カテゴリ:そばの雑学
12月にはそばを召し上がる機会が多いと思います。そば屋としては、「年越しそば」と「討ち入りそば」はぜひ召し上がって欲しいものです。 もう一つ「〇〇そば」といえば、「引っ越しそば」を思い浮かべる方多いのじゃないでしょうか。ところがこの「引っ越しそば」、耳にしたことはあっても実際に食べたことがあるという方は、私も含めて少ないと思っていましたが・・・。 ウエブトピックスより、 「引っ越しそば」の大誤解 「新居で食べるそば」は間違い ・・・なになに、「引っ越しそば」って転居先の新しい住まいで食べるものだというふうに勘違いしている人が多いですって。 リサーチ会社が実施した調査によれば、「引っ越しして新しい家で引っ越し蕎麦食べた」とか、「予定どおり引っ越しを終え、早めの夕飯は『引っ越しそば』」のように、引っ越しをする本人とその家族が「転居先で食べるそば」のことだと勘違いしている人が半数近く(48.9%)もいるということです。 まったく困ったものですな。それでは私が講釈をたれるとしましょうか・・・。 そもそもそばが今のように長く切られて食べられるようになったのは、江戸時代の初めのこと。それまではそばのむき実をそのまま煮ておかゆ(そばがゆ)のようにして食べたり、粉に挽いたとしても水でこねて団子(そばがき)のようにして食べたと言われています。 そばの新しい食べ方は、当時の江戸でそば切りと呼ばれ、その安さと相まって大流行したのだそうです。 江戸時代中期になると、そのそばを引っ越し先の隣近所に挨拶がわりに配るという風習が流行り出し、これが「引っ越しそば」の始まりというわけ。 そう、「引っ越しそば」は配るものであって、転居先で食べるものではないからです。 ところが現代では自分の住むマンションの隣の住人の顔さえ知らぬ人が多くいるということですから、「引っ越しそば」は隣近所に配るものから自分で食うものに変わってしまったというのも、あながちわからぬでもありません。 「お側(そば)にやってきました」、「細く長いお付き合いをお願いします」といった意味を込めた粋な江戸の町民の風習が、こうやって忘れ去られていくのはさみしい限り。そばという伝統的な食べ物に従事する者としては、ため息しか出て来ませんな。 しかし、「転居した際、その近隣に近づきのしるしに配るそば」であったものが、「新しい転居先で食べるもの」に変わったにせよ、まあ、そばを食べてくれる人がいることに変わりはないというもの。これはこれでそば屋にとっては有難いことだと、現金な考えを巡らしたりもしています。(苦笑! にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年12月29日 12時20分19秒
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