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カテゴリ:小説
ゆかりさんから頂きました。
お題は セクシィなおかし。 真夜中の森。 羽。 ジャンル指定はミステリーだって。 ------- パティシエが謎の言葉を残して死んだ。 事故か他殺か、または自殺なのか? ことの起こりは昨夜。 田沼平久朗探偵事務所の電話が鳴るところから始まる。 俺は安藤壱意。 今はこの事務所の所長代理。 虚弱体質で、日に十回は嘔吐する。 土気色の安藤ちゃんとは、俺のことだ。 さっきからもう、30分。 同僚の美矢が電話で話ている。 「うん、だからさあのコはね~写真がやりたいのさ、うん……」 私用だが、閑なので仕方ない。 「安藤ちゃん、電話借りるよぉ」 「俺はかまわんが携帯でかけろよ、京子がウルサいぜ? 」 言い終えないうちに 「モシモ~シミャ-だよ~」 応えた意味がない。 「真夜、中の森バンド見に行かない? 」 またバンドの追っかけか。 「……」 静かだな。 「安藤ちゃん、電話…」 ミャ-は俺に受話器を押し付けた。 数時間後。 俺とミャ-は真夜と言う依頼人と会っていた。 話はこうだ。 ミャ-の友人、真夜の父優作は日本人では希少な、国際的パティシエだった。 その父が、大事な仕事中に倒れ、そのまま死亡した。 「せくしいなおかし」 と言う謎の言葉をつぶやきに残して。 真夜は言う。 父は今度イタリアのスイーツコンクールで新作を発表するはずだった。 まだ誰も知らない新しいスイーツを研究中で、このひと月余り、厨房に籠もり帰宅しなかった。 助手の岡地真知子は毎夜遅くに厨房をでて帰宅、朝9時に厨房に入る。 そして、彼に会うことが出来たのは、このひと月 彼女ただ一人だと言う。 そして、明日その新作を発表するはずだった。コンクールにもう一人、日本人が参加する。名岡雅彦。 新進気鋭のアイドル・パティシエだ。 名岡は真夜の父優作のライバルだった。 名岡もまた、新作てコンクールに挑むと言う。 真夜は父優作が、倒れた訳を知りたいと言うのだ。 健康には人一倍気を使う父が、大事な仕事中に倒れるはずがない。 何かただ事でない事件が起こったに違いないと言うのだ。 俺は調査依頼を引き受けた。 事務所に戻り、真夜の話を書類にまとめていると。 「おーい、安藤 今帰ったぜー! 」 三輪が肩越しにがなり立てた。 「ウルサい、バカは黙ってろ」 「お? 事件か? どれどれ」 勝手に俺の書類を読み、そして 「判ったぞ安藤クン♪ 」 何が判っただ。 と思ったが、どうせ勝手に喋るのだから言わせておいた。 「この名探偵 三輪正吾の前には、お前もかたなしだな、土気色の安藤クン」 「これは殺しだな。そして犯人は岡地真知子だ!!」 エスクラメーションを2つも付けて、粋がる。 「なんで? 」 「まあ聞きたまえ安藤クン♪優作は助手の岡地と2人っきりで、ひと月も研究してたんだろ。そのうちに2人は……」 俺はバカを制した。 「もういい、で浮気してる最中に優作は倒れたんだな? 心臓でも抱えてたか? で最後に セクシーな岡地 とでも言ったのか? 」 「…安藤クン凄い、けど、今回は俺の推理が先だったから…」 「お前は、浮気するほどの相手を名字で呼ぶのか? アレの時も? 」 「え…」 「惚れた女のても握れん奴にはわからんか。お前が言う通りなら、優作は真知子と言うはずだ。セクシーだ真知子」 「ハイ、そうですね」 バカを黙らせて、俺はようやく、自分の脳をフルに回転させることが出来た。 -------- 前編 了 メール打ち続けて電池が無いですの。 終わります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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