テーマ:人間関係(921)
カテゴリ:カテゴリ未分類
解体屋の時の話。私の師匠は山形の人で力持ちである。プロレスラーに憧れていて、オーディションを受けに行った事があった。「惜しいなー! もうちょっと、タッパがあったらなー」と言われたそうだ。ブッチャーのファンで毎日、東スポを買っていた。
力持ちだという噂である。先輩の話では「ドラム缶、水満タンを担ぐよ、彼は」という。水180リッターだから缶の重さも入れたら200K以上はある。 一服の時だった。9尺のサッポートが12本あった。一本が25Kg、12本だから300Kgある。「あれ、担げるの?」と聞いた。「ふーん、12本か、出来るよ」と彼は軽く言った。彼はやおら立ち上がって、チェーンを探した。腕がまわりきらないからだ。皆がはやしたてた。「ヨイショ!」掛け声一つでその12本を担ぎ上げた。そして、どうだ!という顔をして、その12本をその場に放り投げた。大きな音と共に、彼の怪力は本当だった事が証明された。 「うちの田舎じゃ、皆、オレくらい担ぐよ」と彼は我々が騒ぐのを不思議な顔つきで眺める。彼の田舎は林業、きこりである。小さい頃から山の仕事を手伝っていたという。 「お信」のドキュメントをテレビでやっていた。昔の人は米俵5俵を担いで運んだという。1俵60Kgだから5俵で300Kg、人がこういう重労働をやっていた時代があったのだ。 相撲が弱くなったという。重労働をしていた裾野が消滅しているのだから、昔のような力士が日本から登場するのは難しいかもしれない。私は貴重な歴史の最終ランナーから「解体の技術」を教わった事になる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
|
|