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カテゴリ:鉄道
東京の地下鉄は、実は運営している組織が2つ存在しています。
一つは東京地下鉄(東京メトロ)、もう一つが東京都。 今、首都圏でかまびすしいニュースの中に、 この2つの地下鉄経営を統合して一元化する、という話があります。 まぁ、昔から議論されていたことですが…。 東京メトロは東京都やJRが出資する半官半民の会社。 東京都は自治体そのもの。 ご多分にもれず、後者はお役所なので経営がずさんであり、 けっこうな累積赤字を抱えています。 東京都としてはこの状態を何とか解消したい。 片や東京メトロは半官半民でありながらも 建設した路線の選定が良く、売上が伸びており、 しかも効率化・合理化を進めていて コストパフォーマンスが良い黒字経営。 近い将来、株式上場も目指しています。 東京都の石原都知事は、 東京都が黒字会社・東京メトロの大株主でもあるので、 その地位を利用して経営を一元化させ、 東京都営の地下鉄路線を東京メトロに引き取らせよう、 という魂胆があります。 ところが東京メトロは、職員数も経費も水ぶくれしていて、 これまでの累積債務を抱えている組織を吸収させられると、 将来にわたって経営不安が起こるおそれがあり、 さらに上場する計画も危うくなってくる、ということで抵抗しています。 東京都が主導して、経営一元化の話し合いの場を設けているのですが、 両者の利害が対立していて、話がなかなか前に進んでいません。 と、ここまでがニュースネタ。 なんだか自分にとっては縁遠い話に聞こえてしまうのですが、 どうしてどうして、この問題は僕たち利用者に直接関わる、 とても興味ある話なんです。 というのも、 今、2つの地下鉄が入り組んでいることで 利用者が不遇をかこっているのは運賃だからです。 つまり、 出発駅と到着駅が同一の事業体だったら運賃は通算で計算されますが、 別の地下鉄に乗り継ぐときには、それぞれの地下鉄運賃の合算になり、 割高になる現象が起きるのです。 端的な事例を見てみると…。 勤務先の最寄り駅、高田馬場(地図の左上)から地下鉄で 新橋(地図の下中)へ向かう場合、 水色の東京メトロ・東西線に乗って 日本橋(地図の中右)で路線を乗り換えます。 その日本橋から新橋へは、 オレンジ色の銀座線とピンク色の浅草線が通じていて、 どちらに乗っても良い、ということが地図から見て取れます。 ところが現実は、どちらの線に乗るかによって 支払う運賃が違ってきます。 というのも、銀座線は東京メトロ、浅草線は東京都が運営しており、 銀座線を選択すると運賃は高田馬場から新橋まで通算されるのですが、 浅草線を選択すると、日本橋でいったん改札を出て 浅草線の日本橋駅の改札に入り直さなければならず、 しかもここで運賃の通算がブツッととぎれてしまうのです。 具体的には、東西線-銀座線なら190円で行けるのですが、 東西線-浅草線を選択すると、合算で290円にもなってしまう。 100円多くとられてしまうんです。 ですので、銀座線はしょっちゅうギュウギュウ詰め。 浅草線は比較的空いている、という現象も起きています。 そう考えると、利用者の立場から見れば 経営を一元化することは大賛成なんですよね。 石原都知事の、 「地下鉄経営一元化」をとなえる動機はともかく、 僕は一利用者として、早く統合して欲しいと思っています。 それにしても、一元化の話し合いのメンバーに、 東京都や東京メトロの幹部、議員などが入っていて 利用者代表が入っていないのはどうしてでしょうね。 そういえば有名デザイナーの佐藤可士和氏が メンバーになっているというのですが、それも良くわかりません。 ちなみに今日の内容、 東京以外に地下鉄のある他の都市、 すなわち、札幌、仙台、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、福岡では すべてそれぞれ各自治体が一元的に運営しているので、 全国的にはこういう話はピンとこないかもしれませんね。
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