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バベルの図書館-或る物書きの狂恋夢

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テーマ:お勧めの本(7264)
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塩野七生著『ローマ人の物語』(19)
       悪名高き皇帝たち(三)(新潮文庫)

読破ゲージ:
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憂国の近衛大隊長ケレスらの手によって、思いもよらず、齢50にして皇帝となったのはゲルマニクスの弟・クラウディウス。この人、50歳までは全く無名の人として、権力や政治とは無縁の学究活動に打ち込んだ学者皇帝。ルックスはイマイチなれど、血筋はイイし培った学は『ローマ史』のリヴィウス(カエサルのルビコン渡河からアウグストゥスの帝国樹立まで、パクス・ロマーナの歩みを目撃したアウグストゥスとほぼまったくの同時代人)を師とする一級品。ポップ・スター皇帝の若気の至りに手痛い思いをしたローマ市民および元老院、机上では優等生のクラウディウスの政治に賭けるとする。先帝カリグラの殺害という国家の大事件を手早く処理すると、野心はないが、学問の力を実地で検めるにやぶさかでなかったクラウディウス、結構やる気満々で治世スタート。カリグラの不始末・財政破綻の再建、税制改革、中途半端な公共事業の貫徹。今ひとつ、悩みの種のユダヤ人社会の問題。イェルサレムではアウグストゥス(威厳)、アレクサンドリアではティベリウス(調停役)の方式を復活。歴史を学んできた自負はある。ブリタニア遠征。なお、ケルトとガリアの使い分けは、ローマ征服以前はケルト、以後はガリア。いずれからも逃れた純正ケルトは、今や手つかずのブリタニアに移動し、ドゥルイデスが活動。人身御供を排したいローマ、ドゥルイデスにセーブをかける意向。クラウディウスの長所で短所は、人を信じすぎること。いや、人の善意を信じすぎること、か。元老院に伺いを本気で立てる皇帝は歴代初。ただ、帝国の拡大はその統治の複雑化を生み、これをハンドルしようと思えば、誰かを頼り信じるしかなかったのも事実。クラウディウス、己が解放奴隷三人組を秘書官として組織して機能させるも、元老院には不評。所謂、茶坊主の魁。権力と結びつくセクレタリーは、セクリタスには危険因子。クラウディウスもまた、妻に翻弄される。若妻メッサリーナ、皇帝の男児を生んで野心も受胎。虚栄心に物欲、性的欲望(ゆえにメッサリーナは伊では性欲のコントロールできない女性を指すそうで)の三本柱がクラウディウスの鈍感な横っ面を殴り付ける。クラウディウスを見る世間の目は次第に冷笑的に。アウグストゥスが創設した郵便制度(クルスス・プブリクス)を、国営から民間に開放。カリグラ建造の元祖タイタニック号を灯台の礎石に替えたクラウディウス港開港。メッサリーナ、愛人との極秘重婚の罪で、皇帝との弁明の接触を果たさず殺害さる。感情を見せない(事態を収拾できない)皇帝に、またも市民の疑問符。しかし、この時期なされる開国路線を踏まえての名演説は、ローマ文明が遺した教訓の一つとまで後々賞賛されることに。「議員諸君、今われわれが態度表明を迫られているガリア人への門戸開放も、いずれはローマの伝統の一つになるのだ」。カエサル~アウグストゥス~ティベリウス・ラインで綿密に固めた帝国の統治ならば、確かに50年にわたる歴史研究の成果で問題なくできたのだ、この人は。それはそれで本人は幸せ。ポスト・メッサリーナは、先帝カリグラの妹、小・アグリッピーナに決定。これまた、皇帝の妻になり、皇帝の母となって帝国統治を夢見るアウグストゥス直系の野心家。アウグストゥスの自制の心は、女性の子孫にはまったく受け継がれなかったこの不思議。アグリッピーナ、皇妃になって、敵対分子は早々に一掃。ただし、夢は帝国統治。それまでは、周到に立ち回った点、メッサリーナとは格が違う。妃選びの際に自分を押した秘書官・パラスを擁し、息子・ドミティウス(後のネロ)には哲人セネカをつけ、着々と野望実現を詰めていく。ドミティウスをクラウディウスの養子とさせ、その名をネロとする。先妻・メッサリーナとの実子、ブリタニクスをさしおいて、ネロを皇太子に押し上げる。そして、烈婦の権力への愛情は、凶暴な結末へ加速。クラウディウスを必要とする手は全て打った。今や無用。おまけに、摂政として皇帝を操るには、ネロの成熟は厄介と判断、きのこ料理に毒をばまぶし、突然皇帝になった人はまた、突然皇位から引きずり降ろされる。禍々しき最期、享年63。当然、拒絶する間もなく、ネロがインペラトールの歓呼を浴びる。解放奴隷による秘書官システムを活用し、妻に欺かれ続けたお人好しの文人皇帝の死に際して、ローマ世界は新たなスターを欲望していた。皇帝ネロ、母の熱意により誕生。(了)


ローマ人の物語(19)

「旅から、音楽から、映画から、体験から生死が見える。」 著書です:『何のために生き、死ぬの?』(地湧社)。推薦文に帯津良一・帯津三敬病院名誉院長。





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Last updated  2008/12/03 11:50:55 PM
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