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カテゴリ:医療に関して思った事
先日、ホスピスの話題にちょっと触れたので、その続きを。
現在、ホスピス、又は緩和ケア病棟を有している病院は、多いとは言えません。 独立したホスピスも存在しますが、これになると、もう稀少としか言いようがありません。 で、てつさんのコメントにもありましたが、ホスピス=治療断念という所ばかりではなく、患者さんの意志を尊重した上で、体調が回復すれば再度治療、疼痛緩和も平行するというホスピスもありますが、多くはありません。 そして、一つ共通して言えるのは、どこもまず満床状態という事です。 数ヶ月待ちという所も珍しくありません。 半年以上も前になりますが、ある癌治療で有名な病院のホスピスが、理想のホスピスとしてテレビと新聞で多少時差して、連続して報道された事があります。 テレビや新聞で取り上げられていた癌患者さんと、そのご家族はそれぞれ大満足したようです。 完璧とも言える疼痛緩和、気配りのきいた職員に囲まれて穏やかに数ヶ月を過ごせた(又は過ごせている)事に感謝していますと、コメントしていました。 この癌患者さんは、それぞれ、何の癌だったか覚えていませんが、スキルスではなかった事は確かです。 ここで私の中で疑問発生です。 この病院で治療、入院した患者さんを知っています。 報道があった1年くらい前の話です。 この患者さんは、本当に性質の悪いスキルスで、病気発覚後、残念ながら半年で駆け抜けて逝ってしまった若い女性患者さんでした。 病気判明時、手術不可で早々に化学療法を開始しました。 どうも、治験に参加したようで、最初の治療が「CPT11+TS-1」でした。 当時、この治療から始める事は珍しく、今もあまりありません。 副作用も強いけれど、効果の期待も大きいとセカンドオピニオンを受けた先の医師にも言われ、この治療にかなり期待を抱きました。 ですが、開始直後に肝機能に問題が出て、TS-1単剤の治療に変更になりました。 CPT11との併用療法が、期待が大きいと聞いたこの患者さんは、TS-1単剤になる事を大変不安に感じました。 そして、主治医に肝機能が回復したら、又、最初の治療に戻してくれるように頼んだのですが、一度治験から外れるともう戻れません。 やむなく、TS-1単剤の治療を続ける事となりました。 TS-1の効果もあまり出なかったようで、その後タキソールに変更。 ですが、病状の進行が早く、敗血症を起こし、どうにも治療が出来なくなってしまいました。 この時点で、主治医から転院を促されました。 もう、治療は出来ないのだから、この病院にいる意味はないだろうという事です。 転院先が見つかるまでの間、この病院のホスピスに入る事が許されました。 いますぐ空いている病室となると、1泊2万円を越えますが仕方ありません、そこに入りました。 2~3泊すると1泊1万円の部屋が空き、そこに移りました。 この間も、転院の催促がありました。 患者さんは転院を促された事を知りません、ご家族が涙ながらに必死に病院を探していました。 何とか転院先を見つけ、転院。 その数日後に患者さんは旅立っていきました。 マスコミで理想のホスピスと取り上げられた同じ病院です。 何故、マスコミで取り上げられた患者さんは、そこで穏やかに過ごせ、このスキルスの患者さんは転院を促されたのでしょうか。 治験から外れたから? それとも、県外からの患者さんだったから? それとも、それとも、この1件の後にこの病院内で大改革が起きたの? 理想が掴める患者さんと、そうではない患者さんの違いって何? 大都会で、病院が掃いて捨てるほどある環境にいながら、何故、こんな事がおきるのでしょう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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