を国際的にしたのが今日の話題曲バレエ音楽「三角帽子」です。 ピアノの巨匠アルトゥール・リュービンシュタインの自伝「華麗なる旋律」(平凡社)によると、彼が1916年にスペインのサン・セバスチャンに滞在した時に、偶然に「バレエ・リュッセ」(ロシア・バレエ団)の一行とそのボスであったディアギレフに再会したそうです。 その時には指揮者エルネスト・アンセルメや作曲家ファリャも同行しており、ファリャはディアギレフからバレエ音楽の作曲を委嘱されており、その時に書いていたのがこの「三角帽子」だったそうです。 この「三角帽子」はスペインの作家アラルコンの同名小説を下敷きにしており、スペイン・アンダルシア地方の農村を舞台にしています。 働き者の粉屋には若くて美しい妻がいて仲睦まじく暮、好色代官がこの妻を見染めて自分の物にしようとけしからぬ考えを起こします。 この好きもの代官を村の人たちと強い女房が粉屋と共にやっつけるというのが話の概要です。 曲の冒頭で激しくティンパニーが打ち鳴らされて、カスタネットが鮮やかに響き、「オーレ!、オーレ!」という声が発せられて始まるのですが、すぐに官能的なメゾ・ソプラノに歌声が聞こえてきて、ここで聴く者はスペインの大地に放り出されたような、アンダルシアに引きずり込まれたような、情熱的な音楽に魅せられてしまいます。 約38分間のバレエ音楽ですが全編どこを切っても、強烈なスペイン音楽に充ち溢れた、あるいはスペインの香りが匂い立つような旋律がとても魅力的な作品です。 そのファリャが1946年の今日(11月14日)、80歳の生涯を閉じています。 愛聴盤 (1) エルネスト・アンセルメ指揮 スイス・ロマンド管弦楽団 (DECCA原盤 ユニヴァーサル・ミュージック UCCD3839 1955年録音) (2) シャルル・デュトワ指揮 モントリオール交響楽団 (DECCA原盤 ユニヴァーサル・ミュージック UCCD5045 1981年録音) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「今日の音楽カレンダー」 1778年 誕生 ヨハン・フンメル(作曲家) 1900年 誕生 アーロン・コープランド(作曲家) 1924年 誕生 レオニード・コーガン(ヴァイオリン奏者) 1929年 誕生 ナルシソ・イエペス(ギター奏者) 1946年 没 マニェル・デ・ファリャ(作曲家) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「今日の一花」 秋薔薇(ダブル・デライト) 撮影地 大阪市立長居植物園 2008年10月10日 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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