胸には復讐、目には狂気、そして手にはカミソリを・・・。
『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』
監督・・・ティム・バートン
製作・・・リチャード・D・ザナック、 ウォルター・パークス、 ローリー・マクドナルド
原作・音楽・・・スティーヴン・ソンドハイム
出演・・・ジョニー・デップ、ヘレナ・ボナム=カーター、アラン・リックマン、ティモシー・スポール、サシャ・バロン・コーエン、 ジェイミー・キャンベル・バウアー 他
【STORY】
19世紀、ロンドン。フリート街で理髪店を営むベンジャミン・バーカー(ジョニー・デップ)は、愛する妻と娘と共に幸せに暮らしていた。しかし、美しい妻に恋をしたターピン判事(アラン・リックマン)の陰謀で、バーカーは無実の罪を着せられ、投獄されてしまう。
15年後、妻と娘を奪われたバーカーはスウィーニー・トッドと名前を変え、フリート街に戻って来た。理髪店を構え、パイ店の店主、ミセス・ラペット(ヘレナ・ボナム=カーター)の協力を得て、ターピン判事への復讐を始める。
『チャーリーとチョコレート工場』を彷彿とさせるオープニング。
でも~そこにあるのは・・・あんなPOPな世界ではなく~真っ赤な血が流れるおどろおどろしい映像。
けれど嫌悪感は、ない。ティムの世界が幕を開ける・・・
滑るようなカメラワーク。19世紀のロンドンの姿が浮かび上がる。
ポランスキー監督の『オリバー・ツイスト』にも描かれている、普通の人々の貧しい生活。
18世紀、ロンドンのフリート街で実際に起こった事件を元に、作られたこの作品。
この映画は、ジョニーにとっても渾身の一作となるんじゃないかな・・・?そんな作品でした。
1回目観終わって、“感動“ で胸が震えました。
ジョニーの気迫のこもった演技。素晴らしい歌声・・・
大丈夫だろう~とは思ってましたが、まさかここまで上手いなんて!(ゴメン!ジョニー!!少しでも疑った私がバカだった!!!)
バートン監督は、ミュージカル映画を作るつもりはないと、本当の歌手ではなく、役者さんをキャスティングしたということでしたが~
まさに当たり!
ミュージカルにありがちな、普通の会話から唐突に歌!ではなく~台詞に、いつの間にか抑揚がついて~ 心を歌で表現している・・・そんなカンジ。
予備知識ほとんどナシ。まっさらな状態での鑑賞だったので~
トッド様がちゃんと復讐出来るのか・・・最後までドキドキしてました。
勿論、あのどんでん返し?も分からず・・・最後の最後まで分からなかった・・・←相変わらず “作り手さんの思うツボの女”
2回目は字幕もほとんど観ず、ジョニーの顔だけを追ってました。
全編を通しての哀しみと憎しみの表情が、痛くて痛くて・・・私の心にも、剃刀を突きつけられてる気がした。
その剃刀の音は、とてもリアルで~
私は“血”より何よりあの“剃刀の音”が一番怖かったのでした。
ラベット夫人は、本当に彼が好きだったんだね・・・ 幸せな頃の彼を、どんな想いで見つめていたんだろう?
彼がいなくなって、どんなに生活に困っても剃刀を大切に隠していた・・・
甘い顔だった彼が、鬼気迫る顔になって帰ってきても、すぐに彼だと分かる。
切ない “愛” ・・・
彼女が夢みる2人での海辺の生活~ 女性なら誰しも一度は憧れる、愛する人との平穏な暮らし。。。
あのシーンは、とても美しい。 そして とても哀しい。
ここでのジョニーの表情はどれも可笑しいんだけど~(こういう映画なのに~笑えてしまう。ティム・マジック?)
シマシマ囚人服風水着が可愛い~~~♪
音楽は公開前から、US版のサントラを聴いていたので~
その素晴らしさは分かっていたけれど、映画を観てから聴くと~又切なさ倍増・・・
聴いてるだけでワンシーン、ワンシーンが浮かんで来て 泣きたくなってしまう。
歌だけではなく、台詞も入っているので~あのジョニーの声が堪能出来る~~~。これはオススメの1枚♪
ジョニーに関しては、GG賞主演男優賞受賞。 アカデミー主演男優賞ノミネート。
誰もが認める納得の演技。
本当に素晴らしすぎて~ボキャブラリー貧困な私は、「素晴らしい!」しか言葉がなくて・・・
何かケチをつけたくても (別につけなくていいんですが~笑) つけるとこがないの~~~。
これって、私がジョニーファンだからってワケではないよね~?(誰に聞いてる?苦笑)
本当に「ブラボー!!!ジョニー!!!」スタンディングオベーションです♪
ヘレナも凄かったな~~~
彼女もこんなに歌えるなんて~思ってなかった。。。
ティムも彼女が「妻だから選んだ」って思われたくないから~普通より厳しいオーデションをしたって言ってましたが~
母性溢れる一途な女性。哀しい女・・・ぴったりでした。
アラン・リックマン・・・私にとっては、いつでもスネイプ先生(笑)は~
なんでこんな役がこんなに似合うの?!っていうぐらいぴったりで~。 早く殺られちゃえばいいのに!!(ヒドイ 爆)って何度思ったことか・・・
歌も上手かったわ~ 髭剃りムースで泡々の顔で歌ってるのは、真剣なシーンだけど~少し笑えた。
コーエンさんは、最初ネットに出てた画像を見たときは~マジで?!ってびっくりする姿だったので~ (身体よりうんと小さなレオタード姿だった)一体どんな演技を?
と思ったら~似合ってた。
イタリア人のインチキ理髪やさん・・・重いトーンのこの映画で、彼が出るとすこ~し光が射す。 その光は決して健康的な明るさではないのですが・・・貴重な存在感でした。
ピーター・ぺティグリューじゃなかった、ワームテールじゃなかった、ティモシー・スポール は、おなじみの卑怯さ全開!
女性にモテることに、全てを懸けてるんかいっ!と突っ込んでしまった。
判事の腰ぎんちゃくめ~~~ ><;
色々なところで、話題になっているイケメン君、ジェイミー・キャンベル・バウアーは、本当に美しい青年でした。
1988年、ロンドン生まれ・・・若いっ
こんな素敵な役をGETして~これからが楽しみです♪
でも~役柄は・・・いつもトッド様の邪魔をして~~!
いいとこで、突拍子なく現れるから~
一緒に観てたムスメに 「KYなヤツ」 (KY=空気読めない) と言われてました(爆)
それに、船乗りなのに弱々しいし・・・ こてんぱんにやられて、鼻血たら~では、いけません・・・
重要な役どころ・・あの少年も良かったですね~
この時代、先にも挙げたオリバー・ツイストのように、親もなく、面倒みてくれる人もなく~孤児院で過ごしていた子供達は悲惨だったんでしょうね。
この少年も計り知れない過去を背負い・・・さらに・・・という所がとても切ないです。
※ ちょっとネタばれ ※
最後、トッドが背後の彼を分かっていて・・・
少年にしょわされた運命は過酷すぎる。
KY青年アンソニーと籠の鳥ジョアナ。。。2人の未来は限りなく不安に満ちていて・・・
その後を考えるだけで、辛くなります。
2008年初頭から、心にズシリと響く作品に出会えました。
マリー的お気に入り度 ・・・ ★★★★★★★★★★ (10個以上でもいいな♪ 笑 )
マリー的涙度数 ・・・ ★★★★☆