イタリアはヴェネツィア。
サン・マルコ大聖堂の右隣はドゥカーレ宮殿である。ここはヴェネツィアの行政と司法,つまり官庁であり国会でもあったのだが,この中で裁判も行われた。
この裁判で被告人となり,重罪刑に処せられた者は,隣の牢獄に入れられることになる。犯罪者は宮殿内から狭い通路を通り,やがて狭い運河の上に架かっている通路にさしかかる。
その通路は外から見ると,下の写真のように見える。ここを犯罪人が通るとき,「あ~あ,これで娑婆も見納めか」と溜息をついたとかで「溜息の橋」と呼ばれている。
これを犯罪者になったつもりで,内部から外を眺めるとどう見えるのか。
そうです。宮殿に入り,国会議事堂に相当する部屋や委員会室などを見学したあと,溜息の橋を内部から見学することができるようになっている。それが下の写真である。溜息の橋から外をみると,たいしたものは見えないのだが,それでも犯罪人にとってはもう見ることのできない下界。溜息がでるのも当然なのかも知れない。光の入らない狭い牢獄で一生を終えなければならないのだがら,やはり見納めなのだ。
そとから眺める場合は,ヴァポレットの発着所,サン・ザッカリアが近い。たくさんの人が運河にかかる小さな橋の上で写真をとっているので,彼らの見ている方角に目をやれば,溜息の橋はみつかる。また内部を見るなら宮殿入口でチケットを購入して,みんなが進む方向へ歩いていけば自然と溜息橋に行き着く。しかし「溜息の橋」と表示されているわけではないので,知らなければ見過ごすことになりますよ。