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バベルの図書館-或る物書きの狂恋夢

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塩野七生著『ローマ人の物語』(16)
       パクス・ロマーナ(下)(新潮文庫)

読破ゲージ:
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アグリッパ、マエケナス、ドゥルーススを失い、今またティベリウスと仲違いしたアウグストゥスも、己の使命は全うせねばならぬ。失意の皇帝は退かず。ユヴェントス創設。サッカーじゃなくて。「少年団」。健全国家への夢はなおも潰えず。その一方で、娘が不健全な行為で咎に。倫理を重んじ家族の再生を図った皇帝は、その身内の不行状で悩まされる皮肉。成熟してから、ようやく人間くささを醸し出す自制の皇帝は、元老院にも愛される存在に。「国父カエサル・アウグストゥス!」コールに落涙。小林秀雄の政治観「ある職業でもなくある技術でもなく、高度な緊張を要する生活」。その張りつめた一生のゆえに、国家の父と見なされたことはアウグストゥスの琴線に触れたのだ。ところで、本格的国勢調査を行う几帳面な為政者で鳴らしたアウグストゥスの御代、この時期、イエス・キリスト生誕も、記録なし。少なくとも、生年は“この時期”どまり。だとしても、イエス・キリストは、ローマ最盛期を迎えるタイミングに生まれ、生き、死んだということ。若武者に去られた皇帝、血縁主義への妄執のゆえに、凡庸な後継者を擁立。いわゆる、スポイルされた後継者候補・ガイウス、各地でご乱行に大不評。こいつじゃダメなんだ。ティベリウス、復帰。おそらくは、長大な計画にゆえに実現を目前としたパクス・ロマーナおよび新秩序樹立に相対して、周囲を見回した背かれたアウグストゥスと出戻ったティベリウスの双方に私心・私怨なく、もはや互いしか人物が存在しないことに気付く。そして、皇帝はティベリウスの力量を認め、実利的に後継者に復帰させる。ティベリウスもまた、ユリウス・カエサル、アウグストゥスの偉業への敬意は変わらず、それを絶やさぬために、これまた現実的にアウグストゥスの後継者として肚をくくる。弱小家門にもかかわらず、使命によりカエサルの養子になったアウグストゥスと、超名門クラウディウスの名を継ぎながら、結果的にアウグストゥスを継父とするようになった、二人の根本的な違いは、目の前の大義の前にようやく結束を見ることに。ティベリウス復帰=パクス・ロマーナのフロントラインに名将が復帰。ゆえにティベリウス、大喝采の中復帰を迎えられる。好材料の傍で、家族またも不祥事。飽くまで血縁主義にこだわったのは、アウグストゥスのアキレス腱。運命を想い通りにしようとする態度は謙虚さを忘れさせ、もってローマ古代の神々の復讐の手から自由ではなかったのだ。詩人・オイディウス、『愛の技術(アルス・アマトリア)』で罪を問われる。もっとも、その内容はポルノグラフィーでもなく、単純に倫理的でない家族の不祥事に悩んでいるところに、自由な恋愛を謳った作品が登場して、時の皇帝もカチンと来た、という話し。ゲルマニア進行は難航。「森はゲルマンの母」。ゲルマンの策略に乗り、現場知らずの官僚・ヴァルス、貴重な三個軍団を、みすみす失う。それも、ゲルマンのもっとも戦いやすい、彼らの母たる森に誘われて。その尻拭いはティベリウス。この辺りから、アウグストゥス、ティベリウスに心を開き始める。本当に今の自分にとって、大切な人が誰か気付いたかのように。結局、ローマにとっての北方の二大強敵、ガリアとゲルマン。その前者を制圧した父・カエサルに対抗して、労多いゲルマン制圧を成し遂げたいというのは、アウグストゥスなりの男の意地だったのか。ティベリウス、クールダウン。ローマの防衛線は、エルベ=ドナウ構想からライン-ドナウへ回帰。ティベリウス、ゲルマン撤退を決意。紀元14年(ちなみに、彼の『業績録』はこの年に書き上げられた。周到なり)、イエス・キリスト少年時代、ローマ帝国初代皇帝・アウグストゥス、8月19日、77歳の誕生日を一ヶ月後に控えて墜つ。その遺言状は、遺産、権限、すべてにおいて、後継者は勿論、国民のすみずみにまで行き渡るほど緻密、会計士のそれに近いほど。最期まで、現実と向き合うことから逃げない、ユリウス・カエサルの後継者にふさわしい傑物であった。(了)


ローマ人の物語(16)

「旅から、音楽から、映画から、体験から生死が見える。」 著書です:『何のために生き、死ぬの?』(地湧社)。推薦文に帯津良一・帯津三敬病院名誉院長。





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Last updated  2008/11/23 07:56:54 PM
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