事件
これは以前から見ようと思いながら、なかなか借りられなかった作品。☆事件☆(1978)野村芳太郎監督松坂慶子長島敏行大竹しのぶ渡瀬恒彦佐分利信丹波哲郎芦田伸介ストーリー姉妹で一人の青年を愛し奪い合ったことから起こった殺人事件を中心に、不安定な青春の姿を描いた、大岡昇平原作の同名ベストセラー小説の映画化。「配達されない三通の手紙」「拝啓天皇陛下様」の巨匠・野村芳太郎監督が、緊迫した裁判の審理を描くヒューマンサスペンス映画の傑作。真相を追求すればする程、赤裸々で哀しい人間関係が曝け出されていく様を叙情的に描く。松坂慶子、永島敏行、大竹しのぶなど豊富な出演陣の活躍によって、1979年の日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞した。神奈川県の相模川沿いの山林で、若い女性の刺殺死体が発見された。被害者の坂井ハツ子は、この町の出身で、厚木町でスナックを経営していた。数日後、警察は19歳の工員・上田宏を逮捕する。宏は事件が起こった日の夕方、現場付近の山道で地主に目撃されていたのだった。だが、調べてみると宏はハツ子の妹ヨシ子と同棲し、ヨシ子は妊娠3ヶ月になっていた。やがて谷本裁判長のもと、裁判が開かれる。そして次々と召喚される証人の口から、意外な事実が解明されていき・・・。はすっぱだけど色気ムンムンの松阪慶子、幼い顔をしてなかなかしたたかな(一途なといわなければならないだろうか?)大竹しのぶ、どっちつかずな青年の永島敏行、そしてやさぐれた渡瀬恒彦。そうそうたる顔ぶれですよね。法廷シーンの合間に過去が挿入され、見る者にこの事件の概要がだんだんわかるという仕組み。いや~、じわわ~~っと来る映画です。殺意があったかどうかというのが、この事件のポイントなんですけどね。何度もこの殺人(といえるかどうか・・?)のシーンが繰り返されます。しかし、繰り返されるけれども少しずつ背景がわかったり、人物の心のうちがわかったりして印象が変わるのですね。松坂慶子が殺されるのですが、一瞬の表情が見事でした。愛なのか憎しみなのか、何を考え彼女は殺されたのかと考えてしまいましたね。ラストに大竹しのぶと渡瀬恒彦が道ですれ違い言葉を交わすシーンが入ります。大竹しのぶは妊婦さんで大きなお腹なのですよ。その彼女に渡瀬が「お前はかわいい顔して本当にすげえタマだなあ」と感嘆するのです。しかし、彼女は本当に幸せそうな顔しているのです。彼女はきっと彼女の愛を信じ子供を産み。たくましく生きていくんだろうなあと思うラストなのでした。やっぱり女の一途な想いは恐いんですよ~。