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tomo_hの映画ログ

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2015.02.06
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カテゴリ:映画ログ
戦後の急復興に労働力を必要としたドイツは最初、スペインとイタリアから出稼ぎ労働者を呼んだ。それでも足りなくなると今度は中東のトルコなどに「ゲスト労働者歓迎」のアピールを送り、応えて大勢のトルコ系の人々がドイツににやってきた。主人公もその一人で、監督のヤセミン・サムデレリさんは彼女の父たちの体験を含めてこの映画の脚本を書き、監督した。時は1960年の頃、トルコとドイツの賃金差はかなり大きく、ドイツでの一か月の給料で、故郷で中古車を買ってタクシー業を始めた、などという噂を聞いて続々と出稼ぎ人がドイツへと向かった。現代でも大勢のトルコ系住民がドイツに住んでいることの始まりだ。

最初はパパのフセイン・イルマズは単身で働きに行った。そして故郷の妻と3人の子供(男二人、女一人)にどんどん送金した。郵便局か銀行に金を受け取りに来る奥さんの嬉しそうな笑顔を観れば、今までトルコでは手にできなかったくらいの良い給料なのが察せられる。トルコのゲスト労働者たちは一生懸命働いた。そしてドイツで働けることを、喜びと感じた。しかしパパが家族の顔を見るためにトルコへ帰ってみると、、子供らはママに甘やかされて、とんでもない腕白坊主になっている。こりゃ、いけない、子供にはお父さんの威厳が必要だと思ったパパは家族全部を連れてドイツに引っ越した。それでイルマズ家の子供はトルコ人であるが、ほとんどドイツ人のようにして育った。

お金のためとはいいながら、故郷アナトリア(東部トルコ)の人間であることを、据え置いて、ドイツ社会で50年暮らした男の人の原点回帰の物語だ。50年後の現代になって、また家族を連れて(孫も入れて人数は増えている)トルコ人たる意識を心から消さないために、トルコに帰ろう、と決めた。ミニバンを買って8人の家族を乗せてさとがえりの旅に出発した。たぶん飛行機に乗ったのだろうが、空港には買っておいた車が用意されていた。

このお話で家族の絆とか、母国の文化を知るとか色々教えられることは多い。私はこれを遠方の地に住み着いて働いてすっかりその地に馴染んでしまった人が、故郷の国ともしっかりまだ精神的につながっている事、つまり出稼ぎ地と出身地と二つの故郷を持つ人の、すべての人に共通する物語ではないかと思った。ドイツで暮らす方がレベルの高い生活ができるし、環境も良いだろう。しかしドイツ人とトルコ人は宗教も歴史も文化も違う、真底は異国の民なのだ。子供たちの世代はもうドイツ人であることしか考えられないだろう。それはそれでよい。だが、おじいちゃんは皆に自分たちの出自を忘れて欲しくなかったのだろう。

(おまけ)トルコの村々を車で走っていると、ある町のバスターミナルで一人の10歳くらいの少年に出会った。「スィミックはいかが?美味しいスィミックはいかが」と頭の上に大きなお盆を乗せて売っている。ドーナツのチュロの輪っか型のお菓子のようだ。お祖父さんは沢山かってその子は喜んだ。小さな子供に働かせてというドイツ流の意見が出たが、少年の屈託ない笑顔と仕事を楽しんでいるような元気さを見ると、トルコではこれでいいんだと思えた。たちまちイルマズ家の孫のチェンク少年と仲良しになった。

おじいちゃんの里帰り





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Last updated  2015.02.06 19:51:37
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背番号のないエース0829@ ニーナ・ホス 「水を抱く女」に、上記の内容について記…
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アイスクリーム@ Re:エリザベート愛と哀しみの皇妃(オーストリア、ドイツテレビドラマ)(08/09) 綺麗事ではなくメロドラマ仕立て。 勝ち…
zebra@ ボクからの(おまけ) もう少しコメントします。 tomoさんの記事…

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