どうしようもない孤独
大人と子供を分ける基準ってなんだろうってずっと疑問だったんだ今でもこうだとは言い切れないけれど大人になるっているのはもう一度 生まれることなのかもしれないね「どうしようもない孤独」がきっかけかもしれないそいつは大体三十前後で訪れる敏感な人は20代の早いうちから感じてるけれどそれは敏感さゆえの予感なんだ「どうしようもない孤独」が大人になるための必然であることを早くから肌で感じてしまうんだろうねだから足掻く僕もずいぶん早いうちから足掻いていた敏感なんだ すごくインフルエンザ予防接種の張り紙が出された時のあの逃れられない恐怖感に似てるんだよね逃げたいと本気で思っていたよそんな痛み耐えられないと思ってた刺青を入れた理由のひとつでもあるよねこのぐらいかなって痛みを先に知っておきたかったんだよまあ気が小さいというかなんというか当時の本人は本気でそう思ってたんだけど30歳の時ついにその「どうしようもない孤独」を味わう瞬間がやってきた僕のやったことは自殺未遂だった注射が嫌だからって何も死ぬこたあねえだろって話なんだけどさやっちゃったもんはもう仕方ないからそこんところは一生 恥をかいてく覚悟はしてるんだけど「どうしようもない孤独」は本当に「どうしようもない孤独」だったよ誰にも埋められないんだ自分でさえもそれは動かしがたい現実だったそれだから人は結婚するんだろうかとかねああ自分は自分に構い過ぎてるうちに乗り遅れてしまったとか色々考えた考えてないと痛々し過ぎてどうにもならないほどの孤独だったんだわりかし人なつっこい性格をしてる自分でもこれだよ周囲にどれだけ人がいたって痛いものは痛い人はそういうものを優しさゆえに取り繕おうとするよねそれがいたわりとか呼ばれているものなのかもしれないけど僕は誰もが通る痛みはこれなんだ目をそむけるなとも言いたかった優しさがさまるで腫れ物にでも触られているような感覚を覚えたのさ事実それで男に怖がられて逃げられたしねいやあ目をそむけるななんてカッコイイこといくら言ったって男に逃げられたって現実があるわけじゃないもー何も言わなきゃ良かったって情けなくて恥ずかしくて孤独でんでこれ以上はないというほど惨めだったでやぶれかぶれになって腕を滅多切りにしたあげく睡眠薬を150錠も飲んで三階から飛び降りたんだけどさ今思うとお前は腫れ物だとはっきり言われてたら本当に死んでたかもしれないよ僕には優しさが必要だったんだでそれを与えてくれる人はすでにいたんだよそんな簡単なことにずっと気づかなかったんだって気づいた瞬間もう言葉も何も出なくなっちゃってね顔を覆って泣きまくった嬉しいんだか悲しいんだか悔しいんだか多分 全部なんだけどさその瞬間に生まれ変わってるんだけどハーイ 生まれ変わりましたとはさすがに実感できなくて手放したことにえらいこと放心してバカみたいに何日も眠ったよんでこれって生まれ変わってるのかなあとかなんとなくだけど味わうことが出来るようになったんだ大人になるってさ子供からの継続じゃなかったのね僕にとっては全部最初からやり直しなんだよ マジかよの連続でぶっちゃけハイハイからだよね始まりはんで立てるようになって歩けるようになって今があるんだけど生まれながらの「境遇からくる孤独」を本質的に知っているのに大人になるための「どうしようもない孤独」を味わってない人はわりかし多いよね30歳過ぎるとマックのダブルバーガーでも胸が焼けて仕方ないんだから「孤独」ダブルはそれどころじゃないと思うよその恐怖感ってどれだけのもんだろうって想像もつかないきっと辛いだろうなって思うそれだから「境遇からくる孤独」のうちに留まっていたいっつうかこれだけの思いをしたからもういいじゃん的な気持ち分かるんだよねまた痛みを乗り越えないで大人になれないのがなんとも受け入れがたい部分であったりしてさ苦しいだろうなって思うだけど赤ちゃんは小さくて生命力の塊だから手を差し伸べるんであって子供のまんま年寄りになってごらんよ体はでかいし始終病気はするし手を差し伸べるほうにも限界があるよねそうなってから冷たい 寂しいと言ったところで自分が大人にならない選択をしたならばそれは仕方のないことなんだ僕は「どうしようもない孤独」が訪れたとき無意識にこのまま年取ったらどうなるんだろうって計算しちゃったよいや今の惨めの比じゃなくなるだろうなって自殺未遂やらかした入院先のベッドで考えた多分もうこうやってキーボードで文字をうつことも出来なくなっててさはけ口がないままただ 朽ちていくだけなんだきっとそこまでくれば自殺するだけの気力もないよ天に見放されるってさ良く分からないけどそういう瞬間のこと言うんじゃない?ってもう自分のことを知ってる人間もいなくなってさ病気だなんて言っても物理的に聞いてくれる人間が周囲にいないんだうわあって思ったよそれだけは勘弁して欲しいって人ってそうやって情けなく大人になっていくものかもしれないうむ大人になる瞬間というのは少なくとも僕にとっては情けない自分を嫌というほど感じた瞬間でもあった同時にそんな自分を愛しいって初めて感じたよ僕は境遇的には絵に描いたような幸せな環境で育ったわけではないんだよねだからというわけではないけど大人になることをためらっている人が居るならためらわなくても大丈夫だよと僕はいいたい君の痛みが僕にはほんの少しだけれど分かるだから勇気をだしてみてって思うんだ「どうしようもない孤独」は嵐のようで気がつけばもうその中にいるんだああと自覚したならば身を投げ出してみて欲しい人は思ったほど弱くはなくてそれで死ぬことはないからまだ若くて予感を感じているだけの人も安心して若さゆえの苦悩に身をゆだねてほしい苦しんだことは必ず報われるからただそれだけを心に刻んで逃げずに今を生きて欲しいんだそしてなんか生きちゃってることになんか幸せを感じて欲しいんだそれこそが誰も奪うことのできない唯一のものだから伝わるかな届くかな少し早いクリスマスプレゼントこの腕いっぱいの愛とちょっとクサイことを言った恥ずかしさを込めてLove Always,LoveKaoremix 2005/12/18