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テーマ:映画レビュー(889)
カテゴリ:映画 マ行
『みなさん、さようなら』を観ました
命が果てようとしている一人の男性が穏やかに迎える最期の時を温かい眼差しで 見つめたヒューマン・コメディです >>『みなさん、さようなら』関連 原題:LES INVASIONS BARBARES THE BARBARIAN INVASIONS INVASION OF THE BARBARIANS ジャンル:ドラマ/コメディ 上映時間:99分 製作国:2003年・カナダ/フランス 監督: ドゥニ・アルカン 出演: レミー・ジラール、ステファン・ルソー、マリ=ジョゼ・クローズ 【ストーリー】 ある日、ロンドンで働く証券ディーラー、セバスチャンは、カナダ・モントリオールに 住む母ルイーズから彼の父の病状が悪化しているので帰ってきて欲しいとの連絡を受ける。 その父、大学教授のレミは女ぐせが悪いために、これまでさんざん家族に迷惑を かけてきた人物。 セバスチャンは、そんな父のような人間にはなるまいと別の道を歩んできたのだった。 それでも彼は葛藤を抑え、帰国することに。 そして、父が末期ガンと知ったセバスチャンは、“友人を呼んで楽しい病室にして” という母の頼みを聞き入れ、さっそく行動を開始する。 ここから先はネタバレを含みます。ご注意を ロンドンで証券マンとして忙しく働くセバスチャンが 病床の伏す父親のためにカナダへ帰国し、母に頼まれ父の病室を大改造したり、 あらゆることに尽力する様子と、人生の終焉をいかにして迎えるのかを ユーモアを交えて描写しているすばらしい映画でした 父親との生き方の違いから、父と息子の間には長年わだかまりが渦巻いていたが、 父の最期を幸せな満ち足りたものにしてあげようとする息子セバスチャンの頑張りが 次第に二人の心を近づけていく様子にジーンときました セバスチャンの頑張りは、ほぼ金の力によるものなんですが、 警官にコカインの入手先を聞いたり、 教え子にお金を渡して見舞いに来てもらったり、 影の努力が並大抵ではなく驚きました そんなひとつひとつの出来事が、無表情で感情をあまり表に出さないセバスチャンの 父親への愛情の深さに感じました。 そしてこのセバスチャンが、コカイン中毒のナタリーにコカインの入手と扱いを お願いするわけですが、結果的に、彼女を中毒から救うことにもなるのですね。 お互いに惹かれあう2人の情熱的な別れのシーンも ハリウッド作とは違って印象的です 末期ガンに侵され苦しむレミの姿、家族の悲しみと、 世界中から駆けつけてくれた最愛の友と楽しい思い出話に華を咲かせる ユーモア溢れる描写が積み重ねられる構成もすばらしい 死に向かう恐怖、病気の苦しみ、やり残した人生への後悔などを ときどき口走り、「死ぬ意味を見つけなければ」ともがく 父親レミの姿が非常に切なかったです。 そんな偏屈親父レミとセバスチャンのわだかまりが解け、抱き合うシーンには 感動せずにはいられませんでした 楽しいときを過ごし、愛する人たちに見守られ、逝く最期のときは 優しさと愛情に満ちていて、とても羨ましくも思えました。 2003年のカンヌ映画祭では脚本賞、主演女優賞を受賞し、 第76回アカデミー賞では外国語映画賞受賞など数々の映画賞に輝いただけあり とても心に残る映画でした お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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