ストロール・フェルン(1847~1927)という
フランスの芸術家が造った芸術家村を見てきました。
芸術家村の歴史について書いてあるサイトがありましたのでこちらをどうぞ。ボルゲーゼ公園内なので、
入り口を見たことがある人もいるかもしれません。
現在ではフランスのシャトーブリアン学園の小・中学校があって、
フランスの所有地ですから、許可が無いと入れません。
もともとこの辺りは16世紀のローマ法王ユリウス3世が有した別荘地で、
今でもエトルリア博物館周辺は
Villa Giulia(ユリウスのヴィッラ)と呼ばれています。
ローマの中心地からほど近い割に、とてものんびりした静かな緑地です。
1879年にフランス・プロイセンの戦争から逃れてきた
アルザスの貴族アルフレッド・ウィルヘルム・ストロールが
この一帯8ヘクタールを買い取り、ここに住みつきました。
珍しい樹木を植えて育て、
工房兼住居群を建て、たくさんの芸術家を住まわせます。
19~20世紀の近代芸術における流派ローマ派は
ここで生まれたと言っても過言ではありません。
自身も文筆家、詩人、音楽家、美術家でありましたが、
メセナ活動に励んだ人なのです。
彼の作品、セメントでできた木。
ちょっと見ただけでは分かりません。
遠くからでは全然分かりません。
ストロール・フェルンというのが通称で、
フェルンというのはドイツ語で「遠い」という意味。
故国からも浮世からも遠くに離れているということを
自覚していたかったのかもしれません。
ローマで亡くなり、ピラミデ近くの外国人墓地に眠っています。
ストロール・フェルンの紋章は蛇と「落雷しない雷」(見えないけど…)。
1890年頃に建てられたストロールの住居。
ガイドツアーのメインはここに住んだ画家の一人、
シチリア島シラクサ出身フランチェスコ・トロンバドーリ(1886~1961)の
工房兼住居でした。
一般公開している唯一の建物で、
かなり高齢なトロンバドーリの娘さんが、
市や諸文化団体と掛け合って、一人でも多くの人に
かつて自分も住んでいたこのスタジオを見てもらえるよう活動しているのです。
それにしてもしっかりしたおばあさんで、
お父さんに関する質問に答えてくれたのはもちろん、
文化財を所有することの困難さ、
市民にも公開のために闘って欲しいということをしきりに訴えていました。
トロンバドーリのスタジオは彼女の物で、
現在このガイドツアーはローマ市によって行われていますが、
ややこしいことに、ストロール・フェルン村自体はフランスの所有なので、
いろいろと難しいみたいです。
トロンバドーリによる娘さんのスケッチ。