カテゴリ:そばの雑学
そば屋にとってはそば粉が命。そば粉が無くては商売になりません。ところがそのそば粉の流通価格が高騰し、そば屋を困らせています。 その原因は日本国内での流通量の約65%~70%を占める中国産玄そば(そばの実)の輸入量の減少にあります。元々そばの原産地は中国内陸部で、それがシルクロードを通じて西はヨーロッパへ、東は朝鮮半島を通じて日本へもたらされた。 そばは米や麦など他の農作物が育たない痩せた荒れた土地でもしっかり根付き、実をつけます。古来よりわが国でも凶作の年、どれだけそばが窮した農民の命を救ったか、古文書をひも解くまでもありません。 そばの原産国である中国の経済発展は目覚しいものがあり、農業技術の進歩もまた例外ではありません。灌漑技術が飛躍的に進んだことにより、今まで作付けが難しかった農地にも、アワ、キビ、高粱といったそばよりはるかに収量の良い農作物を作付けできるようになった。その結果中国におけるそばの生産量が激減しているのです。 日本の大手そば粉製粉メーカーの資料によれば、中国での玄そばの生産量は最大43万トンあったものが、2012年23万トン、2013年9.5万トンと毎年半減していることが、それをよく表しています。中国から日本への玄そばの輸入量が年8~10万トンで推移してきたことを勘案すると、近い将来原料の玄そばの確保すら危ぶまれるという状況といえます。 ウナギの養殖に使われるシラスウナギが激減し、うなぎの蒲焼が食べれなくなる時代が来ると騒がれたのはついこの間のこと。マグロの刺身にしてもしかり。 幸ウナギやマグロと違ってそばの場合は栽培すればいいのですから、食べれなくなるということはないと思いますが、問題はコストです。残念ながら気軽に立ち食いそばで軽く腹ごしらえというようなことは、もしかしたら難しくなるのではないか。 中国がそばを栽培しないというのなら、日本国内で栽培すればいいじゃないか。米が余っているのだから、減反した農地にそばを植えたらどうか?・・・ごもっともなご意見ですね。私もそれを望むものですが、玄そばの反収は米の1/10にも満たないと聞きますから、安定した収量にはつながりません。 そば通に言わせると蒸篭もりのそばは三すすり半で食べるものといいますが、そうすれば蒸篭もり1枚3500円というようなことになる。 果たしてそんな時代が遠からずやって来るのでしょうか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015年03月09日 11時05分39秒
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