森の住人から「ねぇ、ちょっと聞いて、聞いて！」

　　鳩山・連立与党による新政権の政策が、だんだん姿を現し始めている。それに連れて、自・公連立による旧政権との違いが、はっきりしてきた。
　　旧・自・公連立政権が、やってきたことは、基本的に、与党の「族議員」政治家が、彼らに政治献金をした業界団体や地方自治体からの陳情を受け、それを官僚に「丸投げ」、官僚は、その政策を実施するため、公益法人（独立行政法人）や団体を作り、自分達のOBを天下りさせる場を、人件費を税金からピンはねしながら確保するとともに、そこへ仕事を「丸投げ」することだった。いわゆる「政・官・業」癒着体質のなかで、税金の膨大な無駄遣いに無頓着だった。
　　鳩山・新政権が目指しているのは、こうした構造を、根本から変えようということだ。税金の使い道を、国会議員を中心にした政治家が、自らきめ、直接官僚に指示。無駄な天下りの官僚の人件費を税金からピンハネしている、2重３重の無駄なシステムを簡素化し、直接・効率的に政策を実行しようということだ。
　　政権交代の選挙前には、「民主党の主張は分るが、財源は何処から持ってくるの？」と、与党自民党とマスコミが声を揃えて大合唱をしていた。さすがに、最近は、そういう合唱は声が低くなっている。民主党の言うように、「財源はある。全予算の中から、無駄を省き、使い道の優先順位をどうするか決めるだけのことだ」という説明に、多くの国民が納得しながら、今は「使い道の優先順位」がどうなるか、固唾を飲んで見守っている段階だろう。
　　ただ、長く続いた自民党「一党支配」による悪政の「後遺症」（例えば不要な巨大ダムの途中までの工事など）を、どう乗り越えるかが、行く手に立ちはだかる当面の重い課題になっている。
　　そのためかどうか知らないが、時々民主党の乱暴な議論が、新政権から出てきて、それが、新政権に対する僕の不安をかきたてる。例えば、先日、政府が、全国会議員に通知したという「議員立法の原則禁止」の政府方針。
　　わが国のような、議員内閣制をとっている民主主義国では、内閣は国会議員に選ばれているとはいえ、国会と内閣（政府）は、まったく別物だ。憲法でも立法、行政、司法の「3権分立」は、保障されている。議員立法が出来なければ、国会は単に「政府の出す法案の是非を検討するためのチェック機関」に成り下がってしまうのではないの？
　　民主党は、旧自・公政権時代のように、与党「族議員」にたいする利権のからんだ陳情と、それを受けた議員による利権がらみの法案の、国会提出を防ごうとの一途な気持から、こうした「乱暴な」方針を打ち出すのだろうと察しはするが、政府による国会での議員立法禁止は、あまりに政府の強権・強引さを招くと思う。「独裁国家」の臭いさえする。
　　日本のように、保守系2大政党の対立国では、社民党、共産党、公明党などといった中小政党や、新しく結成されたばかりで議員数少ない政党は、どこかと連立を組まない限り、なかなか自分たちの政策を国民に訴える機会がない。議員立法提案は、そうした中小政党にとって、数少ない政策主張の機会だろう。それを、頭から禁止してしまうのは、少数意見の切捨てであるだけでなく、議会制度の否定に繋がらないだろうか。
　　他にも、前政権の「負の遺産」を払拭するためとは言え、このような、過剰で乱暴な反応が出てくるのではないか、と民主党の新・連立政権に対する危惧を生じさせる。


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　　森の住人は、今週末（9月26日）から、約1ヶ月旅に出て、森を留守にいたします。例によって、旅先にはパソコンを持ち歩かないため、このブログは、旅の間お休みさせて頂きます。来月（10月）28日ころ戻ります。毎週火曜日に、新しい記事 [NEW] をUPしているこのブログ、次回のUPは、2009年11月3日（火）を予定しています。
　　毎回、旅に出かける度に、同じお願いですが、それまでの間、時間のある方は、私の過去の記事で、気に入ったものや読み逃したものを、「一覧」から呼び出し、読み返していてくだされば、嬉しいです。
　　世の中に対する、私の感性や姿勢を分かって頂け、何かのお役に立てれば良いと思い、毎週火曜日、このブログを書いています。次回のブログ執筆時までに、新連立政権が、順調に滑り出していることを期待しています。では、11月４日(火)にまたお目に掛かりましょう。
（砂　流星）
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