|
カテゴリ:医療に関して思った事
いつかはホスピスに入ろうと思っています
こんな言葉を何人もの患者さんから聞きました。 言葉には出さずとも、頭のどこかにこんな思いを抱いている患者さんは結構いるのではないかと思います。 ご自分が入院すると、病状がかなり悪い患者さんを院内で見かける事もあり、 あんな風になる前に治療は止めて、ホスピスに入ろうと思います そう、思うようです。 ですが、実際はご自分から望んでホスピスに入った患者さんを一人も知りません。 ホスピスというと、木漏れ日の中、車椅子に乗って愛する家族に押されてのんびりと散歩する。 陽だまりの中で、気持ちよくうたたねをする。 そんな場面を思い描きます。 人はいつか必ず死ぬのだから、そんな風に穏やかに逝きたいと、癌患者さんじゃなくても誰でも思うものではないでしょうか。 ですが、辛い抗癌剤治療に耐えて「時間」を得た患者さんは、自ら治療を止めてホスピスに入る事などもう選択出来なくなるようです。 ホスピスを選択出来ないのであれば、最後の最後まで治療を続行するか、そのちょっと手前で治療を止めるか・・・選択肢は2つに1つという事になります。 治療断念のラインは主治医の判断です。 明らかにもう治療は難しいという場合もありますが、そうでは無い場合もあります。 こういう場合はご本人、ご家族の意向が大きく左右します。 治療を最後の最後まで続けた患者さんを何人も知っています。 最後の最後まで治療を続けた患者さんの場合、最後の治療が、もしかしたら命を縮めてしまったのかもしれないと、後悔の念を抱くご家族も少なくありません。 ですが、その最後の治療をしなければ、又、後悔したはずです。 そして、その手前で治療を止めた患者さんも何人も知っています。 知子さんがその一人でした。 というより、私がそう判断しました。 ご主人から全てを任されていましたから。 もう1度タキソールという選択肢もあったのですが、知子さんの赤血球減少があまりにも顕著であった事、熱を出した事から、熱が下がっても、もう治療は止めた方が良いと思いました。 この選択が良かったのかどうか、わかりません。 最後の最後まで治療を続けても、その手前で断念しても、後悔をするのであれば、知子さんの負担を軽くする方を選びました。 本人に真実を告げていなかったので、本人には恨まれているかもしれません。 治療を止めた結果、時間を減らしてしまったのかもしれませんし、逆に増やしたのかもしれません。 これは誰にもわからない事なのです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[医療に関して思った事] カテゴリの最新記事
|