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2006年11月20日
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■気になる本  - 高齢者の喪失体験と再生 - 
------------------------------------------------------------

 自立と自律の違いを著者から指摘され、「ハッ」としました。


「自立」とは、他人の手助けを借りず、自分一人で行うこと。
 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「自律」とは、自分で自分を律すること。
 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 とすると、いま行政が行っている「高齢者自立支援」の事業は、
高齢者を、一人で生活できるようにしたり、仕事や趣味や娯楽を
一人で行うことを目指しているのでしょうか?。


 ところで、高齢者というのは、何歳からでしょうか。

 「高齢者の居住の安定確保に関する法律第76条第1項の
年齢及び基準を定める省令」によると、第1条に60歳と
規定があります。(法律には定義がなく省令で定義されて
います。ということは省令を改正することで年齢の変更が
できるということです。)

 「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等
に関する法律」第2条には、65歳と定義しています。

 「高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の
円滑化の促進に関する法律」では、高齢者の年齢の定義は
ありません。

 「高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の
建築の促進に関する法律」も、高齢者の年齢の定義は
ありません。

 「高齢社会対策基本法」でも高齢者の年齢の定義が
ありません。

 あれれ、法律でも、何歳から高齢者という定義がでて
こないのがあります。ましてや基本法からしてでてきません。

 
 高齢者の年齢定義は難しいと著者はいいます。

 著者は、著書の中で、人生の段階を前半生、中間期、後半生の
3段階に大別して話を進めています。でも、それぞれの段階を
年齢で線引きするのは難しいとして、
前半生から中間期への移行は、40代から60歳まで
中間期から後半生への移行は、50代から65歳、
老齢期は、65歳以上とし、75歳を境にして前期、後期と
しています。老齢期後期を高齢期と定義付けしています。


 いま、「高齢者の喪失体験と再生」(竹中星郎著、青灯社発行)
を読み終えました。著者は、1941年生まれ、千葉大学医学部
卒業、放送大学客員教授で専攻は老年精神医学です。


 (人生の)悲哀の課程は、イギリスの精神分析医である
J・ボウルビーによると、4段階があるといいます。
第一段階・・・無感覚。突然の身近な人の死や事故や災害による
 死に遭遇した直後などにみられるショック状態、あるいは、
 茫然自失の状態。
第二段階・・・失われた対策を取り戻そうとする衝動。
 失ったこと(死)を受け入れることができない状態で、その
 心理的な反応はさまざまな形(啼泣、耐える、攻撃的)をとる。
第三段階・・・絶望と抑うつ。失ったものはもはや戻ってこないと
 受け入れて悲しみに沈む段階である。失った辛い現実を認めて
 深い諦めや思い出にひたって引きこもったり、無気力になったり
 抑うつ的な気分に襲われる。自責の念にとらわれる場合もある。
第四段階・・・離脱。失った悲しみから立ち直って、残されたもの
 として新しい生活への適応をはかるようになる。再構成と再適応
 が課題になる。

 身内の突然の死。だけではなく、身体の一部の喪失(例えば
片足を切除したとか)、そして高齢者の老化も悲哀の対象に
なるといいます。

 高齢者の喪失は、仕事や役割の喪失、衰え、心身の病い、
親や配偶者の死。これらから、乗り越え元気に生活をしていく。
「何か目標をもって生きる人」、「地域社会に飛び出す人」、
「日常の些細なことに喜びを見いだす人」、「何もしないで
閉じこもる人」など、高齢者はさまざまだと著者はいいます。

 著者は、どういきるかには公式はないといいます。「生きがい」
や「自立」は望ましいが、必ずこだわらずに、「自分らしく」
あればいい と繰り返し繰り返しいいます。
 ただ、決して「自立」を目指すのではなく、「それなりに」
「自分のらしく」生きていくのが大事と何回も説いています。


 また、法律に少し戻ります。高齢者に自立してほしい というのが
法律のいたるところでみえます。そして、平成7年に施行された
高齢社会対策基本法でさえ、高齢者に自立を という文言が
3つの条文にでてきます。その部分を抜き出し、◆で表します。

--------------------------------------------------------
高齢社会対策基本法
(平成七年十一月十五日法律第百二十九号)

(健康及び福祉)
第十条
 国は、高齢期の健全で安らかな生活を確保するため、
国民が生涯にわたって自らの健康の保持増進に努めることが
できるよう総合的な施策を講ずるものとする。
2 国は、高齢者の保健及び医療並びに福祉に関する多様な
需要に的確に対応するため、地域における保健及び医療並びに
福祉の相互の有機的な連携を図りつつ適正な保健医療サービス
及び福祉サービスを総合的に提供する体制の整備を図る
とともに、民間事業者が提供する保健医療サービス及び
福祉サービスについて健全な育成及び活用を図るよう必要な
施策を講ずるものとする。
3 国は、介護を必要とする◆高齢者が自立した日常生活◆を
営むことができるようにするため、適切な介護のサービスを
受けることができる基盤の整備を推進するよう必要な施策を
講ずるものとする。

(生活環境)
第十二条  国は、◆高齢者が自立した日常生活◆を営むことが
できるようにするため、高齢者に適した住宅等の整備を促進し、
及び高齢者のための住宅を確保し、並びに高齢者の円滑な
利用に配慮された公共的施設の整備を促進するよう
必要な施策を講ずるものとする。

(調査研究等の推進)
第十三条  国は、◆高齢者の健康の確保、自立した日常生活
への支援等◆を図るため、高齢者に特有の疾病の予防及び
治療についての調査研究、福祉用具についての研究開発等を
推進するよう努めるものとする。
--------------------------------------------------------
(参考)高齢社会対策基本法(平成7年11月15日法律第129号)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H07/H07HO129.html

 如何です。明らかに自立を目指していますね。しかも、
介護が必要な人にも自立を目指しています。どういうこと?。
繰り返しますが、
「自立」とは、他人の手助けを借りず、自分一人で行うこと。
 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
です。

 あたかも、自立しない高齢者は、「悪い人」みたいな
感覚をうけ、そうならないように予防をしっかりとしてほしい、
予防プログラムを積極的にうけてほしい という国の都合が
みえています。(高齢者医療や介護費用を抑制したい?)

 でも、身体障害者でも、高齢者でも、若い人で身内や愛しい人
を失くされた人も、先の4段階の喪失体験を身をもって
体験することになります。若い人は、再生(立ち直り)が早いかも
しれませんが、高齢者はそうはいきません。

 そういう高齢者がいらっしゃる ということを前提として
考えなくてはならない世の中になっているんだ という認識が
必要です。また、著者は、その対処方法も精神医学の面から
切り込んでいます。

 もし、貴方の回りに、高齢者(65歳以上)がいらっしゃる
なら、この本は、必読です。高齢者にいってはならない言葉や
態度がわかります。また、決してHowToものではありませんが、
分かりやすい言葉で文章が成り立っており、豊富な事例が
貴方を助けることになるでしょう。
また、貴方の老後にも、きっと役にたつことでしょう。

 「老い」は、この世で、一番、公平かもしれませんね。
その人なりの老いが必ずやあります。いかに位を高めた
国民の人臣である総理大臣や大臣でも、老いは必ずやって
くるのです。

 最後に、著者は「高齢者が寝ていると咎められてしまう、
生きがいをもて、介護予防だ、ボケの早期発見だとかで、
年をとると大変である」と憂いています。
 そして、「引きこもり高齢者だってかまわない」と
いっています。自分らしく生きればいいと。

 是非、高齢者が身近にいる人、障害者が身近にいる人や
高齢者や障害者の方々、そしてその予備軍である
今後、退職して高齢化の仲間に入っていく団塊の人達、
遠い将来(10年後、20年後、30年後等)に高齢者に
なられる方々、その他、これらに関係する人達は、
是非、読んでおく必要がある書籍だと思っております。
勿論!、わたしも。

(11月20日)


竹中 星郎
高齢者の喪失体験と再生





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最終更新日  2006年11月20日 09時45分39秒
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