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カテゴリ:語学
あぁ・・どうしよう・・・ その日はEさんが来る日で、 韓国語の授業を受ける日だったが、私はお腹がシクシク痛かった。 お腹の痛さもさることながら、私の心配は他にあった。 ある程度、Eさんと打ち解けて勉強ができるようになってからというもの、 Eさんは、ちょくちょくうちでお昼ご飯を食べていくようになっていた。 午前中 Eさんがやってきて、 韓国語の勉強を2時間半ほどやり、 それからうちでご飯を食べて、その後Eさんは大学に行く・・・ というのが、その頃パターン化しており、私はいつも、 お昼ご飯、なにを作って出そうか?? ・・と、ただでさえ韓国語の授業でイタい頭を、 さらに痛くしながら毎回メニューに頭を悩ませていたのである。 韓国語を勉強するのに、なんで勉強以外のことで悩まなイカンのじゃあ~~~>< ・・・と、いうのも Eさんはバリバリの韓食(ハンシク)党で、 和食のおかずを出せば「味がない・・--;」といい、 洋食でビーフシチューを出せば「甘い・・--;」という男だった。 それで少ない韓国料理のレパートリーの中から細々と何か作っていたのであるが・・ ダ、ダメだ・・・ お腹が痛くて思いつかんわ・・・++; もう、思考力すら危うい感じであった。 そして、台所にフト目をやると、大きめのタッパーが目につき、 これは・・・!? と、ひらめいたのが ジャパニーズ・お弁当 だった。 ごはんを茶碗に盛って出されてもあんまり嬉しくないかもしれないが、 おにぎりなら目先が変わっていいんじゃないか? と、次第に朦朧としてきた頭で考えたのである。 そこで、 俵型のおにぎりを三種、 海苔を巻いたもの、ゆかり(しその実)を混ぜたもの、ふりかけをまぶしたもの を作り、あとは卵焼きやら、ウィンナー、ブロッコリー、プチトマト・・など 冷蔵庫にあったものを適当に調理して、 (おかずが貧相な分、量だけは多めにして) 大きめのタッパーに運動会のお弁当みたいに詰め込んで、 バンダナで包んで準備しておいたのである。 本当に苦肉の策としか言いようのない、 味は二の次、サプライズのみの受け狙いランチである。 果たして、Eさんの反応は・・・ ・・・・・・・・・・・ 「Eさん、これ・・・」 「なんですか?」 「今日、お昼たいしたもの作れそうになかったんで、お弁当にしてみたんです。 日本式の、おにぎりのお弁当です」 「ええ~~~!?すごい!!」 「いや、すごくないんですッ!>< むしろ、簡単すぎるっていうか・・;」 「いや、すごいです!!お弁当!!嬉しいですよ!」 「そ、そうですか・・?@@」 「ハイ!これ、一人で食べるのもったいないですよ~! 僕、学校に持って行きますから!」 「いや、それほどのモンじゃないんです!おかずが貧相だし!!××;」 「だってお弁当でしょ?そんなの作ってもらったなんて、僕、自慢です!」 「え、だって、ただのおにぎりだし・・」 「ちょっと見てもいいですか?」 「もちろん、いいですけど・・」 そしてEさん、タッパーのフタをパカッと開け、また驚嘆の声を上げた。 「うわ~~~すごい!日本のお弁当ってこんななんですか?」 「そうですね、おにぎりにおかずというのは定番ですね」 「韓国は弁当といえばのり巻きだけですからね~ これは友達にも見せなくちゃ!」 「でも皆で食べるには足りないんじゃ・・」 「いいですいいです!持って行きマス!!`´」 「そ、そう?じゃ、どうぞ;」 「はい、それじゃ!^^」 そして、 Eさんは意気揚々と弁当を引っさげて学校に向かって行った。 私はあの崖っぷちメニューの弁当が思いのほかウケたことに 驚きと嬉しさを感じたが、 じゃあ、いつもあんな簡単で良かったんかいな?? とも思い、やや複雑な心境でもあった。 今思えば、 どうして腹がイタイのにそこまでする必要があったかとも思うが、 これも日韓友好のため、日本の食文化をEさんに知ってもらおうとか、 そんな気持ちが多少はあったような、なかったような・・ ただ単に思考力が低下していて頭が回らなかった と、いうのがホントのところだった・・という気がしないでもない。(--;) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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