その日のまえに(重松清)
○内容(「BOOK」データベースより)僕たちは「その日」に向かって生きてきた―。昨日までの、そして、明日からも続くはずの毎日を不意に断ち切る家族の死。消えゆく命を前にして、いったい何ができるのだろうか…。死にゆく妻を静かに見送る父と子らを中心に、それぞれのなかにある生と死、そして日常のなかにある幸せの意味を見つめる連作短編集。 ○感想家族を描いた作品といえばこの人というほどの重松氏。今回は、様々な家族の『死』をテーマに描かれています。生と死。生きている限り必ずどこかで、訪れる死。私達はそれをどのように受け止めていくのでしょうか。家族、子供や夫・妻、そして友人達・・。死を目前にした人たちの揺れ動く心の葛藤。その心の表現を見事に描ききっています。やはりこの人は、素晴らしい作家です。「その日のまえに」「その日」「その日のあとで」。特にこの後半3作は、涙無しには、読むことができませんでした。はじめ読んだ際には、どれもが独立した短編作品かと思っていましたが、それぞれの短編が微妙に、つながっていくという仕掛けもありました。死というテーマを取り扱った作品だけに、面白かったという言葉の表現には適さないけど、とても心に残り、また少しあたたかい気分にもなり、深く考えさせられるとてもよくできた作品でした。涙無しには読めません電子ブック版クリック応援をお願いします