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塩野七生著『ローマ人の物語』(42)
       ローマ世界の終焉(中)(新潮文庫)

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「ローマの劫掠」その後。皇帝ホノリウスによる西ローマ帝国全域の総督および軍指揮官、法務官あての手紙。内容は「もはや帝国は、カネも軍事力もないので、守ってあげられません。各自自分で自分を守るように」。安全保障を放棄したことで、事実上、「帝国」は崩壊。覇権国の責務は、当事者によって投げ棄てられた。
それを横目に進む蛮族化。かつての「防衛線(リメス)」は、荒れるがまま、荒らされるがまま。フン族の台頭に押し出されたヴァンダル、フランク、スヴェビ族らが帝国の版図を縮小し続ける。
唯一の希望の星、武将・コンスタンティウスに軍司令官を任せ、ガリア同士の共食いをバックに、アタウルフ率いる西ゴート族の同盟協定を蹴って、皇妹との結婚も承認せず。西ゴート族もついには、アタウルフを殺して差し出すことで、死に体の帝国との関係改善を図る以外、立場を守る道はなかった。
アタウルフから返されたガッラ・プラチディアとコンスタンティウスが結婚。バルカン生まれの貧農の子は、皇族に名を連ね、共同皇帝にまで出世。しかし八ヶ月で病死。
スケールの小さい便利な共同皇帝に死なれたホノリウス、またも動転。妹と共同皇帝の間に生まれた次期皇位継承者ヴァレンティニアヌスに手をかけようとするが、妹は子を連れてコンスタンティノープルに逃げ延びていた。つまりは、西ローマ帝国の一族の内紛を、東ローマ帝国に助けを求めたことに。間もなく、ホノリウス死去。東ローマ帝国に恩に着せられるまでもなく、無事帝都に戻り、ヴァレンティニアヌス、皇帝に。
しかし皇帝は弱冠四歳。摂政にガッラ・プラチディア。
一方東ローマ帝国は、着々とオリエントの専制君主国化が進行。ローマ的な気骨はどこへやら、飾り立てた宮殿に、実用性のない装飾的な武具をつけた護衛兵が並ぶ。ホノリウスの実兄・アルカディア帝の治世は、事実上、“将軍の娘”皇后エウドシアの手に。アルカディアの死後は、狂信的なカトリック信者の姉・プルケリアを背後に、先帝の実子・テオドシウス二世の治世。これで、東西ローマ帝国は、女性が事実上の権力者の時代に。
ただし、「インペラトール」の存在意義たる国家防衛、つまり軍事面での職務については、女性の権力者においては、司令官を巧みに使いこなすことが必須となる。
ガッラ・プラチディアには、ボニファティウスとアエティウスの両将軍あり。いま、まさに怒涛の如く押し寄せる蛮族相手に、西ローマ帝国を守り抜くことができるのか。幸い、二人の良将を得て、その摂政ぶりは好調に滑り出したかに見えたのも束の間、勇将並び立たず。ボニファティウスとアエティウスを、並び立たせることができなかった。ボニファティウス、ドナティストの影響力強い北アフリカを巧みに統治したことで、かえってアフリカの独立分離の叛意ありと噂される羽目に。
噂を信じたガッラ・プラチディア、ボニファティウスに、尋問なしの召還命令。これに逆に猜疑心を抱いたボニファティウスが従わなければ、すぐさま討伐軍を送り込む軽挙。戦上手のボニファティウスに討伐軍、あっけなく撃退される。さらに兵力増強に、ヴァンダル族への兵士の借用依頼。ところが、これがヴァンダル族には渡りに船。老獪な族長・ゲンセリック、北アフリカへの定住の口実とばかりに、全部族でアフリカ入り。
結果として、アフリカまで北方蛮族の侵攻を許す形に。焦っても時既に遅し。やり手でも、クールさがなかった、とは筆者のボニファティウス評。要は詰めが甘かった。ヴァンダル族の前進阻止の攻防戦に十四ヶ月の代償。戦略上重要な海港都市ヒッポ・レジウスに、後の教父にして聖人、アウグスティヌスが立てこもって、熱弁を振るっていた。
守備に失敗したボニファティウス、許されて再び軍司令官に。その裏には、ガリア相手に活躍するも、皇宮と距離を置きたがるアエティウスへの猜疑心から、アエティウスの牽制用カードに、というガッラ・プラチディアの浅慮が。こうして、西ローマ帝国の軍事面の両輪は、互いに相争う間柄に。
紀元四三ニ年、アルプスを越えてイタリアに入ってきたアエティウスと、迎えるボニファティウスが衝突。長期戦をしたくない両軍、アエティウスの提案で大将同士の一騎打ちで決着することに。密かに、槍を長くしておいたアエティウスが、ボニファティウスを刺殺。ボニファティウス軍の兵士を吸収しながらガッラ・プラチディアの前に向ったアエティスス、またも策略を弄して、ガッラ・プラチディアと少年皇帝の前に膝を折って謝罪。まんまと許しまで得て、軍総司令官の座を手にする。その気になれば、皇帝の座を力づくで奪うことができたアエティウスの世渡り上手、その真意は、帝位を奪って東ローマ帝国がどう動くか読めなかったからに過ぎず。まずは地位を得て、野望実現のプランニング。
北アフリカに侵攻したその後のヴァンダル族の攻略は苛烈を極め、大量の難民を生んだ。肥沃だった「ローマの穀倉」北アフリカは、もはや、農耕民族ではないヴァンダル族の手によって、征服者を養うだけの土地に変貌。
この間も、西ローマ帝国はコンスタンティノープルに援助を求めるが、もはや東側に関心はない。ついに、講和によって、西ローマ帝国は、六百年ぶりに北アフリカを手放す。(つづく)


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Last updated  2011/10/11 06:59:58 PM
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