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スキルス胃癌 サポート

スキルス胃癌 サポート

こぐまママさん

2004年春
ヒゲさんから「ひろりんのお父さんと同じ病院に通っている人からメール貰ったんだけど、ひろりんを紹介して良いかな?」と電話がくる。
ヒゲさんはこの頃には既に自分のHPを持っていたので、時々患者さんやご家族からメールが届いていた。
患者さんは30代前半の女性で、ご主人のこぐまパパさんとヒゲさんがメールのやりとりをしていた。
で、私もそのメル友の仲間に入ったという訳だ。
こぐまママさんとも、直接メールをするようになった。
何度かメールのやり取りをしているうちに「病院はそう、遠くないしお見舞いに行こうか」という話が出て、ヒゲさんと私たち夫婦の3人でお見舞いに行くことになった。
この時は既にこぐまママさんは転院していたので、父と同じ病院ではなかったけれど、そう遠い所ではない。

メールって不思議だ・・一度も会った事はないのにいざ会ってみると、旧知の仲みたいな気がする。
病院玄関前に、こぐまパパさんがお出迎え。
病室に入った途端、こぐまママさんがヒゲさんを見て「ホンモノだぁ~」って無邪気に喜んだ笑顔が印象的だった。
この時、ヒゲさんの友達である事が誇らしげに思えたなぁ・・・
私は・・と言えば、掲示板に投稿した事もなく誰も私の事など知らない。
私の事を知っている人はヒゲさんと、管理人、こぐまファミリーだけだった。
(あの頃を思うと何と人の輪が広がったことだろう・・・)

病室は個室で、大人がこれだけ入ればすぐに熱くなる・・・
こぐまママさんとおしゃべりしながら、熱かったのでジャケットを脱いだ。
そのちょっとした仕草に気づいたこぐまママさんは、すぐさまリモコンで室内の温度を下げた。
決して体調は楽ではない筈なのに、私に気を使ってくれたのだ。
胃癌患者さんは皆、寒がりだ。
体脂肪率も下がるし、根本的に代謝が落ちている。
真夏でも厚着をする程の寒がりだ。
だから、こぐまママは熱くは無かった筈だ・・・寒かったかもしれない・・・

疲れさせてはいけないと、早めに切り上げるつもりでお茶を飲みに行って来るからとこぐまパパさんと病室を出た時、「必ず又一緒に戻ってきてね」と念を押された。
そしてまた、病室に戻りおしゃべりが始まった。
何を話したのか、覚えていないけどずっと笑っていたように思う。

会ったのはこの1度だけ。彼女の笑顔しか記憶にない。
涙声のこぐまパパさんから電話がきたのは、この2週間後くらいだっただろうか・・・2004年6月8日こぐまママさんは旅立った。









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