テーマ:本日の1冊(3684)
カテゴリ:読書
読後感を書いておきます。
この本は2003年に発行されました。 著者が77歳くらいの、まさに晩年の作品になります。 著者の作品は数冊読んでいますが、直近では、こちらに読後感を書きました。 以下に、【この本からの引用】と【上記の感想】を書きます。 【この本からの引用】 これは六十の手習いというように、事実僕は六十歳の年から始めたのだが、老年の娯しみの一つに数える。 何がいいかといえば、字がうまくなることではなく、書をするその状態がいいのだ。 【上記の感想】 ある程度の歳を重ねてから始めると、うまくなるというのが不可能です。 偉そうに断定的に書いてしまいましたが、私のピアノもうまくなるのは無理というもの。 もちろん、毎日やっていれば、それなりにはうまくなりますが、うまくなることが楽しみであるならば、相当忍耐強くなければ耐えられません。 それほど、遅々たるスピードでの上達と言えるでしょう。 著者は、「書をするその状態がいい」と言われます。 例えば、墨を磨るときの香り、硯の形状や材質など、楽しみ方は色々あるようです。 私のピアノの場合にしても、天候による音の微妙な違いを楽しむなど、色々な楽しみがあります。 まあ、そんなことを考えてみました。 【この本からの引用】 私はスペイン人の個人生活を高く買っている。 むしろ愛してさえいる。 ナポリ人と同じく彼らは、イギリス人のように新しい服を買うために一日十五時間働くくらいなら、穴のあいた服を着ている方がましだといのである。 私は実は彼らの意見に賛成なのである。 【上記の感想】 これは、スタンダールの著書の引用です。 つまり、孫引きになります。 スタンダリアンというと、まず大岡昇平が浮かんできますが、中野孝次もスタンダリアンのようです。 経済的繁栄という観点から見ると、19世紀はイギリス、20世紀はアメリカという感じでしょうか。 スタンダールは19世紀のフランスの作家ですが、上記引用部は、イギリスを皮肉っていいるように思えます。 日本の経済的繁栄というと、20世紀後半の30年位でしょうか。 アメリカ型の大量生産大量消費が幅をきかせていた時代で、長時間労働をして物が増えていくことに幸福を感じていた時代であったと言われています。 どこの国でも、始めの物を持たない段階では、物を持つことが幸福であると思うものなのでしょう。 まあ、当たり前でしょうけど。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[読書] カテゴリの最新記事
|
|