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2009.06.06
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カテゴリ:映画 サ行
『ジェシー・ジェームズの暗殺』を観ました目

19世紀のアメリカに名をとどろかせた犯罪者ジェシー・ジェームズと、
彼を暗殺した手下、ロバート・フォードの人物像に迫るサスペンス・ドラマですかちんこ


>>『ジェシー・ジェームズの暗殺』関連

原題: THE ASSASSINATION OF JESSE JAMES BY THE COWARD ROBERT FORD
ジャンル: ドラマ/西部劇/アクション
製作年・製作国: 2007年・アメリカ
上映時間: 160分
監督: アンドリュー・ドミニク
製作: リドリー・スコット 
製作・出演: ブラッド・ピット 
出演: ケイシー・アフレック サム・シェパード


【ストーリー】
南北戦争後、仲間を率いて強盗や殺人など無法の限りを尽くした重罪人、ジェシー・ジェームズ。
一方で、戦勝軍である北軍側政府の圧政に苦しむ南部州民からは抵抗の象徴として
次第に英雄視されていく。
そして、最初の強盗から15年あまりが過ぎた1881年。
長い逃亡生活で神経をすり減らすジェシーだったが、兄フランクと新たな列車強盗を
企てようとしていた。
そんな彼の前に、自分を懸命に売り込もうとする一人の若者が現われる。
ジェームズ一味のメンバー、チャーリーの弟で、ジェシーを人一倍崇拝する小心者の
青年ロバート・フォード。
フランクが相手にしようとしなかったこの青年を、ジェシーは一存で仲間に迎え入れるのだったが…。


下矢印ここから先はネタバレを含みます。!ご注意を!!!


あこがれて こがれて、心がつぶれた。


アメリカ西部開拓時代の伝説的アウトロー・ヒーロー ジェシー・ジェームズ。
南北戦争後、世界初の列車強盗と銀行強盗を果たしたジェームズ兄弟の弟であり、
貧しい人々の味方でもあったそのアウトローぶりで、
人から愛されるカリスマ性を持った良き夫、良き父親であった彼の人生の終盤と、
彼を慕いながらも最終的に彼を背後から撃ち殺し、
命を奪った歴史に残る卑怯者 ロバート・フォードの心理に焦点をあて
深く切り込んでいたストーリーが斬新で非常に興味深い映画でした。

この時代の歴史に疎い僕にとっては登場人物たちが多すぎて、中盤くらいまでは
人物の相関図がうまく整理できず難解でしたが、後半からラストまでの展開は
登場人物も限定され、それぞれのキャラクターが追い詰められていく様子が
ひしひしと伝わる緊迫感に息が詰まりそうでした。

他のジェシー・ジェームズの作品と違って彼の英雄的な行動の描写がほぼなく、
残虐な行動が目につくので、ボブやその手下たちのいつ殺されるか分からない
恐怖感が伝わり、誰かジェシーを止めてくれと思えてしまうのは
ジェシー・ジェームズを演じたブラッド・ピットの見事なまでの怪演の賜物です。
ひとつひとつの言動、異常なまでに神経をすり減らす逃亡生活、
皮肉にも銃をプレゼントし死を覚悟するまで、
背を向けた時のそれぞれのジェシーの心理と哀しみと狂気を湛えた表情にゾクゾクします。

そして、歴史に残る卑怯者となってしまったロバート・フォードを演じたケイシー・アフレックが
これまたすばらしい。
ジェシーを尊敬し愛してやまなかった20歳の青年の名声を夢見た行動だったのか?
ないがしろにされ続けた男の歪んだ心がそうさせたのか?
僕はケイシー・アフレックがお気に入りだからそう思えたのか分かりませんが、
彼がジェシーにキラキラした尊敬のまなざしで語りかける姿に純粋さを感じ、
可愛い弟分になれなかったロバートが裏切る事になるまでのあるとあらゆる出来事が
いじめられっこのようで可愛そうに思えてしまいました。

警察側に寝返るあたりの描写が薄くて唐突な印象でしたが、ジェシーの命を奪う前後の
彼の心理描写と、ジェシー亡き後の彼の人生が痛々しく切なかったです。
そんなビッグになりたいと願った男の屈折した心理を見事に演じ切っていた
ケイシー・アフレックは、ブラッド・ピットに肩を並べ
追い越してしまったのではと思えるほどの好演ですばらしかったです。

そして、ロバートの兄チャーリーを演じたサム・ロックウェル。
ジェシー曰く、ビックリするほど賢くないから一緒にいると落ち着くというチャーリーの
ジェシーとロバートの間に流れる空気を常に敏感に感じ取る様、
友人としてジェシーを守りたいと思いつつも、
命を奪われる危険と隣り合わせの生活から逃げ出したいという
相対する心境を見事に演じ切っていて凄いです。

ボスに気に入られた男とそうでない男が血を分けた実の兄弟であり、
その関係にジェシーも追い詰めれていくというのが実に興味深い点でありました。

様々な登場人物たちの心理が入り乱れ、演技派俳優陣の奥深い演技の数々が
作品全体を淀んだ川の流れのように包み込んで、
控えめな音楽や、当時の雰囲気が漂う農場の家、
枯れた草原の寂しい様子がこれまた上手くマッチしていて何とも言えない
味わいを醸し出しています。
立場の違うそれぞれの男の思い通りにいかなかった人生の哀愁が伝わってくる映画でした。



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最終更新日  2009.06.09 22:30:02
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