緊急消防援助隊についてeーカレッジより。web消防・救急出張所~こんにちわ。
全国の消防は、緊急消防援助隊を登録していますので、近隣の消防が機能しなくなっても、応援に駆け付けるシステムが出来上がっていますので、ご安心下さい!ブックマークのeーカレッジから広域応援・緊急消防援助隊です。なお、eーカレッジをご覧になれる方は、画像と共に説明していますので、是非ご覧下さいね!URL→http://www.e-college.fdma.go.jp/syoku.html緊急消防援助隊は、国内における大規模災害又は特殊災害の発生に際し、被災地の消防本部に対する応援を行うことを任務としています。 通常は全国のそれぞれの地域の消防本部で、災害活動に従事している部隊の一部が緊急消防援助隊の部隊として、事前に登録されています。 そして、いざ災害が発生したときに、各地の航空部隊や各都道府県単位で編成された消火部隊や航空部隊などが都道府県隊として被災地で活動を行うこととなります。消防の広域応援制度の沿革についてです。 消防組織法第6条において「市町村は、当該市町村の区域における消防を十分に果たすべき責任を有する。」と規定されています。市町村長は、地域ごとに自らの管内で起こった災害などに対する責任があることが明確にされ、各消防本部などの消防機関がその役目を担っています。 しかし、災害や事故の規模やその内容によっては、管内の消防力では不足する場合があります。 その場合には消防組織法第21条での対応となります。 「市町村は、必要に応じ、消防に関し相互に応援するように努めなければならない。」と規定されています。 そのため市町村や消防本部では、隣接する消防本部や各都道府県内の消防本部などで事前に応援協定を締結し、お互いに応援体制を取っています。 ところが、災害が更に大規模となった場合などには、これらの応援協定で十分対応出来ない場合もあります。その例として、昭和39年6月に発生した新潟地震がありました。近隣の消防本部からの応援はもちろん行われましたが、新潟県内の石油タンク施設などの火災への対応として、被災地域の化学消防車の不足から、東京消防庁などの消防機関から化学消防車などの応援出動が行われました。 このように隣接地域からの応援だけでなく、都道府県の枠を超えた消防部隊などの応援の仕組みが必要であると認識され、昭和40年に消防組織法第24条の3において「非常事態の場合における消防庁長官等の措置要求」が位置づけられ、法律の中で全国レベルの消防の応援に対する仕組みが作られました。これが広域応援、そして緊急消防援助隊の基本となる条文となりました。 さらに、消防組織法第18条の2においては、都道府県内の全体的な視野から、すべての市町村を通じて総合的な応援体制の確立を図るため、都道府県の役割として、市町村の消防の相互応援に関する計画の作成の指導に関する事項が規定されました。緊急消防援助隊の制度は、阪神・淡路大震災を教訓に平成7年に発足しました。 阪神・淡路大震災の際には、全国から消防部隊が被災地の応援に駆けつけ、延べ3万人以上の消防隊員が活動を行いましたが、その活動のなかで無線の運用や装備面などをはじめ、いくつかの課題が指摘されました。 そのうち、部隊運用の課題は、応援に駆けつけた部隊を指揮統制していくのか、各部隊がどの場所で活動すればよいか、それを誰が決めるか、どういう人の命令に従って活動すればよいのかなど、全体の指揮・連携体制が確立されていないというものでした。このため、各消防本部から応援に派遣されてきた部隊が効率的・統括的な活動を行えるように指揮・連携体制を確立する必要がありました。 そこで、全国の消防本部から応援に出動する際の部隊編成を規定するために、平成7年10月に「緊急消防援助隊要綱」が定められ、緊急消防援助隊として制度化されました。 その後、平成15年6月の消防組織法の改正により、第24条の4において緊急消防援助隊が消防組織法上で位置づけられ、平成16年4月1日から法制化された緊急消防援助隊として新たに発足しました。その編成と基本的な出動計画は、消防組織法に基づいて総務大臣が策定する「緊急消防援助隊の編成及び施設の整備等に係る基本的な事項に関する計画」に、出動と活動の詳細については「緊急消防援助隊運用要綱」にそれぞれ規定されています。緊急消防援助隊の部隊は、事前に全国の消防本部ごとに登録されています。その部隊構成は、指揮支援部隊、都道府県隊(大隊)、部隊(中隊)、隊(小隊)となります。 大隊の編成は、各都道府県単位での編成(都道府県隊)とし、中隊の編成は大隊の運用において、消防本部ごとや任務ごとに編成されます。小隊の編成は、各車両または任務単位ごとに編成されます。 部隊の種類は「指揮支援部隊」「都道府県隊指揮隊」「消火部隊」「救助部隊」「救急部隊」「後方支援部隊」「航空部隊」「水上部隊」「特殊災害部隊」「特殊装備部隊」の10種類となります。緊急消防援助隊の部隊編成は、災害現場での活動を行う部隊だけでなく、その活動を支えるための2つ特徴があります。 1つは、「指揮支援部隊」及び都道府県隊ごとの「都道府県隊指揮隊」、もう1つが「後方支援部隊」の存在です。「指揮支援部隊」や「都道府県隊指揮隊」は、通常の災害現場の指揮を行う「指揮隊」としての役割を行うものではありません。災害現場で活動する消防部隊全体の構成や活動の方針を決定する役目を担うことになります。 「指揮支援部隊」は、東京消防庁を含めた全国の政令指定都市の消防本部から登録されている「指揮支援隊」により構成されています。全国をブロックごとに分けて被災地域を想定し、地域ごとに指揮支援隊が指定されています。そのとりまとめを行う部隊の長を「指揮支援部隊長」と位置づけています。 その任務は、大規模な災害などが発生した際に、ヘリコプターなどで速やかに被災地に向かい、災害に関する情報を収集して、消防庁長官及び都道府県知事などに伝達するとともに、被災地の消防長などを補佐し、被災地における緊急消防援助隊の指揮が円滑に行われるよう支援を行うこととなります。 「都道府県隊指揮隊」は、各都道府県内の部隊により構成される都道府県隊を統括する都道府県隊長とともに被災地に向かい、指揮支援部隊長の管理の下に、被災地で活動する各都道府県隊の活動の管理と支援を行います。 このように、「指揮支援部隊」は緊急消防援助隊全体を、「都道府県隊指揮隊」は、被災地単位での都道府県隊の調整と司令塔としての役割を担うこととなります。通常の災害でも、その規模によっては、人員の補給や物資・食料を供給するための「後方支援」が行われています。 しかし、緊急消防援助隊の出場地域は、各部隊の管内を遠く離れ、災害の規模にもよりますが、最低3日間、72時間を目安として活動します。そのため出動時から「後方支援」について考えておく必要があります。 このように、通常の現場活動での「後方支援」より、幅広い活動が行われます。 被災地の消防本部などの消防関係機関では、すでに被災地で活動を行っていることから、後方支援活動を被災地に頼るわけにはいきません。そのため、出動時から各応援部隊は、物資・食料などを自給自足で賄えるような体制を確保しておく必要があります。また、災害活動を行う隊員の運用は、各都道府県隊の判断によるため、交代要員のための人員の搬送についても考慮しておく必要があります。 「後方支援」は、出動する消防本部ごとに考えることも大切ですが、消防本部は地域により規模が大きく異なることや、都道府県隊を1つの部隊として活動を行うことから、部隊を構成する各消防本部の枠を超えて、活動時の補給などを考える必要があります。 各都道府県の代表消防機関には、後方支援本部が設置されますが、この後方支援本部においては、各都道府県隊全体のことを考慮し、調整を図ることが重要となります。消防組織法第24条の3において、「消防庁長官は、地震、台風、水火災等の非常事態の場合において、これらの災害が発生した市町村の消防の応援又は支援に関し、当該災害発生市町村の属する都道府県の知事から要請があり、かつ、必要があると認めるときは、当該都道府県以外の都道府県の知事に対し、当該災害発生市町村の消防の応援等のため必要な措置をとることを求めることができる。」と規定されています。つまり、応援が必要かどうかは、被災地の都道府県知事の判断であり、応援が必要であると判断すれば、消防庁長官へ応援の「要請」を行います。それを受けて、消防庁長官が被災地以外の都道府県知事に応援の「求め」を行います。これが緊急消防援助隊の出動の原則となります。 ただ、これには様々な事態を想定した特例も設けてあります。 それは、原則は都道府県知事の「要請」となりますが、大規模災害により要請すべき都道府県庁自体が被災してしまうような場合です。現実に阪神・淡路大震災では、兵庫県庁が被災し、初期の情報収集が困難な状況となってしまいました。 現在の情報化社会では、報道機関でも瞬時に被害の発生を把握でき、各メディアにより報道が行われます。このように、誰の目にもその災害規模が明らかで緊急を要するような事態の場合には、知事の要請を待たずに長官が「求め」を行う場合も想定されています。 この場合、消防庁長官から、都道府県知事に応援の「求め」を行う場合と、人命救助等のため特に緊急を要する際に、実際に消防力を持つ市町村長へ直接「求め」を行うという2つの場合が設けられています。緊急消防援助隊は当初「緊急消防援助隊要綱」により規定され運用されていましたが、平成16年に消防組織法上で正式に位置づけられるともに、その出動も「求め」に加えて「指示」が設けられました。 それまでは、消防組織法第24条の3において「消防の応援等のために必要な措置をとることを求める」のは、すべて消防庁長官から都道府県の知事又は市町村長への「求め」となっていましたが、新たに第5項が定められ、2以上の都道府県で甚大な被害が発生するような東海地震等大規模災害やNBC等特殊災害に対しては、出動のため必要な措置をとることへの「指示」が設けられました。 「求め」と「指示」の違いは、「求め」は”お願い”という意味となりますが、「指示」は”命令”という意味合いとなり、ここでの「指示」の内容は「都道府県内の部隊を編成して、被災地に向かって応援のため出動しなさい」ということになります。 ただし、出動後の緊急消防援助隊としての具体的な活動は、被災地における現地消防本部の指揮下に入ることとなります。つまり、緊急消防援助隊が出動する契機となるものが「求め」でも「指示」でも、緊急消防援助隊の部隊の運用内容に違いはありません。 では、なぜ「求め」ではなく「指示」としているかについてです。大規模な災害が発生した場合には、消防力を投入して対応することは、国の責任で行うべきということから、その責任の所在を明確にする意味があります。そこで、国の責任という位置づけから、活動経費についても国で負担することとなります。 都道府県知事などの「要請」に基づく応援や、都道府県内における消防相互応援協定による応援の場合は、制度上の原則として、応援を受けた側(受援側)が応援をした側(応援側)に隊員の時間外勤務手当や、車両の燃料などの応援に伴う諸経費を払わなければならなりません。(相互応援の場合に、費用の負担について受援側に負担を強いない場合もあります。) しかし、消防庁長官の「指示」による出動の場合は、国の「命令」による出動となるので、経費負担の責任は、国にあることになります。