壊死性筋膜炎 necrotizing fasciitis
壊死性筋膜炎 necrotizing fasciitis■定義・病態・浅筋膜(皮下組織、深筋膜周囲組織)の壊死が本態・陰部に発症した場合はフルニエ壊疽■症状・局所の疼痛・紅斑・腫脹ではじまり、水疱(血疱)・紫斑・壊死へ移行する・局所病変が急速に広がるのが特徴・重症例では敗血症,DIC,MOF,ショックへ移行■起因菌・A群溶血性連鎖球菌(溶連菌)および嫌気性・好気性菌の混合感染・A群β溶連菌は特に急速進行型であり"人食いバクテリア"と呼ばれる■診断・CT・MRIが有効・血液培養、創部培養・溶連菌迅速診断検査■治療・切開排膿、デブリードマン・抗菌剤投与(グラム染色でグラム陽性の連鎖球菌→ペニシリン系抗菌薬,確認できなかった場合→広域スペクトルの抗菌薬)・重症例ではガンマグロブリンも※抗生剤の具体例1.溶血性連鎖球菌の場合処方例(下記のいずれか)1)ビクシリン 注 1日4-8g 3-4回に分けて点滴静注2)ペントシリン 注 1日4-8g 3-4回に分けて点滴静注 あるいは,1)ないし2)の常用量(1日4g)に3)を併用する3)ダラシンS 注 1日1,200mg 2回に分けて点滴静注2.溶血性連鎖球菌以外の場合処方例(下記のいずれか).1)カルベニン 注 1日1-2g 3-4回に分けて点滴静注2)メロペン 注 1日1-2g 3-4回に分けて点滴静注 あるいは,1)ないし2)の常用量(1g/日)に3),4)のいずれかを併用する.3)ペントシリン 注 1日3-4g 3-4回に分けて点滴静注4)ダラシンS 注 1日1,200mg 2回に分けて点滴静注■まとめ・壊死性筋膜炎は浅筋膜壊死がその本態・局所の疼痛・紅斑・腫脹が水疱(血疱)・紫斑・壊死になり、急速に広がる・治療は外科的デブリードマンが基本・抗生剤選択:G染色でG+連鎖球菌→PC系抗菌薬,そうでなければ広域スペクトルの抗菌薬