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テーマ:首都圏の鉄道(136)
カテゴリ:鉄道
昨日に引き続き、山手線のホームドア設置のお話。
昨日も書きましたが、 JR東日本は2017年までに山手線全駅にホームドアを設置するそう。 でも29駅に設置するのに7年もかけるんです。 地下鉄丸ノ内線の場合は、28駅分を1~2年で設置しましたから、 それから考えるとちょっと時間がかかりすぎです。 ここまで時間がかかるのは大きく2つの事情があります。 まず1つ目。 それは6扉車両の存在が邪魔をしていること。 ご存じのように首都圏の鉄道は利用者がハンパなく多い。 鉄道会社も路線や列車回数を増やしたり、車両を増結したり、 工夫はしているものの、それをも凌駕する乗客で溢れていました。 そこで苦肉の策で登場したのが、6つの扉を持つ車両。 通常の1両あたり4つ扉に対して2つ分の扉を増やすと、 単純計算で1.5倍分、乗客の乗り降りがスムーズになります。 山手線の場合、特に混雑する7号車と10号車に6扉車を設定していて、 ラッシュ時の定刻運転に寄与しています。 ところがホームドア設置に関して言えば、 この6扉車の存在が逆にネック。 なぜか? それを解き明かすには、少し細かい話になりますが…。 山手線の田端-品川間は、京浜東北線と併走しています。 ふだんはそれぞれ別々の線路を走るものの、 時として、日中に線路のメンテナンスのため、 山手線の電車が京浜東北線の線路を走ったり、 京浜東北線の電車が山手線の線路を走ることがしばしばあります。 で、京浜東北線は現在6扉車はありません。 ですから線路点検の日は京浜東北線の電車が山手線を走る場合、 7号車と10号車の位置が 山手線は6扉車、京浜東北線は4扉車で、ドア位置が異なります。 山手線のホームにホームドアを設置し、 それでも線路点検の日に同一線路を走らせるならば、 扉の数をどちらかに合わせなきゃならない。 翻って、最近はバイパス路線の開通や、団塊世代の大量リタイアで 山手線のラッシュもひと頃に比べるとだいぶ緩和されてきており、 6扉車でなくても定刻運転が可能な環境になりつつあります。 そこで、JR東日本は結論を出しました。 「山手線の6扉車を無くそう!」 でも、代わりの4扉車は新たに製造しなければなりません。 今、徐々に7号車と10号車を新造した4扉車に差し替えた編成も 出てきてはいますが、しばらくは時間がかかりそう。 なので、恵比寿や目黒のホームドアも6扉車のところは未設置なんです。 来年いっぱいかけて全編成の6扉車を4扉車に差し替え完了させ、 それを待って恵比寿・目黒両駅の7・10号車位置にホームドアを設置、 そこから各駅に展開していくために、時間を要します。 ところが各駅へ展開する段階で、もう一つの大きなネックが。 ホームの構造問題です。これが2つ目の事情。 恵比寿や目黒は近年、総コンクリート造りのホームにリフォームされました。 なので、ホームドア設置には何ら支障ありませんでした。 上の写真のように、基盤をコンクリートとし、 コンクリートで脚を作り、そこにコンクリートの桁を渡して作られたホームは、 レベル(水平)が保てるので、ホームドア設置には支障ないんです。 ところが山手線の多くの駅は、 四方を石積やコンクリートブロック積みで土留めをし、 ホーム自体は土盛りで作られています。 高田馬場駅もそんな駅の一つ。 こういうホームに無理にホームドアを設置すると、 水平がそもそも保てないので、ホームドアが徐々に上下にずれてしまい、 うまく動作できなくなります。 そこでホームをすべて総コンクリート造りに作り替える必要があります。 日々、電車を走らせ、乗客が利用する中で ホームを作り替えるわけですから、相当の手間と時間がかかります。 これが、山手線のホームドア設置に長期間を要する理由です。 でも、そこまでの手間ひまをかけてでも、 ホームドア設置が鉄道会社に課せられた義務である、 と判断したJR東日本には、エールを贈りたいと思います。 鉄道模型の世界にもホームドア登場。 それだけメジャーになったんですね。
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