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狂人ブログ ~旅立ち~

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June 16, 2010
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 作家・湊かなえのデビュー作にして、2009年第6回本屋大賞に選ばれた傑作ミステリー小説を映画化。

 自分の生徒に一人娘を殺された中学教師の復讐劇を、様々な視点から淡々と一人称で語っていく原作独特の雰囲気をそのまま生かしつつ、一級のエンターテイメント作品として昇華させた中島哲也の手腕は見事。
 実は当初、小生自身「パコと魔法の絵本」があまり好きではないだけに、もしかしたらトンでもなくおかしな物が出てくるんじゃないかと懸念していた。
 それがまったくの杞憂に終わったばかりか、人間の奥深くに押込められた負の部分を抉り出し、冷たく突き放した視点で傍観していく文体そのままに、スローモーションや軽快な音楽を多用する事で、ある種ミュージカルかオペラを彷彿とさせる目にも耳にも鮮やかな絵に仕上げ、同時に登場人物、とりわけ生徒達の「現実を夢かテレビの中の出来事のようにしか認識できない」、未成熟な精神をビジュアルとして作り出す事にも成功している。

 出演者、とりわけ主演の松たか子の仕事も文句ナシに素晴らしい。恥ずかしながら小生は、という女優の実力を、完全に見くびっていた。
 原作の読了後、本作を映像化するなら主演は松雪泰子米倉涼子、あるいは大穴で最近成長目覚しい小池栄子辺りが妥当と考えていただけに、上記の監督の件と合わせて、お二人に土下座謝罪したい気分である。
 賢しいだけで知恵も恥も経験も礼儀も常識も足りてない、年相応かそれ以上に幼い生徒達。彼等同様、あるいはそれ以上に幼く、「やればできる」「本当はいい子なんだ」「みんな頑張れ」などと、根拠のないカッコよさ気な言葉ばかりを吐く空っぽの大人達。
 そんな、自分の事しか考えてないくせに、まるで自分が分かってない連中の中で、唯一演じる森口だけが、しっかりと地に足のついた大人として君臨している。 
 一人の生徒の暴走のため、森口は凄惨な復讐計画を実行するが、本能と自惚れのまま行動する少年Aに対し、森口はあくまで冷静に、理論的に、客観的に状況を把握、コントロールし、少年Aを完膚なきまでにぶちのめす。
 世の中で一番怖いのは、後先考えずにキレられるヤツ、という者がいるがそれは違う。一番怖いのは理性と知性を保ったまま、自らの狂気を解き放てる人間である。
 言うならば森口は、本作唯一の良心でありながら、最大のヒールと言える。良識も自我も持ち合わせるがゆえの狂気。松たか子はほとんど表情を変えず、しかし全ての感情を観客に読み取らせなければならないこの超難役を、完璧に演じきった。
 あるインタビュアーが彼女を「日本のニコール・キッドマン」と称したが冗談じゃない。ヒース・レジャーだ。あんな芝居、シガニー・ウィーバーだってそうそうできるものか。

 余談だが、各レビューサイトで物議を醸している作中の号泣シーン。森口が見知らぬ子供からキャンディーをもらって微笑む前カットを踏まえると、娘の復讐のためとはいえ、結果的に他の犠牲者を出してしまった事への後悔、自分が少年Aと同じ過ちを犯してしまった事に対する自責と懺悔、と同時に、復讐の最終段階に向けて改めて狂気を纏うために、最後の良心を搾り出した、と小生は察するがいかがだろうか。
 そのあと、驚くほどさっぱりした顔で歩き出した事からも、そう思わずにはいられない。
 
 なお、文字通り身体を張った生徒達をはじめ、他の出演者の熱演も見逃せないと付け加えておく。

 一見すると本作は、命の尊さ、罪と罰、親子愛を謳っているように見えるが、実はそんなものはフェイクに過ぎない。もっと根底にある倫理や道徳や教養、否、よりプリミティブな、それこそ小学校に上がる前には分かってないといけないような事を分かっていない「大人になりきれてない大人」とその予備軍に対する痛烈な皮肉であり、嘲笑であり、憤怒こそ、本作の核である。
 原作には登場しない最後の一言は、(森口の手による)復讐計画の終焉を知らせるとともに、(たとえ脳がキャパを越えて、鼻血を噴出そうとも)ここが逃げ場も隠れ処もない「本当の地獄」「現実」だと心身に叩き込み、頭の中にこさえた勝手な妄想の殻から引きずり出し、大人の本当の怖さとテメェの未熟さを知らしめる、まさにトドメの一撃であると断ずる。
 本作の鑑賞後、読了後に訪れる後味の悪さの正体とは、我々の中にある幼児性、無知、あるいは無恥を透かし見られた後ろめたさなのかもしれない。
 
 兵庫で教鞭を取っていたという作者の思想・体験談が多分に含まれていると察するが、こういう作品こそR15+などにせず、中学生から観せた方がよいと個人的に思う。原作ファンでも、また違った楽しみ方のできる作品。
 ガチでオススメです!!


 な~んてね。


 そんなわけで、小生の、この映画に対する評価は…、

 ☆☆☆☆★+++

 原作を読んでなかったら、満点つけてたかもしれん。星4つとプラス3つ!!



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最終更新日  June 16, 2010 08:29:39 PM
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