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カテゴリ:治療法が無いと言われて
治療法が無いと言われた、60代前半男性患者さんの場合
2~3年前の話です。 娘さんから相談メールを頂きました。 病気発覚時からメールが届き、娘さんもかなり動揺した様子で届くメールの時間は真夜中だったり、明け方だったりでした。 突然、電話がきたこともありました。 この患者さんは、手術不可の状態で病気がわかりました。 ある大きな総合病院の患者さんでした。 癌専門病院ではないけれど、元は癌専門病院にいた医師が何人か在籍している総合病院で、この方の住んでいる県では中枢と言える病院でした。 化学療法を始めましたが奏効があまり芳しく無かったと記憶しています。 抗癌剤治療の奏効率は決して高いとは言えません。 飲めば必ず治まる鎮痛剤のような訳にはいきません。 それに、即効の薬もありません。 副作用というリスクを負いながら、時間をかけて様子を見なければならない治療です。 ガイドラインの治療を経て、治療法が無いと言われてしまいました。 この時は、腹水でお腹がパンパンに張っている状態でした。 腹水が溜まると、栄養も損なわれるからと抜かない医師が結構多いです。 私の父も1度も抜いた事がありませんでした。 病気発覚からさほど時間が経っていない事もあり、到底諦めたくは無い思いが大きく、娘さんは治療法を探し始めました。 残念ながら、病状が悪化すると病人は病院を選べなくなるという現実があります。 患者さんが、病院や医師を選べるのは回復が見込める状態の時だけ・・・・ これが、残念ながら医療の現実です。 未だ何かあるかもしれない治療法を探し出しても、それを請け負ってくれる病院や医師がいなければ意味がありません。 ましてや、患者さんの状態が悪い時の抗癌剤治療は、医師の経験と技量と度胸も必要です。 患者さんの状態が良ければ試せる治療も、悪い状態では逆効果になる事もしばしばです。 治療に当たる医師だって、不安が無いハズは無いと思います。 正直、この患者さんの状態で治療を請け負ってくれる医師や病院を探すのは、とても困難だと思いました。 腹水が溜まったのなら腹腔内化学療法もあるけれど、この方の居住地近くでこの治療をしてくれる病院が思い当たりません。 この治療だって当然副作用もあるし、逆効果にだってなるかもしれない治療である事は同じです。 「現実問題として病院探しはとても困難だと思いますが、探す前から諦めてしまうのでは後悔が残るでしょう。 私自身もそうしましたが、データ持参で片っ端から病院を探すしか無いと思います。」 と返事しました。 そして、彼女は請け負ってくれる病院を探し出しました。 彼女の義父がある大学の医学系の教授であった事もあり、もしかしたらコネがあったのかもしれません。 ・・・・つい、こんな風にひねくれて捉えてしまう程、現実は厳しいのです。 例えコネでも何でも請け負ってくれる医師がいてくれた事に、感動すらしました。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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