箱根駅伝の検討 その2
前哨戦の全日本大学駅伝で首位争いをする竹澤健介選手( 早稲田大 )( 右 )松岡祐起選手( 順天堂大 )( 左 ),宇賀地選手( 駒沢大 )( 中央 )3)「 山登りのスペシャリストは誰れ 」今年は,今井正人選手( 順天大 ~ 九州トヨタ自動車 )と北村聡選手( 日体大 )との9kmまでの争いは熾烈でした。結局は,今村選手が3年連続で,しかも区間新記録の圧勝でしたが。今年は,北村選手も他の区間に回るようですのでが,新たなドラマが,山登りの得意な選手で見られることでしょう。 2007.1.2第5区の箱根の山登りで区間新記録でトップに,今井正人選手( 順天堂大 )ここでは今井選手の山登りのスペシャリストとしての走り振りを見てみましょう。この選手だけは,無駄な力みがなかったような気がします。自然体でのフォーム,服装も半袖の上半身,アームウォーマー,手袋を着用して万全の備えでした。幾分前傾姿勢で,軽快なピッチで進んでいたような感じです。そこで,予断ですが今井選手はいまだに10,000mを28’50”台の後半もかかり,社会人1年目としては,九州トヨタの森下広一監督の指導のもとの成果もまだまだと思われます。やはり,スピードをもっと磨いて欲しいし,「 何とかできそうでは 」とは思いますが。27分台を出して,長距離界に新風を入れてくれればとも。4)「 終わりに 」箱根駅伝は,関東の学生の大会ですが,他の地区の憧れの対象にもなっています。全国ネットのTV中継もされますし,高視聴率も稼いでいます。 長年( 来年で84回目 )続いたのは発足当初の長距離ランナーを育成するための「 アメリカ大陸横断駅伝 」にあったといわれています。最初の参加大学数は4校しかメンバーは揃わず,優勝した東京高師15.05’16”もかかっていました。なお,大会記録が10.59’13”(70回大会の山梨学院大学,1994年)や,長距離のランキング等からも明らかのように進歩が顕著です。けれども,いまだに日本ICでは外国勢に10,000mで1周遅れでは,まだ世界では戦えません。これからのスピードの強化と海外遠征での外国勢とのせめぎ合いが必要になってきています。日本ICの10,000mで,ただ1人27分台での優勝した 箱根駅伝のエース メグボ・モグス選手(山梨学院大3年)の練習風景優勝している各大学の最近の傾向は,次のとおりになります。 1.粒ぞろいの選手によって,くまなく全選手とも好記録を出した時。2.エース級の選手が2~3人いて,その他の区間の選手も連動して好記録を輩出したとき。3.ほとんど平均的な選手が,少しのブレーキもなく完走したとき。------ この場合は,10人のメンバーの10,000mの平均タイムが,29’10”~29’20”より上であることが条件になっているようです。3.のように,必ずしもかなり強い選手がいなくても優勝する場合は,区間で2~3位に入る選手を多く持ったチームが好結果を生むようです。こういうことが,箱根駅伝へ向けて上位を狙うチームとっての目標や,ペースの見所になるはずです。予選会の20kmのタイムがかなり前には,1時間を切るのは難しかったのですが,ここ数年は58~59分台も出るような盛況になっています。1月という時期は例年,寒さや雨,雪などのコンディションに対して調整が難しいと考えられています。参加選手はもちろん,支援などのバックアップの方にも好条件に恵まれますよう,願いたいものです。この箱根駅伝を契機に,社会人になったらマラソンに転向する選手もいることと思いますが,基本は長距離(5,000m,10,000m)の強化からと考えますので,学生の選手から,多くの選手がオリンピックやその他の国際大会での今後に期待したいと思います。