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今読んでいる本 「ブータンに魅せられて」(今枝由郎 岩波新書) きっかけは、知人の高校一年になられるお嬢さんが書いたこの本の読書感想文が、第55回青少年読書感想文全国コンクール県代表に選ばれたことを聞き、ブータンというヒマラヤの麓にある立憲君主国に興味を持ったからです。 ヒマラヤの山麓に位置する最貧国ブータンを語るとき、この国の第4代国王ジクメ・センゲ・ワンチェック抜きには語れない。 この国王が、「GNP(国民総生産)ではなくGNH(国民総幸福)こそが目標」と語ったのは、1976年の第五回非同盟諸国首脳会議後の記者会見でのこと。このとき国王は即位後間もない若干21歳であったというのです。 そこでGNHで検索してみると、「国民の幸福度」順位表というおもしろい資料に出会いました。 そもそも国民の幸福度をどうやって数値化するのか良く分かりませんが、この資料によると、ブータンは8位、日本は90位ということです。 この資料を見るまでもなく、戦後経済成長一点張りで突き進んできた日本は、はたして富める国、豊かな国といえるのかという疑念がささやかれて久しいです。 「経済成長は幸せを求めるために必要な数多い手段のうちのひとつでしかない。目標は国民の幸せであって、経済成長自体が国家の目標であってはならない。富の増加が幸福に直接つながると考えるのは間違いである。」 「どうすれば他者を苦しみから救うことができるのか、どうすればよりよい心の平安が得られるのかを考え、自らが行動する。そうして得られた他者の幸せはやがて自らの喜びとなって戻ってくる。」 このようなチベット仏教の根本にある教えに基づいて、国王が提唱するブータンの国家戦略の先見性は、その後30年経過した今、年率平均7%前後の高度経済成長を持続させていることで立証されているといえるのではないか。 「よりよく生きるとは?」「より人間的であるとは?」を深く考えさせられる本です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2010年02月07日 13時22分41秒
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