2017/3/28 日本経済新聞
公認会計士
田中靖浩 さんという人のお話。
「先月、契約件数トップで表彰されたんです!」。
そう鼻高々に語るのは
マンション販売会社に勤めるA君。
まだ若い彼が先輩たちを押しのけて
会社の月間トップセールスになったのだとか。
どちらかといえば性格暗め、
ぼそぼそと話すA君は、こう言っちゃ悪いが、
とてもトップセールスマンには見えません。
※まあ・・いかにもキレッキレの人間が
トップセールスとは限りませんが・・。
セールスの世界には
色々なタイプの人間がいます。
「どうしてそんなに売れたの?」
と
素朴な疑問を投げかけました。
それに対してA君は
「セールスのポイントを変えてみたんです。
先生に教わった『損失回避』を
全面的に打ち出したらうまくいきました!」
いよいよ前のめりになって興味津々な私。
「それってどういうこと? なにが損失回避なの?」。
すると彼は勝利の秘訣をこう教えてくれました。
「団信をちゃんと説明するようにしたんです」
「え、団信って、あの団信のこと?」。
開いた口がふさがらない私。
それでマンションが売れるなんて、ウソでしょう。
ちなみに団信とは団体信用生命保険の略称です。
住宅ローンを組むとき、
いつの間にか加入させられる保険のこと。
※住宅ローン融資を受ける人が、
「いつの間にか加入させられる保険」
というような・・
本当にその程度の認識だとしたら、
生活設計の意識が無い、
ただのおバカさんです。
団信なんて、
マンション会社や銀行にとってはイロハのイであり、
専門家はいちいち説明などしません。
※そんなことはない。
「団信に加入していただきます」
と一言ですませてしまう制度です。
※普通は、きちんと説明する。
団信に加入すると、返済中に契約者が死亡したとき、
残りのローンが団信から支払われます。
簡単にいえば、団信は
住宅ローン契約時に結ぶ生命保険のようなもの。
※「ようなもの」ではなく、生命保険だ。
「団体信用生命保険」・・だ。
たとえば
団信に加入したお父さんが亡くなったとしても、
残された家族は「ローン返済なし」で
その家に住み続けることができるのです。
繰り返しになりますが、専門家にとってこれは
「当たり前」すぎる制度です。
だからいちいち細かく説明をしません。
※だから、そんなことはない。
もし・・そうだとしたら、
元々A君の会社自体がおかしい。
A君の先輩たちがおかしい。
そこにA君は目を付けました。
■商品を売り込むのではなく、
不安や困りごとを回避する
「これはいける!」
そう思った彼は、
マンション購入を検討しているお父さんに対し、
団信の内容とメリットをこと細かに、
さまざまな角度から説明したそうです。
「いざというとき、これで家族を守れます」
と。
※生命保険のセールストーク・・。
これは団信のメリットというより、家族のことを
心配するお父さんへの「損失回避」の提案です。
団信に入るのは生命保険と同じことなんです――。
※当たり前。
このセールストークは
保険好きのお父さんに効果抜群。
※このお父さんもお父さん。
「保険好き」だということは、
自分の頭で考えることをしない
ゾンビ。
生活設計の意識がありません。
彼はこれによってたくさんの契約を成立させた
というわけです。
私にとって、この話は「まさか!」でした。
おそらく彼の先輩たちも同じだったことでしょう。
このほか彼は自分のセールストークをすべて見直し、
「メリットを語る」のではなく、
「お客さんの不安や困りごとを回避する」
損失回避トークに変えたのだとか。
「緊急病院が近くにあって、
家族が急病のときに5分で行けます」
とか、女の子がいる家族には
「明るい商店街だけ通って帰れるので安心です」
とか。いやはや、お見事な損失回避の奇襲!
※契約してしまったお客さんたち
には気の毒だけど、根本的な
「損失回避」には気づいていません。
マンションの営業マンと接触して
しまったために・・
ここで、彼の行った「団信セールス」には
見逃せない注目点があります。
それは
「自分にとって『当たり前』だが、
お客さんは『知らない』ポイントを見つけた」
というところ。
自分にとっては当たり前だが、相手は知らない。
自分は知っているが、相手は気付いていない。
※商品販売の局面では・・よく、
このような構図になります。
「売る側 vs 買う側」
「 プロ vs 素人 」
という構図では、
買う側(素人)は明らかに不利です。
(当たり前)
そんな「情報格差ポイント」を見つけることで、
お客さんの心を動かすことができます。
※「売る側」は「情報格差ポイント」を
上手に使って、
営業行為を成功させ、
契約に至ることになります。
「買う側(素人)」は、
不利な状況を強く認識して警戒
するとともに、
話をすべて真に受けず、
常に自分の頭で考えようとする
意識が必要です。
(文章は続くが別の話になっていくので、以下略)
※根本的な「損失回避」。
真剣に生活設計を考えるなら、
マンションを買ってはいけない。
マンションを所有してはいけない。
将来の金食い虫、人生のお荷物。
マンションを所有していることが、
どうしようもない『人生の損失』
になっていく。
マンションは持つなって、いつも言ってるべ。
・・っと。
〇 商品販売をしない。
〇 しがらみを持たない。
誇りをもって、愚直に、
消費者側に立ち続けて16年目の
ファイナンシャル・プランナー事務所。
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