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2016/03/13
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カテゴリ:京都のニュース
2016年03月12日 京都新聞HP

 「文化勲章受章記念 志村ふくみ 母衣(ぼろ)への回帰」展が、京都国立近代美術館で開かれている。名もない農村女性たちが継いできた手仕事・紬織(つむぎおり)にみずみずしい創造性や時代の息吹を注ぎ込んできた志村。植物の実や花、根からいただく色、蚕が吐き出した糸が織りなす豊饒(ほうじょう)な芸術世界が広がる。

 1924年、近江八幡に生まれ、思想家柳宗悦の民芸の思想に感銘を受けた母・小野豊のもとで織物を始めた。紬織と出合い、57年、民芸の黒田辰秋に背を押されて出品した作品が日本伝統工芸展に初入選。以来、さまざまな受賞を重ね、2015年文化勲章を受章した。同展は、初期から新作まで計約90点を展示している。

 会場で際立つ色は、青と白と黄金。志村にとって重要な色だ。それぞれ琵琶湖の水面、湖を囲む山並みの雪、湖岸に生える芦が、志村という甕(かめ)の中で熟成発酵した色だ。青の原点の作品が、1958年の日本伝統工芸展の奨励賞を獲得した「秋霞(がすみ)」。「今」しか織れない思いを吹き込んだ作品は、名もなき美から離れたと、民芸を破門された。同時に、自由に表現する地平へ歩み始めた一歩だった。そのずっと先にあるのが、2015年制作の琵琶湖3部作「青湖」「雪炎」「蘆刈(あしかり)」だ。

 志村と他の織り手とを分かつのは、純粋な探究心。なぜ、緑の植物は緑に染められないか。光とは何か。色とは何か。古事記や万葉集、源氏物語など日本文学に植物染料の源を、ゲーテの色彩論やシュタイナーの言葉に宇宙の摂理を探した。そうして生まれた色で染めた糸は、文学、現代美術、現代音楽をモチーフに、軽やかでリズミカル、詩情豊かな文様を織りなした。

 今展を最も象徴するのは、母が農家の老女にもらって残していた糸をつないで制作したタペストリー風の大作「母衣曼荼羅(まんだら)」だ。縦3・9メートル、横2・6メートル。濃淡のある藍の方形模様を上下に配置。青い布に淡く浮かび上がる白い十字は、作品の奥のかなたからやってくる光のようだ。粗末な残り糸をつないで家族のために作るものを襤褸(ぼろ)織と呼ぶ。志村は、その響きに母の衣、母衣を感じたという。この作品は、残り糸に託した母の思いから始まった創造の時間を経(たて)糸に、迷いの中で育んだ多様な思想哲学を緯(よこ)糸にあやなした、人生そのものの染織曼荼羅に思える。

 43の色糸を織機の経糸のように見せるインスタレーション「光の徑(みち)」は、分光器のように光と色の関係を示唆する。それぞれの作品に添えられる志村の言葉は、作品に織り込まれた1本の糸のように美しい。

      ◇

 (京都国立近代美術館=京都市左京区岡崎 21日まで 最終日以外の月曜休館 有料)


母・豊の残り糸を使って制作した「母衣曼荼羅」(京都市左京区・京都国立近代美術館)
20160312(志村).jpg


ワルディーのコメント

京都国立近代美術館の設計は、槇文彦



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最終更新日  2019/03/05 09:34:44 AM
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