第9集

情報提供室

このページは糖尿病である私の体験から得た医療に対する教訓と、現代医学が持つ
問題点を摘出すると共に、新しい医療情報を適切に提供するこを主旨としております。

情報 第9集(No81~No90) 目次

No81: 入試安易な金権医大合格の改革を!?
No82: 青年層の男性に動脈硬化倍増!?
No83: 携帯で健康管理データ入力し解析
No84: アガリクス.アロエは健康によいか!?
No55: レセブト(診療報酬明細書)大量流失!?
No86: 医療安全対策は医師の基本的義務である!?
No87: 信頼回復へ 医療ミス調査機関が動く!?
No88: 体温調節や光照射が快眠法に効果的!?
No89: 適応障害はストレスから鬱症状 に!?
No90: 森林浴で健康増進リハビリ効果を!?

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2004/08/05(木)No81:入試安易な金権医大合格の改革を!?

医師も年を取るし、ぼけもくる。ところが日本では、死ぬまで医師でいられるので、半ぼけ状態でも医業を続けている人がいる。他方医学は日進月歩だから、医師が水準を保つのは容易ではない。しかし、一度取った医師免許の上にあぐらをかいて、研さんを怠る者が多く、医療事故の一因になっている。

医師免許は投薬や手術といった、危険性がある行為を正当化するのだから、運転免許同様、定期的に更新する制度が当然必要だ。しかし、運転免許のような形式的な更新制ではなく、研修と試験を課し、不合格なら医師免許を停止・はく奪すべきである。

免許更新制は、初回の免許付与が妥当なことを前提としている。医師としての能力・適性が最初から欠けている者はどうするのか。医療事故の中には、医師の能力・適性が欠落したために起きたものが多々見られる。週1回打つべき抗がん剤を毎日打って女子高生を死亡させた埼玉医大病院のケースは、担当医の英語能力の欠落が一因だった。

では、医師国家試験(国試)を難しくすればよいか。否。問題医師が誕生する原因は、国試自体にもあるからだ。国試が5者択一の解答形式なため、医学生の勉強が暗記中心になり、問題解決型の思考方法が身につかない。慶応大でも、医学生が授業に薄っぺらな国試対策本を携えて来る。国試を厳しくしたら、医師の頭の中は、今以上に暗記型になるはずだ。

結局、医師養成の入り口である、大学入試制度がルーズなことが諸悪の根源である。ここで不適格者を多数採用してしまったら、国試で排除することは不可能だが、医師としての能力・適性に欠けても、国試に受かる程度の暗記力はあるからだ。大学は文部科学省が、国試は厚生労働省が管轄する弊害だ。若年人口は年々減る一方なのに、全国医学生の定員は一定だから、医師全体の平均レベルが年々落ちていくことは疑いない。

その上、「金権医大」の存在がある。日本には、卒業までに数千万円が要る医学部や医科大学が多い。入学できる者は、全部ではないにしても、資力を要件としない場合に比べ、能力・適性が数等落ちることは間違いない。事故を起こした大学病院に入学金・授業料が高い例が多い。金権医大をそのままにしたら、同様の事故が続くだろう。

金権医大は、子弟を医師にして地盤を継がせようとした開業医たちの画策と、国費をなるべく使わず安価に医師を養成しようとした国の思惑が合体して生まれた、世界に類を見ないものである。日本の医療を改革しようとしたら、金権医大を廃止する必要がある。それなくして、免許制度だけをいじっても、医療レベルの本質的な改善はありえない。
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2004/08/12(木)No82:青年層の男性に動脈硬化倍増!?

心臓の筋肉に血液を送る冠動脈に動脈硬化が起こる割合は、20~30代男性で1980年前後から90代前半の10数年間に2倍以上になったことが、由谷岡山理科大教授(臨床検査病理学)らの研究で分かった。

病理解剖された約千人の血管を詳細に調べ、過去の同様の研究と比較した。この傾向はその後も続いているとみられ、狭心症や心筋梗塞(こうそく)などが更に増える可能性を示すデータといえそうだ。

冠動脈の動脈硬化は、血管の内側の壁にコレステロールがたまり、脂肪分が沈着して血管が硬くなったり狭くなったりして進行し、狭心症などの虚血性疾患につながる。

由谷教授らは、40歳未満でがんなどで亡くなり、91~95年にかけて全国65病院で病理解剖された人の約千の冠動脈を無作為に調査。78~82年にかけて亡くなった人を対象にした旧厚生省研究班の別の調査結果と比較した。

血管の壁に動脈硬化が起きている部分の割合の平均は20代男性で約2・4倍、30代男性で約2・3倍にそれぞれ増加していた。女性は30代でほぼ横ばいだったが、20代では逆に減少していた。

由谷教授は「動脈硬化が進んだケースは血液中の総コレステロール値が高い。動物性脂肪の過剰摂取など食生活が原因だろう。学童期から肥満の子らのコレステロール値を調べるといった対策を考える必要がある」と話している。

<動脈硬化> 動脈の壁が厚くなったり硬くなったりして柔軟性を失う病気の総称。心臓や脳、四肢などの動脈の壁にコレステロールなどからできた柔らかい、かゆ状の物質が沈着して進行することが多い。血管が狭くなって血栓やかいようをつくり、狭心症や心筋梗塞(こうそく)、大動脈瘤(りゅう)などにつながる。年齢とともに起きやすくなるが、食生活など生活習慣との関連も深いとされる。
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2004/08/12(木)No83:携帯で健康管理データ入力し解析!?

高崎健康福祉大(高崎市)は、携帯電話とインターネットを活用した健康管理システムを構築した。利用者が生活習慣や健康に関するデータを携帯電話を入力端末にして随時記録。蓄積されたデータを解析して個々の健康管理に役立てるもので、近く100人規模で試験運用を始め、1~2年後の実用化を目指す。

同システムは、健康福祉学部の竹内教授が中心となって開発。利用者が体重や体脂肪率などの健康に関するデータ(6種)と、運動量や摂取カロリーなどに生活習慣に関するデータ(7種)などを携帯電話から定期的に入力。数カ月間蓄積した情報をコンピューターで解析することで、生活習慣と健康状態の関係「ルール」を割り出す。

ルールでは、例えば「飲酒が増えれば2日後に血圧が上がる」など、利用者ごとの生活習慣が健康に及ぼす影響が分かる。ルールは約60日以上のデータの蓄積があれば、随時利用者にメールなどで伝えられ、健康維持の指針になるという。

入力したデータは、携帯画面上に折れ線グラフなどで表示することも可能で、日々の健康状態を把握する手助けにもなる。また、入力データは利用者オリジナルの項目を五つまで追加できるほか、面倒になりがちな日々の入力を支援するシステムもあるという。

同大学では、約1年間試験運用をし有用性を検証。その後、地域の医療機関や自治体などと連携してユーザーの拡大を目指したいと言い、竹内教授は「健康維持のためのルールを多くの人が把握することで、将来的には医療保険費や介護保険費の低減につながることを実証したい」と話している。
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2004/08/26(木)No84:アガリクス.アロエは健康によいか!?

健康食品で健康になれるの――。「にがり」や「アガリクス」など広く使われている健康食品について、有効性と安全性の科学的な根拠を示そうと、独立行政法人「国立健康・栄養研究所」(東京都新宿区)が、約100種類の食品に関するデータをホームページで公開した。

例えば、ビフィズス菌は腸内に多量にあると「栄養成分の吸収が健全に行われ」アロエは「便秘に対してはおそらく有効」などとした。 一方、虫歯の原因になりにくいと認められ、ガムなどに含まれているキシリトールは「妊娠中・授乳中では、摂取量の安全性について十分なデータがなく使用を避ける」としている。

「抗がん効果がある」などといわれるアガリクスについては、マウスでの実験結果を紹介する一方、「ヒトでの有効性と安全性については信頼できるデータが見当たらない」と説明。また、「肝臓の機能を高める」といわれるウコンについては、「消化不良に対しては一部にヒトでの有効性が示唆されている」としながら、データは不十分だという。

誤解されている例として、ダイエットに有効とブームになりつつある「にがり」について、「多量に摂取すると下痢になる可能性がある」「重大な健康被害が出た事例もある」と指摘している。 また、呼吸困難が報告されたアマメシバに関する健康被害情報のほか、ダイエットや、強壮・強精効果などをうたいながら、医薬品成分が含まれていたとして、過去に摘発された健康食品も列挙した。

同研究所では「健康食品は、あやしい情報があふれている。科学的なデータがあるものはきちんと評価し、誤解をなくしたい」と話している。
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2004/09/02(木)No85:レセブト(診療報酬明細書)大量流失!?

診療報酬の請求内容などが書かれた診療報酬明細書(レセプト)の一部データが、社会保険庁の入力業務委託先の業者からシステム開発業者に流出したことが1日分かった。流出したデータは最大で約9000人分に上る可能性がある。一部は名前と傷病名、生年月日が書かれたままで、データを委託先業者に渡す際、厚生労働省の外郭団体が黒塗りにすべきだったのにせず、社保庁もチェックをしていなかった。社保庁の個人情報管理のずさんさが改めて浮き彫りになった。

社保庁によると、流出したデータは社保庁神奈川社会保険事務局が管理する昨年6~8月のレセプト情報の一部。社保庁に委託された財団法人・医療保険業務研究協会の神奈川県支部が電算化処理するため、入力業者に渡したが、この業者が入力業務改善のためとして、無断でシステム開発業者に情報を流した。さらに開発業者は情報をデータ入力業務の研修用データとして、顧客92人に渡したという。

流出分のうち、名前や傷病名、生年月日が書かれたデータ数は不明で、調査中。社保庁の調査で同協会神奈川県支部が入力に不要な名前と傷病名を黒塗りにせず、入力業者に情報を渡していたことが判明した。このため今年8月上旬、社保庁が同協会の全都道府県支部を調査したところ、東京や大阪など他に28支部で同様に黒塗りにせず渡していたことが分かり是正させたという。

関西地区の消費生活センターに7月末、在宅入力業務の契約者から「高いソフトを買わされたから返品したい」との相談があり、センターが調べたところ、研修用データが本物の個人情報を含んでいることが判明した。事務局から研究協会にレセプトを提供する際、氏名や傷病名は消去しなければならないが、一部残ったままだった。社保庁医療保険課は「個人情報が流出したのは誠に遺憾。社保庁の各社会保険事務局も不要な部分がきちんと黒塗りにされているか確認する責任があるが、できていなかった。再発防止に努めたい」と話した。
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2004/09/23(木)No86:医療安全対策は医師の基本的義務である!?

医療行為は、事故やミスとの絶え間ない戦いでもある。 医師や看護師らによって引き起こされる医療事故だけではない。機器の操作や保守に精通した専門技術者を,置いていなかったために起きる事故も少なくない。

国内の透析施設では肝炎の院内感染が年間、数千例の規模で起きているとみられている。感染症に対する医療機関の意識の低さや、経費削減で防止策にまで手が回らないといった事情が背景にあるようだ。日本透析医学会などが緊急勧告を出しているが、実効がなかなか上がらない。

厚生労働省が発表した研究班の調査では、2000~02年の3年間に全国の8割を超える病院で起きていたことがわかった。このうち、少なくとも42病院で実際に感染が確認されている。 患者への医療事故や感染症と性質は異なるものの、医療従事者が「針刺し」で自ら肝炎やエイズウイルス(HIV)に感染する事故も相変わらず多い。

安全な注射針や縫合針を一部でも導入していたのは55%で、残りはまったく導入実績がない。注射針など鋭利な器材専用の廃棄容器を病室ごとに設置していない病院が80%を超えている。使用済み針にキャップは被せないことになっている,そんな基本的なことも守られていない病院が少なからずある。

医療従事者が巻き込まれる医療事故や感染症も、患者の事故と構図は同じだ。多くは防げるものばかりである。しかし、病院や医療従事者の側に本気で防ぐ気がなければ、なかなか防ぐことはできない。

日本内科学会や日本外科学会など四学会が今年四月、中立的な立場で医療ミスがあったかを検証する専門機関を設置すべきだとする共同声明をまとめた。日本泌尿器学会や日本産婦人科医会も、独自の事故報告制度をつくっている。

厚労省は、この十月から大学病院などを対象に医療事故報告制度を発足させる。国や医療界が積極的になったことは、どうであれ評価できる。その際、医師らが被害者になる医療行為に伴う事故防止にもっと厳しい目を向けて欲しい。自らの安全を守れなくてどうして患者の命を守れるか。

医者の不養生などという言葉もある。健康には存外無頓着で,碌に健康診断を受けたことがないという医師が少なくない。結核を治す医師が、逆に患者にうつしていたという例も少なからずあった。 医の基本をしっかり見直す。そこから始めないと医療事故はなくならない
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2004/09/30(木)No87:信頼回復へ 医療ミス調査機関が動く!?

相次ぐ事故で高まる医療不信を払拭しようと、厚生労働省は患者が予期せず亡くなった場合などに、中立的な調査機関が死亡原因やミスの有無を検証する体制を整える方針を固めましたが、遺族たちが本当に納得できる体制を目指して欲しいですね。

患者の死が不自然だった場合、医師法により医師は「異状死」として警察に届け捜査が始まります。然し、本来の目的は殺人などの犯罪捜査のため、医療事故の可能性がある場合にどこまで届けるかは専門学会ごとに見解が異なっており。遺族の側がもし医療に不審を抱いても、裁判には費用も時間もかかり、何が起きたかを証明しようにも医療専門家の壁は厚いのが実状ですね。

新たな信頼回復の体制づくりは、厚労省と日本内科学会、日本外科学会など四学会を中心に進める。「異状死」とは別に、手術など医療行為の影響が疑われる「医療関連死」を新たに定義。調査依頼を受けて遺体を解剖しカルテを分析するなど死因を判断する。調査結果は依頼者に情報提供し、再発防止に向け提言もする。

最高裁によると1993年に4百件余りだった医療訴訟は、2002年は9百件弱と10年間で倍増した。この3月には東京地裁で、ミスどころかそれを隠ぺいするためカルテを改ざんしたとする判決も出た。医療を見る目がさらに厳しくなるのは当然であり、厚労省の体制づくりは遅きに失したくらいである。

手術後に家族や親類の容体が急変して亡くなり、病院側から理由の説明を受けても専門知識がないせいもあり納得できないまま引き下がったケースも時に聞く。 四
学会が4月に出した共同声明が、体制づくりのきっかけとなった。四学会の延べ会員数は約13万人に上る。医療不信に対する危機感が、医師の側から出てきたこと
を歓迎したい。

当面は法医学や病理学の医師が充実している東京や大阪でモデル事業として進める。地方に広げるには、不足している解剖医の確保が課題になる。中立機関に、医師以外にも弁護士などの専門家や患者の思いを代弁できるメンバーを含めることも検討して欲しい。

調査結果を説明する場合は専門用語を極力避け、依頼者が原因をきちんと理解し、
納得できるよう心掛ける必要がある。インフォームドコンセント(十分な説明と同意)の不足が、医療トラブルにつながったとみられるケースもあるからだ。

大学医学部の医療ミスや権力闘争を描き1965年に刊行された山崎豊子「白い巨
塔」がこの春、再びテレビドラマとなり高視聴率をマークした。現実は変わったはずだが、医学界を40年前と同じようにイメージしている向きも少なくないのではないか。中立機関が患者と医師のより良い信頼関係を築く道につながるよう期待したい。
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2004/10/07(木)No88:体温調節や光照射が快眠法に効果的!?

日本人の2~3割が抱えているとされる睡眠不足。ストレスで寝付けない、忙しくて眠る時間が取れないなど理由はさまざまで、寝苦しい夏の夜は睡眠不足に拍車をかけております。このほど東京であった日本睡眠学会では快眠法を科学的に探るシンポジウムが開かれ、体温の変化や光の照射が眠りに与える影響が報告された。

足利工業大睡眠科学センターの調査では、一般に「運動したり風呂に入るとよく寝られる」と言われることから、運動や入浴による睡眠改善の効果を調べた。まづ男子学生13人を対象に朝、夕、夜に室内ランニング装置で50分間運動してもらい睡眠への影響を調査。夜に運動をした場合、朝や夕方の運動に比べてベッドに入ってから寝付くまでの時間が大幅に短くなり、翌日の昼間の眠気も軽くなることが分かった。

「運動で体温が上がった後に反動で体温が急激に下がる。これが寝付きを良くする
のではないか」と判断。同じ効果が入浴にもあるのではないかと考え、今度は38~42度の風呂に夜、10分間入ってもらい、深部体温を直腸で測定して寝付きへの影響を調べてみました。

その結果、入浴で深部体温が0・5~1度上昇すると寝付きが明らかに改善。普段、ベッドに入ってから寝付くまで1時間ぐらいかかっていた学生でも20分程度で眠れるようになったという。只、同じ温度の風呂でも、やせた人は深部体温が急激に上がるのに、太った人は上がりにくいなど、体形によって深部体温の変化に大きな差があることも判明。

1度を超える過剰な体温上昇は逆に寝付きを妨げることも分かったため、実験では
「入浴の影響は体形によって個人差が大きい」と注意している。北海道大医学部保健学科では、不眠を訴えることが多い中高年の人や入院している高齢者などを対象に、昼間に強い光に当たると睡眠にどのような影響が出るかを検討している。

午前、昼、夕方の3つの時間帯に強い光を当ててみたところ、どのタイミングで光を照射しても、夜中に目が覚めることが減ったり、昼間の眠気が減るなどの好影響があることが分かった。「光環境に配慮することは中高年の人の睡眠改善に有効。特に入院中などで動くことができない高齢者には積極的に光を付加する必要がある」と指摘している。
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2004/10/14(木)No89:適応障害はストレスから鬱症状 に!?


強いストレスのために不安や鬱(うつ)症状などが表れる「適応障害」。皇太子妃雅子さまもこの病気で療養中だが、実はどんな人にでも起こり得る。専門家による精神療法を受けたり、周囲の環境を調整したりするなど早めの対処が必要です。適応障害は精神科外来を訪れる患者のなかで最も多いものの一つです。

精神疾患のなかには、きっかけがなくても、突然発症するものもあるが、適応障害は発症の原因となるストレスが必ず背後に存在する。気持ちが落ち込む(鬱)、過度に物事が心配になる(不安)、自暴自棄になるなど普段とは違う行動を起こす(行動障害)――などの症状が出る。いずれか単独の症状が出ることもあるし、複数が重なることもあります。

抗鬱薬が効果を発揮することもあるが、治療の主体は精神療法と周囲の環境調整が必要です。精神科医や臨床心理士による本人へのカウンセリングで、問題の背景にある本人のものの見方、考え方を探り出し、事態打開のための心の持ちようを模索する。その一方で、周囲にも働きかけて原因となるストレスを軽くするための具体策を話し合うことです。

適応障害は通常数ケ月以内に症状が消えるが、原因となるストレスが重く、慢性化すると長引くこともある。心身の変調を感じたら、早めに精神科医に相談してみよう。状況を改善するためには周囲の理解が不可欠なのは言うまでもないことです。適応障害と鬱病=適応障害の症状の一つに鬱状態が挙げられるが、通常、鬱病とは区別されております。

鬱病の中心は国際疾病分類で「大鬱病性障害」と呼ばれるもので、激しい落ち込みや、興味、喜びの減退などが1日の殆どの時間にわたって続く状態が2週間以上継続します。適応障害の症状は鬱病と診断するほどには強くない。又、明確な原因が指摘できる適応障害とは違い、鬱病の原因はまだ十分には解明されていない部分もあります。
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2004/10/21(木)No90:森林浴で健康増進リハビリ効果を!?

森林浴によって健康増進やリハビリに効果が期待できる山林を「森林保養地」に指定する動きがあります。森林浴の効果を医学的に分析したうえで、森林セラピスト(療法士)の資格を設け、リハビリの指針となる「森林療法メニュー」も作成する。「この森に行って、毎日このコースを歩いてみてください」――。森林療法が普及すれば、病院でこんな処方箋を言い渡される時代が来るかもしれません。

ストレス解消や癒やし効果があるとされる森林浴だが、医学的な根拠は、まだ十分に解明されておりませんが、そこで林野庁は今年3月、民間企業や医療関係者らによる「森林セラピー研究会」を発足させ、産官学で研究を進める体制を整備。7月と9月に千葉、長野両県で実験を行ったようです。

約20人の大学生が森林と都市部を歩き、その前後の血圧やストレスホルモンの量などを比較、樹木が発散する芳香性物質のリラックス効果などについて調べた。結果は分析中ですが、森林を歩いた後は、ストレスホルモンの濃度が下がるなどの効果がみられたという。

同庁は、こうした実験で森林浴効果の実証を重ねながら、健康増進やリハビリに適した森林を「森林保養地」に指定し、森林療法の拠点作りを進めるそうです。今月中旬に指定のための要項を発表し、自治体などから候補地を募集。地方の天然林や都市郊外の里山など、タイプの違う森林を数か所選び、1年間、実験を行って効果を確認した後、保養地に指定するそうです。

過疎に悩む山村にとっては、地域振興につながることも期待され、すでに約30の自治体から、同庁に問い合わせがあるという。効果的な森林浴には、アドバイザーが必要なため、同庁は来春にも、森林セラピストの資格制度を設け、人材育成を図る。公益法人や学会などが認定する民間資格にする予定で、看護師など医療関連の国家資格を持つ人が対象になる見通しだ。

また、症状や年齢に応じて、森林浴の時間やコース、滞在中の過ごし方などを示した「森林療法メニュー」も作成。リハビリだけでなく、生活習慣病の予防に効果的
な健康増進メニューも検討したいという。日本では、サラリーマンの約6割がストレスを感じているという調査結果もあるだけに、同庁研究普及課は「今回の取り組みで森林療法を体系化し、普及させ。働き盛りの世代などに需要は多いはず」と、意気込んでいます。

※森林浴=森林内を歩くことで、樹木から発散される「フィトンチッド」と呼ばれる芳香性物質や、小鳥のさえずりなど様々な要素によってリラックスできるとしてブームになっている。海外では「森林療法」としての実践例も多い。特にドイツでは120年の歴史を持ち、約400の森林保養地で年間約1000万人が療養しているという。
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