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2007.10.04
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■最後の夜

「じゃ、また明日、迎えに来るね」
王さんは流暢な日本語で話して、僕の部屋から出て行った。

明日は、王さんの両親から夕食に招待されていた。
中国の人の自宅に入るのは初めてなので楽しみだ。

翌日、昼前に王さんが迎えに来た。一緒に買い物や昼食をしたりしたが、体調が悪く王さんといったん別れて、昼寝をしに部屋に帰った。
1時間ほど昼寝をした後、再び王さんが迎えに来た。
バスに30分ほど揺られて北京郊外へ向かう。

王さんの父親は元々、軍の偉い方のようで、過去には軍隊の施設があった場所へ今でも住んでいる。今はもちろん引退している。
塀に囲まれた地区へ僕たちの乗ったバスは入っていく。20年前まではこの塀の外で検問があり、外国人や関係者以外は入れない立ち入り禁止区域とのことだった。
窓から見える景色は、公園があり子どもたちがいて、今でこそどこにでもある集合団地のようだが、これが「軍隊の集合住宅で・・・」と考えると、物々しくみえてくるから不思議だ。

日本で言うアパートのような5階建ての建物がズラッと並ぶ。
王さんと歩いていると公園で夕涼みをしている人たちの視線を感じる。観光客の来るところではないので、外人は珍しいのかもしれない。

王さんの自宅は、その建物の最上階にあった。
階段を上がっている間は、玄関や建物の雰囲気からして、普通の2Kくらいのアパート程度の大きさなので、意外と狭い家だな、と思ったが、日本に留学に出せるくらいの身分の家となると、そんなわけないような気がする。
5階について中に入ると・・・やはり・・・。その建物の4階までは各階に6世帯(6つの玄関)があったが、この階に玄関は1つしかない。
最上階の全フロアが王さんの実家なのだ。

ダイニングに通されると、TVで見たような、信じられないくらいのご馳走がテーブルに並んでいる。
王さんに通訳をしてもらい、会話をしながら食事をしていく。
僕の彼女の有無や、結婚についての考え方を何度か両親から聞かれたのが気になったが、あまり気に留めず、僕は青島ビールを飲んだ。
今日のために、王さんの両親が鶏を1羽しめた、と聞いた。嬉しいけど、僕1人分の料理にしては多すぎる。これが中国のもてなし方なのかな?
いくら、残すのが中国では礼儀とは言え、半分以上食べれていない。少し申し訳ない気分になった。

最終のバスの時間が近づいてきた。1人で帰るのは少し不安だったが、王さんも一緒に北京市内まで帰ると言うことなので安心した。

北京に戻ってきてから、ずっと体調が悪かったが王さんの家から帰ってきてから、一気に悪化した。
夜は何度もトイレに行くために起きた。
トイレに行くたびに徐々に力が抜けていく感じがする。ベットに横になりながら、このまま痩せ細って死んでしまうのではないか?という妄想をしてしまう。

今は、旅の残りの時間を過ごしているだけで「旅をしている」実感はない。北京から福岡へ飛び立つ飛行機の時間待ちをしているだけだ。
この旅を総括したいが、頭が働かない。
頭痛がひどくなってきた。
意識が朦朧としていく・・・

翌朝、幾分体調はマシになっていた。昨日王さんにお母さんからもらった、桃を食べて、成都で買った薬を飲んで昼までTVを見ながら横になっていた。
昼からは買い物に出かけた。PUMAのスニーカーと乾燥肉を買った。
靴はかなりボロボロになっていたので、新しいスニーカーに履きかえた。いつの間にか買い物には全然困らないようになっている。日本での買い物と変わらない気がする。
やはり体調は万全でないので、3時間ほどで部屋に戻って寝た。
夕方、王さんが夕食を誘いにやってきた。体調がすぐれないので、近場で簡単に済ました。
王さんとはこれでお別れで、後期が始まればまた学校で会うだろう。
彼女にお礼を言って、僕は1人で部屋に戻った。

中国最後の夜が過ぎていく。
TVではUSオープン'95をやっている。
マイケル・チャンが準々決勝で負けそうだ。

明日の夜は、日本の自分の家でくつろいでいる、と思うと不思議だ。
中々眠れない。

ホテルを出て歩いてみる。静かだ。雨上がりの少し冷気のある空気が周囲を包んでいる。中国に来たときに感じた、まとわりつくような暑さは無い。いつの間にか9月になっている。
中国の幹線道路は広い。昼はそれ以上に人がいて広いと感じさせないが、深夜になると異様に広い気がする。
広い静かな空間と、首都北京という空間の、両方の事実が妙な違和感となって僕を少し変な気分にさせる。日本の首都や都心の道は狭いからだろう。

明日は朝が早い。

夜のだだっ広い道路を歩きながら、僕の中国旅行は既に終わっている気がした。





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Last updated  2007.10.04 21:03:13
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[1995中国旅行(編集期間'07年8月-10月5日)] カテゴリの最新記事



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