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スキルス胃癌 サポート

スキルス胃癌 サポート

裏切られた思い

2002年8月

約1ヶ月、市内の病院の脳外科に入院し、その後、本来のH病院での入院が始まった。
市内の病院に入院中に、父はろくに食事が摂れなくなっていた。
そもそも、一人で食事も出来なくなっていたので、母と主人と私、それに叔母の手伝いを借りて、交代で食事させていた。
トイレも自分で行けないから、看病と言うより、もう介護だった。
口に食べ物を運ぶと、口を開けて食べるのだけれど、飲み込むと必ず
「痛い、痛い・・・」
と、胃のあたりを抑えた。
そんな栄養不良の状態では抗癌剤治療は出来ないので、H病院の主治医の指示で中止になっていた。


H病院までの道のりは車で約2時間。
民間の介護タクシーを頼み、看護師も同乗しての移動だった。
この費用は確か20万だったと思う。

苦労してH病院へ連れて行ったのだが、この時主治医から言われた言葉は今も胸に突き刺さっている。
「寝たきりの状態の人に抗癌剤治療は必要ありません」と。
寝たきりで、尚且つ認知症のような状態になってしまった父は、もはや癌治療が必要な患者ではなくなったのだ。
別の受け入れてくれる病院を探すように言われた。
他の病院を見つける間、H病院での入院が許された。

この時、信じていたものに裏切られた思いがした。
H病院は日本屈指の癌専門病院だ。
ここには日本中から癌患者が集まってくる。
癌患者の夢と理想の病院なのだ・・・・その病院から突き放された・・・
この時、何とも言えない情けない気持ちになり、涙が出た。

当然と言えば当然の話なのだ・・・
病院は病気を治す所で、根治、もしくは回復が見込める患者を最優先すべき所だ。
H病院ほどの病院であれば、尚更でベッドを待っている患者が沢山いるし、ここで診て貰いたがっている患者は山のようにいる。
回復見込みがなくなった父のような患者にかかわっていたたら、本来回復が見込める癌患者が取り返しのつかない事になってしまう。
頭では理解しているけれど、気持ちが付いていかない・・・


だけど、泣いてばかりはいられない。
又、病院探しが始まった。


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