絵日記
竹浪正造『はげまして、はげまされて~93歳正造じいちゃん56年間のまんが絵日記』(廣済堂出版) という本が売れている。 青森にすむ、竹浪さんという93歳のおじいちゃんが、 56年間、毎日描き続けた絵日記を編集した本だ。 ちょうど、私の生まれた年から書いているので、 完全にリアルタイムなのである。 絵もうまく、生活のなんともない出来事が、 ほんわかした雰囲気で描いてある。 昭和の風俗史としても貴重だ。 テレビで紹介されたとき、これは、どこかの 出版社が目をつけるなと思ったが、廣済堂出版だった。 晩飯を食べながらテレビを見ていたら、 その本になったという話題が取り上げられていた。 しまった。油断していた。ふいを突かれた。 自分の本が家に届いた日の 竹浪さんの絵日記が映し出されたのだ。 天国にいる奥さんに、 かあちゃん、わしの本ができたんだよ、 と、本を捧げ持っている絵だった。 思わず、嗚咽してしまった。 自分の本がはじめてできたとき、天国の母に報告したのが、 オーバーラップしたからかもしれない。 それにしてもこの人みたいに邪気のない人も珍しい。