サッカークリニッキ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　SOCCER CLINIKKI

「クリ！　クリー！　起きろ。公園に練習行くぞ！」
「ン？」　「・・・・・・。」　「ｚｚｚｚ。」
「クリ！」
「待って・・・。この夢終わってからネ。ムニャムニャ・・・・。ｚｚｚ。」
（コイツ、夢の続きが見れるんだろうか？　うらやましい。）

「早く帰ったら、練習しようって言ってたのは、おまえじゃねえか！起きんかい！」
「ふぇーい。」

　朝、8時半クラブの練習。午後、隣町へ移動して練習試合。4時に帰ったと思ったら、さっそく友達と遊びに出かけて、帰宅した後うたた寝する間もなく親父が戻って練習に誘う。

　体も小さく、他の子より能力が抜けているでもない。気持ちが少しずつ上を向き始めて来たのが救い。ディフェンシブハーフにいることが多いが、目の前に来た敵とボールだけに集中しているのでは悲しい。周りが見れるともっとサッカーが楽しくなる。そのためには自分の位置を知り、自分のいる意義を信じる必要がある。疲れを知らない体力も必要だ。

「クリ、おまえのポジション、ボランチってな、司令塔って言う意味なんだぞ。」
「司令塔はトップ下じゃん。中村俊輔とか。ボランチはハンドルだよ。」
「うん。でもな、ブラジルとかでは司令塔は、後ろから攻撃を作るひとのことなの。ボランチのこと。」
「ふーん。」

「敵が攻撃して来た時には、一番最初にぶつかりに行って、味方ボールになったらボランチがまずボールを受けて、敵を突破したり、パスを出す。」「攻撃の時も守備の時も、全部自分の受け持ちだと思って動き回れ。」「監督に止められるくらいでちょうどいいんだぞ。」「全体のバランスなんか考えなくていいから、積極的にどんどん行け。」
（「オレが！オレが！」のマインドの方が今は大切だ。）

「おまえの前に味方の選手は何人いる？」
「いち、にぃ、さん・・・　　５人。」
「後ろには？」
「いち、にぃ、さん・・・キーパー入れたら５人。」
「だろ。ということは、チームの中心におまえがいるってことじゃん。」
「ほんとだ!!」
「練習行こか？」
「うん。走って行こ。」
（３日はもてよな。）

（寝ている間の夢の続きを見るように、人生の夢もあきらめずに追いかけて行って欲しいなあ。）