アッピア旧街道付近一帯が州立の公園とされており、
9月末から12月中旬まで、
公園内にある様々な史跡の案内ツアーや各種イベントが
期間限定で行われています。
子供向けの催しもあり、今年初めての試みだそうです。
わたしのような歴女(ん?こう使う?)には大歓迎です。
昨日は20人限定で、アッピア旧街道167番地の
グレーコ氏私邸(なんとっ!個人宅!)の
ガイドツアーに参加してきました。アッピア旧街道は紀元前4世紀に
時の執政官アッピウスによって敷かれたもので、
もともとの目的は軍用路でした。
南イタリアのブリンディシ(イタリア半島のかかと部分)まで通っています。
今話題のこちらのブログもご覧下さい。
カタコンベ(キリスト教信者などの地下共同墓所)があって有名な
この地域一帯は、
ローマ市内方面に向けて下がる傾斜がかかっており、
これは大昔にカステッリ・ロマーニ地方が噴火した際、
溶岩が山を流れ下りてきたからなのだそうです。
このなだらかな坂道沿いには
以前書いたクインティーリ邸跡をはじめ、
チェチリア・メテッラの墓、マクセンティウス帝の競技場跡、
そしてサン・セバスティアーノのカタコンベなどがありますが、
これらはいずれも古代ローマ時代の遺跡。
もちろん上記の遺跡も見られますが、
現在はどうなっているのかと言えば、
ローマの富豪たちの大庭園付き大邸宅が
じゃんじゃん並んで建っているのです。
朝この辺りに着くバスに乗れば一目瞭然。
出勤してくる東欧人女性たち、
つまりこの辺りの家で働くお手伝いさんたちで満員なのに気付くはずです。
さて、わたしが足を踏み入れたのはそんな中でも、
アパレルブランドBLUNAUTAを経営するグレーコ氏の大邸宅。
BLUNAUTAは地味だけど
絹やカシミヤ、綿を使用するのが特徴の高級感のあるブランドなので、
ローマ在住日本人女子なら絶対知っているでしょう。
会社名はBALLOONで、
昔はこの名前で店舗を出していたので
こちらで覚えている方もいるかもしれません。
わたしは去年ワンピとスカートを買いました。
友人F氏も今年の夏、買い物してます。
とにかくこの会社の社長さんの家です。
何しろここは中世は貴族カエターニ家の城内であり、
カエターニ家が砦として利用していた2000年以上前の遺跡
チェチリア・メテッラの墓の美しい姿を間近で臨めるのです。
青々とした芝生が綺麗に手入れされた庭園を
ガイドさん(っていうか歴史学者さんがガイドしてくれています)の
話を聞きながら(あ、これはガイド氏ではなく友人イローナ)、
畑やバラ園や湖など敷地が何ヘクタールも広がっているのを
うらやんで眺めつつ散歩しました。
奥に歩いて行けば、
マクセンティウス帝の競技場跡もその全体像を見ることができます。
グレーコ氏に雇われているお手伝いさんたちは
なぜかみんなフィリピン人。
氏はイタリア人富豪の中でもいち早く
フィリピン人の勤勉であるという国民性に目を付け、
自宅のお手伝いさんたちをはじめ、
BLUNAUTA店舗の店員にもフィリピン人を多く雇用しています。
さっすが。
ここは私邸ですので、
もちろん普段はグレーコ氏の親戚かお友達じゃないと入れません。
大変ラッキーな経験をさせてもらいました。
しかもこの企画は無料だったのでびっくりしました。
残念ながらアッピア旧街道州立公園は、州立とうたっておきながら、
その実は敷地の90%は、特権階級の私有地なのだそうです。
歴史学者さんが嘆いていました。
これはまさにイタリア経済の縮図だと思います。
そんな中でもグレーコさんはこういった機会を与えてくれたから、
まあ、いい人だと思いました。
このツアーに申し込んでよかったと思います。