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トランス脂肪酸は、自然界には反芻(はんすう)動物(ウシ・ヤギなど)の肉や乳に含まれている。これは、トランス脂肪酸が反芻動物の体内で微生物により産生されるためであり、その結果として反芻動物の肉や乳の脂質のうち2〜5%を占める。天然のトランス脂肪酸として、共役リノール酸やtrans-バクセン酸などがある。これらの天然のトランス脂肪酸は天然の不飽和脂肪酸の中にわずかに含まれており、乳製品であるバターなどにもわずかに含まれる。
人工のトランス脂肪酸は、不飽和脂肪酸から飽和脂肪酸を製造するための水素化や、不飽和脂肪酸を多く含む植物油の精製の際に、副産物として生じる。そのため、不飽和脂肪酸を多く含む油脂を水素化して製造するマーガリン、ファットスプレッド、ショートニングには数%から十数%含まれる。 また、cis体である不飽和脂肪酸が空気酸化されるとヒドロペルオキシ不飽和脂肪酸やエポキシド脂肪酸など過酸化脂質が生成するが、この際に二重結合の転移反応が進行するために、シス体ではなく熱力学的に安定なトランス体へ変換される。空気酸化はここに示した例からも先に進行しさらに複雑な化合物や樹脂化する。したがって高温で長期間加熱された植物油にはtrans-ヒドロペルオキシド不飽和脂肪酸を初めとする多様なトランス脂肪酸類が少量であるが含まれることになる。そしてヒドロペルオキシ不飽和脂肪酸は動脈硬化の原因のひとつと考えられている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014年03月10日 23時28分10秒
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