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2010年06月11日
テーマ：プロ野球全般。(13232)
カテゴリ：記録/楽天イーグルス
今回は、良く言われるプロ野球の俗説「無死満塁は得点が入らない」を検証したいと思います。
プロ野球の実況中継でノーアウト満塁のチャンスになった時、実況アナが「よく無死満塁は点が入らないって言いますけどねぇ」と発言することがしばしばあります。 この通説の背景の1つには、塁上が埋まっているため、前進守備を敷いている内野陣の守備網に打者のゴロがひっかかれば併殺をとれる可能性があり、一気にチャンスが萎んでしまう事例も想定でき、そのため生まれてきたといえそうです。 はたして、本当にノーアウト満塁は得点が入らないのでしょうか？ 結果から言ってしまいます。そんなのは全くのデタラメなのです 『BASEBALL TIMES WEEKLY』2009年6/23号のデータでは、無死満塁での得点確率は実に88％でした。 また、手元にある2005年セパ全試合対象で集計したデータでは、無死満塁での得点確率は84.5％、得点平均は2.399点と最も得点が入りやすいチャンスの状況になっています。 さて、今季ここまで(6/9終了時)の東北楽天ゴールデンイーグルスの無死満塁をみてみましょう。 その前に下記が6/9終了時点でのチーム打撃成績です。 ■楽天のチーム打撃成績(6/9終了時データ) 得点241点(パリーグ5位) 攻撃イニング541回 1イニングあたりの得点平均0.445点(0.4454713点) 打率.257 出塁率.329 長打率.371 OPS.700 下記が無死満塁での楽天の打撃成績履歴になります。  ※無死満塁での打撃成績は、無死満塁を起点として3アウトをとられるまでのチーム成績です。例えば先頭打者がホームランを打った後に攻め立て塁上走者が埋まって無死満塁となった場合、起点が無死満塁からですから本塁打での得点は対象外として計算しています。 無死満塁は合計5イニングあり、5イニング全てで得点を上げているため、得点確率は100％です。得点11、得点平均2.200点、無死満塁からのチーム成績は打率.353、出塁率.300、長打率.412、OPS.712。 楽天も無死満塁ではきっちり、ここまでは全てのチャンスをモノにしています。通常の1イニングあたりの得点が0.445点に対し、無死満塁では2.200点。無死満塁になると得点力が5倍に上昇しているのがわかります。 ノムさんに「安打多くして得点少なし」とボヤかれた慢性的な得点力不足の楽天打線(現在チーム得点はパリーグ5位)、そんな打線ですから、楽天イーグルスのファンは特に無死満塁のチャンスになると悲観的になる人が多いようです。 この得点確率100％という数値は、ヒトの記憶ほどアテにならないものはない、の証明ではないでしょうか？ つまり、無死満塁は得点が入って当たり前の状況のため、得点が入った場面はヒトの記憶にあまり残らない。しかし、圧倒的有利な無死満塁のチャンスで1点も入らなかったりすると、その落差や衝撃、インパクトが大きいため、この悪い場面のみ、いつまでもヒトの記憶に刻まれてしまう(このような記憶の仕組み、心理学では何と言うのでしょうかね？興味津々)。そのため、「無死満塁は得点が入らない」という俗説が生まれた、とも言えそうです。 ちなみに、今季打撃好調なロッテの無死満塁も調べてみました。ロッテの無死満塁での得点確率も80.0％で、諸数値を突き合わせてみると、どうやら無死満塁では常に80％前後の得点確率がありそうだと推測できます。 ■ロッテの無死満塁での打撃成績(6/10終了時データ) (カッコ)内は今季の通算成績 イニング10 得点18 得点平均1.800点 得点確率80.0％ 打率.300(.289) 出塁率.297(.367) 塁打15(951) 長打率.500(.450) OPS.797(.817) ちなみに、1死満塁、2死満塁についても調べてみました。 前述の2005年データで、1死満塁の得点確率は66.4％、得点平均1.638点、2死満塁の得点確率は32.8％、得点平均0.782点でした。ちなみに全体での得点確率は26.4％、得点平均は0.495点のため、1死満塁でも2死満塁でも全体と比較すると両数値とも上昇するため、やはり満塁はチャンスといえます。 さて、楽天です。 ■楽天の1死満塁の打撃成績 イニング17回 得点イニング14回 得点30 得点平均1.765点 得点確率82.4％ 打率.465 出塁率.490 塁打23 長打率.535 OPS1.025 ■楽天の2死満塁の打撃成績 イニング25回 得点イニング14回 得点25 得点平均1.000点 得点確率56.0％ 打率.310 出塁率.394 塁打16 長打率.552 OPS.946 比較すべき数値が違うのは十分承知していますが(だって2010年のセパ全試合対象のデータが無いんだもの)、2005年の数値をある程度の基準に置くことができるとすれば、今季の楽天は1死満塁も2死満塁も平均より多く得点を上げることができており、満塁のチャンスをがっちりモノにしている、とみることもできそうですね。 -------------------------------------------------- ■本家ブログの過去記事はこちらをクリックして下さい。 ---------------------------------------------------- ■こちらのブログの過去記事はこちらをクリックして下さい。 ---------------------------------------------------- 現在ブログ村のランキングに参加中！みなさまのポチッが更新の最大の励みになります。なにとぞ、よろしくお願いします。(^○^)/  にほんブログ村  お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう
最終更新日
2010年06月11日 08時47分53秒
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