カテゴリ:遊遊漢字学が楽しみ♪
毎週日曜日のお楽しみ、漢字学者阿辻哲次氏の日経連載「遊遊漢字学」。本日阿辻先生が取り上げた漢字は、「爪」でした。 冒頭阿辻先生は、『「爪」につめなし、「瓜」につめあり』と習ったものだと述懐なさっておられますが、私も確かにこのように習った覚えがあります。どうでしょう。最近でも学校ではこのような教え方をするのでしょうか?もしかしたら、私らが最後の世代かもしれませんね。 確かに私らは「爪」につめなしとは習いましたが、「爪」は人が手を上からかざして、なにかをつかみ取ろうとするさまをかたどっていて、さらにはそこから「つかみ取る」という意味を持つようになったとは習いませんでした。 その例として、阿辻先生は「争」と「為」の旧字体、「爭」と「爲」をあげておられます。なるほど「爭」と「爲」にはどちらにも上に「爪」がありますね。 「爭」の下の部分の「尹」は手で杖を握っている形を表していて、それを別の「爪」が奪い去ろうとしているのが、「爭」であると。だいたい杖を握っているのは長老か権力者としたもので、その杖を奪い取ろうとするすることから、「爭」には「あらそう」という意味が生まれたと言われれば、なるほどと納得ができます。 驚いたのは、「爲」。これは手で象の鼻をつかんでいる形を示していて、本来は象を使役することを意味したと阿辻先生は教えてくれています。象は従順で頭の良い動物で力持ちですから、古代黄河文明にもおおいに貢献したことが容易に想像できます。そんな象の鼻を手でつかんでいるのが「爲」で、こうして象を家畜として使役することから、「爲」は「仕事をする」という意味を表すようになったと。 古代の黄河流域には、野生の象がいたというのも驚きですね。その便利で有益な動物を文明の利として使用したばかりか、そのことを漢字として文字にも残していたということに、優れた中国の古代文明とそのスケールの大きさに感心せずにはおられません。 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年12月24日 12時15分55秒
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