45 県警本部射撃場
郷東川沿いの奇妙ないも虫状の建物ですが、香川県警察本部の射撃練習場です。 珍しいこの形には訳があります。当時室新町にあった野外射撃場を屋内化することになり、新しい射撃場に対してまず鉄骨造の予算がついたそうです。 県警本部の設計担当であった川地巧(たくみ)氏は、鉄骨造には疑問を感じました。「長期間安全性を確保できるだろうか。できれば鉄筋コンクリート造にしたい。」氏の思いは、鉄骨造の予算で鉄筋コンクリート造の建物を造ることに注がれていきました。 壁と天井が一体となったかまぼこ状のスケッチが生まれ、よき助言者であった香川県建築課の山本忠司(ただし)氏に見せたところ、これはおもしろいと言う返事が返ってきて勇気付けられたそうです。 氏から中央の著名な建築家浅田孝氏を紹介され、材料を極力減らすデザインが進められ、構造計算は法政大学の青木繁教授が行ない、最終的にシェル構造に梁構造を加えた複雑な形態のハイブリッド建築が生まれました。 県民の安全を守る施設として、今もまだまだ現役です。物件名: 県警本部射撃場 所在地: 香川県高松市郷東町 竣工年: 1967年 設計者: 川地巧 氏 施工者: 不明